主体性育む新監督
選手の主体性を育む指導を貫く川越東の岡田稔基監督=6月20日、川越東高校第3グラウンド
県内では浦和学院に次ぐ部員数を誇る川越東。夏の最高成績は2013年の準優勝。今春の県大会で4強入りするなど、悲願の頂へあと一歩に迫る。115人の部員を率いるのは、4月に就任した同校OBの岡田稔基監督だ。川越市内に広大な田んぼを構え、コメ農家としても汗を流す二足のわらじ。グラウンドでは選手の主体性を育む指導を貫いている。
31歳の若き指揮官は12年に同校を卒業。当時チームを指揮していたのはプロ野球のヤクルトなどで活躍した阿井英二郎監督。「こんな大人になりたいと思える存在だった」と恩師の背中を追いながら、漠然と指導者の道を意識し始めた。
高校卒業後は川越東の1学年上で兄と慕う高梨雄平(現巨人)の影響で、早大へ進学。同期には重信慎之助(現巨人)、茂木栄五郎(現ヤクルト)らがいた。2年次から学生コーチとなった。就任後まもなく、都市対抗野球を12、13年と2連覇したJX―ENEOS(現ENEOS)の練習に参加。「自立しているチームに衝撃を受けた」と選手が自ら練習を行う姿が理想像として胸に刻まれた。
日立製作所、新潟産大付高のコーチを経て22年に母校へ赴任。野球部に携わり3年目の今春、監督に就任した。課題としたのは体づくり。補食には自らの田んぼで収穫したコメを活用した。練習中は1人1合のご飯を食べるなど土台をつくった。
初の栄冠へ好感触
指導者の思いは確かに選手たちの中に息づいている。実戦形式の練習では各プレーに選手同士が意見を交わす。主将の柳賢心は「選手一人一人がリーダーシップを持ってチームを統率できる。全員が同じ目標に向かっている」とうなずいた。
選手が目指すのは、思いを言い合えるチーム。毎週末の練習試合後は出た課題を話し合い、克服するための練習メニューを岡田監督に提示する。副主将の下田琉惺は「3年生を中心に連携を取り、理想に近づいてきた」と夏本番へ好感触だ。
「勝負はグラウンドに立ったときに決まっている」。恩師・阿井監督に繰り返し言われた言葉を胸に、岡田監督と選手は勝負の夏を迎える。Bシードに気負いはない。日々の積み重ねを信じ、初の栄冠を見据えている。
=埼玉新聞2025年7月2日付け7面掲載=
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約8万5700㎡の敷地校舎、冷暖房完備の体育館(バスケットコート6面)、人工芝のサッカー場(第一グランド)、400mトラック(第二グランド)、室内練習場の完備した野球場(第三グランド)、その他剣道場・柔道場・トレーニングルーム・テニスコートなどの運動施設に、180席の学習室と蔵書8万2000冊を揃えた図書館があります。学習面では授業以外の講習が充実し、特に夏期講習5週や冬期講習、センター直前講習など様々な講習が無料で設置されています。
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