<第2地区>
慶応志木 悲願の花園へ
ラグビーの第105回全国高校埼玉大会(埼玉新聞社など後援)最終日は15日、熊谷ラグビー場で第1、2地区の決勝を行い、第2地区は第6シード慶応志木が第2シード川越東を21―19で下して初優勝を飾った。第1地区は第1シード昌平が第5シード熊谷に36―22で勝利して2年連続6度目の頂点に立った。
慶応志木は0―12の前半終了間際にフランカー足達のトライとSH荒木のゴールで、7―12として前半を終えた。後半は得意のモールがさえわたった。同2分にロック橋本のトライで同点に追い付くと、直後にSH荒木のゴールで勝ち越し。14―19の同19分に、モールから抜け出した主将のCTB浅野がトライを決めて逆転した。
昌平は前半7分までに熊谷に2トライを献上するなど、14―19とリードを許して試合を折り返した。後半はFW戦で優位に立つと、同5分にプロップ川端が同点のトライ。直後にFB宮本がゴールを決めて勝ち越すと、流れを掌握した。その後は、ナンバー8但木、CTB玉川、SO木場がそれぞれトライを決めるなど攻勢を続けた。
今大会は記念大会のため、昌平と慶応志木の2校が埼玉代表として全国高校大会(12月27日~来年1月7日・花園ラグビー場)に出場する。

第2地区決勝 慶応志木―川越東 後半1分、慶応志木のSH荒木(手前中央)が突破を図る=15日、熊谷ラグビー場
慶応志木が後半に逆転して川越東との接戦を制した。
先制を許した慶応志木は前半31分、フランカー足達がゴールポスト下にトライを挙げ、7―12で前半を折り返した。後半2分にロック橋本が混戦を抜けてトライを挙げて追い付くとSH荒木のゴールで勝ち越した。同8分に逆転されたが、同19分にCTB浅野がモールから抜け出し同点トライを奪い、再び荒木がゴールを決め、決勝点を奪った。川越東は後半にボールを保持する時間が減り、相手の圧力に屈した。
スタイル堅持 集大成

第2地区 慶応志木―川越東 試合終了の笛が鳴り、初優勝に喜びを爆発させる慶応志木の選手たち
信条とするモール戦術を貫いた慶応志木が1958年の創部以来、初の花園出場を決めた。ノーサイドの笛が鳴ると、慶応志木スタンドは大歓声に包まれた。同校での指導歴が40年以上の竹井監督は「計画通りの試合。(優勝まで)本当に長かった」と喜びをかみしめた。
前半から豊富な運動量で相手に食らい付いた。互いにチャンスをつくり、前半終了まで一進一退の攻防が続いた。0―12の同31分、「ようやく自分たちの形で組めて力で押し切れた」とフランカー足達がトライを挙げ、後半に勝負をつないだ。
後半はどれだけ崩されようと、スタイルを堅持した。同2分に橋本がモールからトライ。
同19分の攻撃は目を引いた。サイド攻撃とリモールで着実に前進し、計4度目のモールから最後は主将のCTB浅野がトライを取り切った。
相手への対策も万全だった。元日本代表で浅野の父・良太さんや猪口拓さん、東芝の元監督である冨岡鉄平さんが練習に加わり、選手に助言した。ロック橋本は「ラインアウトの指導や個別の教えが実戦に生かせた」と実感を込めた。
61年ぶりに臨んだ決勝の舞台で集大成を示した。多くのOBが応援に駆け付ける中、悲願の花園への扉を開いた。橋本は「選手はみんなが同じ夢を見てきた。さらに鍛えて全国の舞台を楽しみたい」と声を弾ませた。
仲間信じ攻守に奮闘
浅野
慶応志木のCTB浅野が攻守にわたり奮闘し、勝利を呼び込んだ。14―19で迎えた後半19分、モールの最後尾から飛び出すとそのまま同点のトライ。終盤に試合を振り出しに戻し、その後のゴールによる逆転を呼び込んだ。
試合を通して持ち味のキックでラインを制御し続けた。後半28分には自陣深くまで迫った相手に鋭いタックルで反則を誘い、ピンチの芽を積んだ。「仲間たちに前を向かせ続けることを意識した」と数字に表れない貢献も惜しまなかった。
1年生時から試合に先発出場する経験豊富なCTBは、主将としてチームの精神的な柱も担っている。「自分が前に出続けるプレーをすることで、チームの結び付きを強めたい」と花園でも自身のプレーする姿でチームをけん引する。
川越東
入念準備も力に屈す

前半5分、川越東のFB飯野(下)が抜け出して先制トライを奪う
県内2強の一角を形成していた川越東が第2地区決勝で涙をのんだ。望月監督は「(選手に)花園に行くのは簡単ではないともずっと言ってきた。一切油断はなかった。足りないところはなかった」と悔しさを抑え込みながら話した。
慶応志木のモール対策は入念に準備を重ねてきたが、力強さで上回られた。奪われた3トライは揺さぶられて走られたわけではなく、正面から押し込まれてのもの。力比べに持ち込まれると、得意のアタッキングラグビーは影を潜めた。
FB飯野とフッカー佐々木大の連続トライで滑り出しは順調だった。後半2分に逆転されたが同8分にCTB谷川が「チームランとして何回もやってきた形だった」と逆転のトライ。底力を発揮したが同19分に再逆転を許した。
花園で勝利できるチームを掲げてきたが、その舞台には手が届かなかった。主将の飯野は「昨年準決勝で負けた悔しさがあったが、その悔しさを晴らすことができなかった」と大粒の涙は止まることがなかった。
けが押して先制T
飯野
先月に左膝を痛め、テーピングを巻いて先発出場した川越東のFB飯野が前半5分に先制トライを奪った。「いいパフォーマンスができなかった」と万全の状態ではなかったが、積極的に攻撃を仕掛け、主将としてチームを引っ張った。
花園に2度出場経験がある強豪校の背番号15を背負った。「歴代、川越東のスター選手がつけている背番号。気持ちが足りなかった」と責任とその重みを感じていた。持ち味の展開ラグビーは影を潜め、最後まで涙が止まらなかった。
=埼玉新聞2025年11月16日付け1、9面掲載=
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