改正活動中の鴨志田弁護士に
冤罪(えんざい)を法的に救済する再審法改正への動きが広がる中、再審や冤罪に関心を持った城北埼玉高校(川越市)3年生・桑子哲司さん(17)が、改正活動の中心として奮闘している弁護士の鴨志田祐美さんへ「取材」を行った。桑子さんは、冤罪や再審法について約2時間、熱心に質問し鴨志田さんも丁寧に答えていた。「取材」の成果は、冊子にまとめる予定だという。
桑子哲司さん(左)の冤罪や再審の質問に、トレードマークのべレー帽をかぶり答える鴨志田祐美さん=東京都千代田区の弁護士会館
桑子さんは、1966年に静岡県清水市(現静岡市清水区)で起きた一家4人殺害事件の「犯人」とされた袴田巌さんが、再審で無罪が確定した「袴田事件」を知ったことがきっかけとなり、冤罪や再審に関心を持っようになったという。
桑子さんは、冤罪や再審に関する本を購入し一人で学んでいたが、分からないところが出てきたため、鴨志田さんに直接聞こうと思い立ち、鴨志田さんの法律事務所にメールで「取材」を申し込んだ。鴨志田さんは桑子さんの学ぶ姿勢に感銘し、忙しい合間を縫って「取材」に応じた。
鴨志田さんは、会社員、予備校教師を経て40歳で司法試験に合格した。弁護士になった。
1979年鹿児島県大崎町で男性が遺体で発見された事件で、義姉が「殺人事件」の犯人とされ、冤罪を訴えている「大崎事件」の再審弁護団事務局長を務めている。また、法制審議会刑事法(再審関係)部会委員、日本弁護士連合会再審法改正推進室長を務めるなど、再審法改正実現に向け八面六臂(ろっぴ)で活躍している。ベレー帽がトレードマーク。著者に「再審弁護人のベレー帽日記」(創出版)。
取材は東京都千代田区霞が関の弁護士会館で行われた。「裁判では弁の立つ人の方が有利なのではないか」という桑子さんの疑問について、鴨志田さんは「しゃべり方では、声の大きい人の言い分が通ってしまうので、しゃべり方で決めていない。本当のことを言っているかどうかだ」と証言の信ぴょう性が問題となるとした。
「人の記憶は間違いが入り込む可能性があり、供述は慎重に吟味する必要がある」と冤罪事件再審に取り組んでいる鴨志田さんは強調した。
桑子さんは、勉強の成果を発揮し「日本の司法制度の問題点」「冤罪の要因」「冤罪をなくすには」など、矢継ぎ早に質問。鴨志田さんも経験を踏まえて、分かりやすく答えていた。
「取材」を終えた桑子さんは「本だけでは分からないことを答えていただいた。いろいろな人に聞いて、冤罪や再審について理解を深めていきたい」と手応えを感じていた。進学は、大学法学部を希望しているという。
鴨志田さんは「冤罪や再審について若い人、桑子さんのように高校生ぐらいから知ってほしい」と話していた。
=埼玉新聞2025年7月10日付け11面掲載=
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