患者さんに明るさ届けたい
県立川越工業高校の美術部の生徒が川越市鴨田にある埼玉医科大学総合医療センター1階フロアのグランドピアノに装飾を施している。デザイン案から製図、模型作り、ペインティング、完成に至るまで約7カ月を費やすプロジェクト。完成は9月末の予定で、生徒らは、「患者さんたちに明るさを届けたい」と張り切っている。

グランドピアノにペインティングする県立川越工業高校美術部員の生徒たち=川越市鴨田の埼玉医科大学総合医療センター
きっかけは同医療センターの入院・通院患者からの「ピアノをストリートピアノのように自由に弾きたい」という数通の投書からだった。同センター診療サービス委員長で緩和医療科教授の儀賀理暁医師(57)は、「地域とのつながり、交流を大切にしたい」と構想。儀賀医師によるがん教育を2年前に受講した同校生に声をかけた。
同校美術部は、文化部のインターハイといわれる「全国高校総合文化祭」に、部長で2年の松谷柚奈さん(16)が県代表として出品するなどの実力派ぞろい。部員21人が取り組んでいる。プロジェクトリーダーを務める3年の田村真穂さん(18)は、「ピアノの奥には小児科があります。子どもが見たらワクワクするような明るい気持ちになってほしくて暖色を使い、ストーリー性を考えました」と話した。

同高校美術部室にある5分の1サイズのグランドピアノ模型=川越市西小仙波町2丁目
デザイン案は部員それぞれから提案された約20種から部内のコンペを経て決定。「結」をテーマに、「患者や家族、医療者の命と思いが交わる場所にしたい」との願いを込めた内容になった。
ピアノの上部に当たる「大屋根」には太陽、裏には月を描き、控えめな外見の中に燃えるようなエネルギーを隠し持ったピアノを表現。ハトをモチーフに平和と健康と幸せを祈り、菜の花やバラ、レンゲソウの花言葉から「ピアノに集う患者さんたちが、『独りじゃない』と感じる喜びや、音楽の楽しさを分かち合ってほしいという思いを込めた」。
ピアノに適切な材料選びを担当した3年の渋谷蓮さん(18)は、「美術部始まって以来の大作業です。ピアノの油膜を取り、下絵を転写。ガラスプライマーを添布し、乾燥させ、アクリル絵の具は81色を用意しました」と笑顔を見せた。「完成した暁にはロビーコンサートを開きたい。音楽が治療の一部、癒やしになればいい」と儀賀医師は話している。
=埼玉新聞2026年9月9日付け9面掲載=
サイト内の川越工業高校の基本情報は→こちら
学校の特徴~学校からのメッセージ2026~
本校は、明治41年の開校以来、埼玉県で最も伝統と歴史のある工業高校として、常に工業界をリードする人材を育成してきました。「誠実・勤勉・創意」という校訓のもと、心と体を鍛え、技術を磨き、将来の夢を実現するための第一歩を踏み出せる学校です。令和8年度からは、就職や進学など多岐にわたる進路選択が可能な新たなカリキュラムを導入しています。また、部活動も盛んで、自転車競技部、柔道部、美術部が関東大会や全国大会に出場しています。
カテゴリー
よく読まれている記事