紙のメディア魅力発信
香川県で開催された第49回全国高校総合文化祭(総文祭)の新聞部門で、東松山市の県立松山高校が3年連続となる最優秀賞を受賞した。一時は部員がゼロになって廃部の危機に直面したが、今では引退した3年生も含めると部員数は184人に。ネット全盛の時代に、紙のメディアの魅力を伝えている。
総文祭で3年連続で最優秀賞を受賞した県立松山高校新聞部の新旧部長と班長たち=東松山市松山町1丁目の県立松山高校
5年前に部員がゼロとなった新聞部だが、顧問となった矢野悠季教諭が部員集めに奔走。最初の年に約20人の部員が集まり、3年目で100人を超えた。現在は1年生が74人、2年生は60人、3年生が50人。部員数は同校の部活動の中で最も多いという。
大所帯ということもあって、取材班、ライター班、写真班、レイアウトを担当するIT班に分かれ、新聞社顔負けの分業体制を取っている。取り上げる記事は部員から募集し、無料通信アプリLINE(ライン)の機能を使って投票。月1回開いている編集会議で投票の結果を精査するという。
A3判裏表2㌻の「松山高校新聞」を月3回、そのほかに校内の行事や部活動の報告などの号外を随時発行している。総文祭の審査対象となった一昨年度10月~昨年度9月で、126回も新聞を発行している。
紙面では、都内のアニメ制作会社や、東京六大学野球の選手、日本旅館を展開する「星のや東京」の総支配人など、積極的に校外で取材。また、日本教育法学会の「公立高校共学化」をテーマにしたシンポジウムを取材にするなど、身近な問題についても考えている。
「取材を通じて自分が会いたい人に会ったり、行きたい所に行けるのが魅力」と部員たち。取材班の前班長で3年生の柴生田(しぼうた)将悟さんが印象に残っているのは、映画音楽などを作曲している長嶌寛幸さんへの取材。「いろいろな人から話を聞き、生き方を知ることで、自分を見つめ直すことができる」と話す。
ネット全盛の時代に、なぜ新聞なのか。前部長で3年生の根本翔太さんは「新聞は出来上がるまで多くの取材をしており、それだけの情報が詰まっている。そういう媒体はあり続けてほしい」と話す。
3年連続の最優秀賞受賞について根本さんは「部員が楽しんで作っていることが紙面から伝わったのではないか」。現部長で2年生の杉原壮太さんも「楽しく新聞を作ることが大事。その結果、4年連続で最優秀賞を受賞できたらいい」と話していた。
=埼玉新聞2025年8月10日付け1面掲載=
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