モロッコ人のアウザー・アブドゥラさんは、あや取りのようなモロッコの伝統的な遊びを紹介した=県立浦和商業高校
県立浦和商業高校(さいたま市南区)はアフリカ、中東、アジア出身の留学生と講師を招き、歴史総合授業の一貫で国際交流を行った。講師ら計18人が3日間、生徒のグループにそれぞれ1人ずつ入り、その国の誇りや社会課題を話し合った。授業後、学んだ内容を発表。生徒からは「あんな面白い授業だったら、毎日やりたい」との声が上がったという。
「商業高校の生徒だから商業の学びというだけではなく、教科横断的に幅広く学んでいく力をつけさせたい」と担当の松岡由美子教諭。「こんな豊かな交流ができる外国ルーツの人たちと地域で共生していることを生徒たちは発見してほしい」と狙いを話す。
2年生の全生徒272人は、6月13日にアフリカ4カ国の留学生6人と交流。17、19日は県国際交流協会から派遣された12カ国12人の講師による「世界へのトビラ」という授業を受けた。同協会によると、グループでの取り組みは珍しいという。
各グループでは、「出身国の誇れること、社会問題と解決策」をテーマに話し合った。中国人のジャン・ベイさんのグループでは、高度な情報技術(IT)事情を説明した。キャッシュレス化が進む中国の状況に生徒からは「災害時は困るのでは?」と質問。無人タクシーや電気自動車(EV)の普及に対し、「日本は遅れている」と大野力生さん(16)は語り、「システムが壊れた場合、事故の危険性もあるのでは」と指摘した。
生徒たちは各国の食べ物の言い方や多様性、持続可能な開発目標(SDGs)の取り組みなどを学び、文字や楽器に触れ、民族衣装も試着した。トルコ人のクプライ・ブシュラさんは、自国でのシリア人難民に対するヘイトスピーチの話をした。川口のクルド人へのヘイトスピーチを知る生徒たちは、学校での教育の必要性を強調した。
韓国人のキム・キョンウンさんは、ハングル語の歴史を解説。五十嵐萌桃さん(16)は、「ここまで文字に深い歴史があるのを知らなかった。他の国の文字の歴史も知ってみたくなった」と、笑顔で話した。
留学生らとは英語で話し合い、通じた喜びを表現した生徒もいたと松岡教諭。「心の国境の垣根を軽く飛び越えた。授業への向き合い方も非常に積極的になった」
=埼玉新聞2025年7月2日付け9面掲載=
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浦和商業高校の最大の強みは、推薦制度を最大限に活用した進路指導にあります。進学は学校推薦型選抜を中心に総合型選抜も活用しながら、共通テストや個別テストを受験する一般選抜を用いない進路指導を展開しています。一方、就職は学校推薦によって、優秀な生徒を県内外の企業に数多く輩出しています。歴史と実績を積み重ねた進路指導によって信頼を得て、浦商だから採用するという企業もたくさんあります。
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