【第5日】
花咲徳栄13年ぶり決勝進出
佐野日大(栃木)に7-4
(25日・山梨県山日YBS)
第5日は準決勝2試合を行い、県大会を制した花咲徳栄が佐野日大(栃木1位)に7―4で勝利した。花咲徳栄は13年ぶり3度目の決勝進出を果たした。
花咲徳栄は三回、1死二、三塁で笹崎が中前適時打を放ち先制した。五回に鈴木の適時二塁打、八回に敵失でそれぞれ1点を追加すると、4―4の九回、2死から笹崎の適時三塁打など4連打が生まれて勝ち越した。投げてはエース黒川が9回149球の粘投で試合を締めた。
第6日は26日、山日YBSで決勝を行う(10時)。花咲徳栄は初優勝を懸け、山梨学院(1位)と対戦する。
花咲徳栄は終盤に打線がつながり、佐野日大を7―4で下した。花咲徳栄は三回に笹崎が中前適時打を放ち、2点を先制。五回に鈴木の適時二塁打、八回に敵失でそれぞれ1点を追加した。4―4の九回、2死から鈴木が中前打で出塁すると、笹崎の中越え適時三塁打で勝ち越しに成功。なお2死三塁で佐伯が左越え2ランを放ち、3点のリードを築いた。
終盤に対応力示す

花咲徳栄―佐野日大 9回表花咲徳栄2死三塁、佐伯が左越え2ランを放つ。捕手須田=山日YBS
高い対応力を誇示した花咲徳栄が13大会ぶりの決勝進出を決めた。緊迫した最終盤に好調な中軸が輝きを放ち、岩井監督は「連打は出ないと考えていた。まずは塁に出てしつこく攻撃。(最後の4連打は)たまたまです」と謙虚に振り返った。
同点の九回、2死から打線がつながった。2番鈴木は「(先発の)黒川を楽にするためなんとしても出塁」と中前打で反撃の起点をつくった。続く笹崎の中越え三塁打で1点を勝ち越し。なお2死三塁で主砲佐伯が左越え2ランで勝負を決定づけた。
六回から登板した相手の2番手左腕を2巡目で捉えた。1巡目は打者9人で1安打も打てず、重たい空気が漂った。しかし「チームは情報共有を徹底している。やるべきことができた」と佐伯。練習で培った連係が緊迫した終盤に結実した。
一方、守備では課題が浮き彫りになった。内野陣が計3失策と乱れ、五、八回はいずれも失点に直結。岩井監督は「危惧したところでミスが出た。いい課題が見つかった」と苦い表情。初戦も失策で流れを渡しただけに、再び守りの重要性を痛感する一戦となった。
1回戦の9点差逆転勝ちに続き終盤の勝負強さはチーム最大の武器だ。初優勝を懸けた決勝は山梨学院と対戦する。本田主将は「一つのプレーを大事にする。全員でいつも通りに臨みたい」と平常心で関東の頂を狙う。
強力打線をけん引
3番・笹崎

9回表花咲徳栄2死二塁、笹崎が勝ち越しの中越え適時三塁打を放ち、塁上で喜びを爆発させる
花咲徳栄の3番笹崎は先制打に勝ち越し打の2安打と存在感が際立った。4―4の九回、2死二塁で「なんとしても塁に出る。自分が黒川を楽にする」と中越えの勝ち越し打。一気に三塁に到達すると、大きなガッツポーズで喜びを爆発させた。
上位を打つ岩井、佐伯とともに、前チームから主力を担う。岩井監督からは「夏の経験者3人が引っ張らないとチームは成り立たない」と期待をかけられている。関東大会はここまで3試合連続の複数安打と文字通り強力打線をけん引中だ。
記念の初本塁打 攻守で頼もしさ
4番・佐伯
花咲徳栄の4番佐伯が記念すべき高校初本塁打を左翼席に運んだ。5―4の九回、2死三塁で5球目の落ちる変化球を捉えると、悠々とダイヤモンドを一周した。「4番として一本がなかったのでうれしい」と喜んだ。
守備では扇の要としてエース黒川をリードした。序盤から1点を争う接戦となったが、第1~第4打席で凡退が続いた。「前の打席まで何も貢献できていなかった。なんとしても黒川を援護したかった」と攻守で頼もしさが増している。
【最終日】
徳栄 初優勝届かず

閉会式で表彰される準優勝した花咲徳栄の選手たち。手前右は本田新志主将、左は笹崎昌久右翼手=甲府市の山日YBS球場
高校野球の第78回秋季関東大会最終日は26日、甲府市の山日YBS球場で決勝を行い、初優勝を狙った埼玉県大会覇者の花咲徳栄は山梨王者の山梨学院に5―14で敗れた。
花咲徳栄は守備の乱れから試合の流れを渡した。先発の石田、古賀、石川と3投手の継投も、相手打線を抑えられず計16安打を許した。守備陣も3失策とほころびを見せた。1―8の七回に市村の右越え2ラン、九回に代打井門の適時三塁打などで得点を加えたが反撃は及ばなかった。
準優勝した花咲徳栄は来春の第98回選抜高校野球大会(来年3月19日から13日間)への出場が有力視される。
山梨学院に5-14
(26日・山梨県山日YBS)
花咲徳栄は攻守に精彩を欠き、山梨学院に5―14で敗れた。花咲徳栄は先発の1年生石田が2回0/3で3失点。古賀、石川と継投したが、計16安打を許し、相手打線の勢いを止められなかった。打線は0―3の五回に古賀、市村の連打などで1点を返した。七回に市村の右越え2ラン、九回に代打井門の適時三塁打などで反撃したが、大量失点を覆せなかった。
春へ課題 修正誓う

山梨学院―花咲徳栄 7回表花咲徳栄無死一塁、市村が右越え2ランを放つ。捕手光永=山日YBS
初優勝を狙った花咲徳栄は攻守で弱点を露呈した。山梨王者に大きくリードを許し、春への課題を突き付けられた。岩井監督は「(エース黒川の)疲労もあり、ほかの投手で挑んだがそれが全て。課題が見えた試合となった」と振り返った。
準決勝までの3試合を投げ抜いた黒川が先発を外れ、県決勝と同じ布陣で挑んだ。先発石田は一回から相手の中軸に連打を浴び、三回途中で降板。無死二、三塁からマウンドに上がった2番手古賀がピンチをゼロでしのいだが、五回につかまった。
前日の準決勝に続き、守備にほころびが出た。一、五回の送球ミスが失点につながり、投手陣を援護できなかった。主将の本田は「大会までずっと課題にしていた部分。一つのミスで流れが持っていかれてしまった」と悔しさをにじませた。
攻撃では準決勝まで好調だった打線が7安打と鳴りを潜めた。中軸は相手のエース左腕に無安打に封じられ、4番佐伯は「変化球を警戒したが、相手が上手だった」と下を向いた。七回に市村、九回に代打井門が得点を挙げたが及ばなかった。
それでもチームは13年ぶりの決勝に進出。準優勝を果たし来年1月30日の吉報を待つ。本田は「出場が決まってからでは遅い。選抜優勝を目標に、一冬越えて成長した姿を見せたい」。関東大会で得た自信と課題を胸に来春の晴れ舞台に備える。
劣勢も下位で奮闘
9番 市村
劣勢の展開で9番市村が奮闘した。1―8で迎えた七回無死一塁、真ん中低めの直球を振り抜くと、打球はぐんぐん伸びてそのまま右翼席に飛び込んだ。自身の公式戦初本塁打が強豪相手に一矢報いる一発となり、「とにかく点が入ってよかった」と安堵(あんど)した。
10点を追う九回にも無死三塁から犠飛を放ち、この日チーム最多の3打点を挙げた。「上位打線につなぐのが自分の役目」と無欲で打席に入った結果が好成績につながり、苦しむ打線の中で存在感を発揮した。
決勝を含めた関東大会の4試合で13打数6安打7打点と、9番打者ながら打撃での貢献度は高い。「打撃は悪くなかったが、守備でのミスがあった。重圧と戦うメンタルを持ってセンバツに臨みたい」と敗戦を糧に成長を誓った。
反撃呼んだ粘投
救援 古賀
花咲徳栄2番手左腕古賀が好救援を見せた。0―3の三回、無死二、三塁でマウンドに上がると、「ここで抑えないと自分に代わった意味がない」と4~6番を三者凡退に切ってとった。四回も無失点に抑えると、五回の反撃につなげた。
県大会決勝でも2番手として登板。それ以来の公式戦登板で「関東大会は雰囲気が違った。空気が重く、最後まで投げ切れなかった」と五回に打者14人の猛攻を受けた。まだ経験の浅い1年生は一冬を越し、エースを支える投手に成長する。
士気上げる生還
代打 井門

9回表花咲徳栄無死三塁、市村の右犠飛で三塁走者井門が生還。捕手光永
決勝の舞台で関東大会初打席の井門が結果を残した。九回無死一塁から代打で登場すると、「点差があった分、思い切り振れた」と内角の直球を捉え中越え三塁打を放った。続く市村の犠飛で本塁に生還し、最終盤にチームの士気を上げた。
試合前に岩井監督から「右ピッチャーが来たら行くぞ」と言われ、ずっと準備を怠らず出番をうかがっていた。左の代打の切り札は「控えでもチームを底上げして、一丸でセンバツに向かう」と敗戦に悲観せず次の目標を見据えた。
=埼玉新聞2025年10月26日付け9面、27日付け1、7面掲載=
サイト内の花咲徳栄高校の基本情報は→こちら
学校の特徴~学校からのメッセージ2025~
本校ではICT教育を深化させ、協働学習をすべての教科で取り入れています。CBTの実施により、理解の定着度をリアルタイムで測定し、個々の最適な学習環境を整備しています。適切な学習支援と学校生活全般の課題解決につながる一貫した指導を展開しています。
カテゴリー
よく読まれている記事