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第107回高校野球埼玉大会 頂へ 再燃せよ④浦和実

甲子園出場 光と影

夏本番に向けて投球練習に励む石戸(手前)ら浦和実の投手陣=6月6日、さいたま市緑区の九里学園大崎総合運動場

 

 大会まで約1カ月に迫った6月6日、ベンチ入りメンバーの選手間投票を行った後、選手たちはグラウンドに姿を現した。今春の選抜大会で初出場4強と躍進した浦和実。快進撃で脚光を浴びた一方で、選手たちは甲子園出場に潜む〝影〟にもがき苦しんでいた。
 大舞台で存在感を放ち、満を持して臨んだ春季県大会。Aシード校は4月26日の聖望学園との初戦で敗退した。エース石戸颯汰をコンディション不良で欠き、打線は5安打に封じられた。輝かしい実績から一転、投打で課題を突き付けられた。
 春季県大会前の練習で主将の小野蓮は危機感を募らせていた。練習の準備や片付けを人任せにして緊張感を欠き、あいさつのない私生活。攻守にわたり緩慢な動きが現れた。小野は「全国4強という結果に満足感があった。おごりが出た」と振り返った。
 「何かを変えなければここで終わってしまう」。敗戦から2日後、小野は主将の辞任を申し出た。約2時間の話し合いの末、野本大智捕手は「ここまで来たのは主将のおかげ。最後まで続けてほしい」と全員一致で小野の主将続投が決定。再びチームが一つとなった。
 エース石戸は春季県大会の約2週間後から実戦復帰。休養期間は映像研究に打ち込み、最速は3㌔上がり133㌔を計測した。「甲子園を経験して、確かな自信がついた。切磋琢磨(せっさたくま)して夏の急成長を遂げたい」と投手陣は態勢が整いそうだ。
 一方、解決しない課題もある。練習の雰囲気は「悪くはない」(野本)のが現状。ただ「選抜の雰囲気を超える感覚はない。夏への逆算がうまくいかずに来てしまった」と小野。責任感の強い主将だからこそ、チームを見る目は誰よりも厳しい。
 春の県大会敗戦から練習で変えたところはない。昨秋の県大会を制し、選抜大会で4強入りした力は本物だ。小野は「あとは意識の問題。夏までの残り期間でどこまで戻るか」と集大成を見据えた。
 夏の最高成績は2008年の南埼玉4強。記念大会を除くと6度のベスト8が記録となる。初の夏の甲子園に向けてノーシードから出発する。辻川正彦監督(60)は「春の負けがかえって良かったと思えるように。(この代が)甲子園で終われたら最高だ」と笑顔の中に覚悟がにじんだ。深い影を抜けた先に、再びまばゆい光が待っている。

 

=埼玉新聞2025年7月3日付け7面掲載=

 

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