県原爆死没者慰霊式で自らの言葉で訴える
25日に開催された県原爆死没者慰霊式に、県立浦和高校3年生の清水雅文さん(17)と武田大輝さん(17)が出席し、「原爆平和への誓い」を読み上げた。昨年10月、同校で行われた平和学習講演会で被爆者の声を初めて聞き、原爆の実相を知った2人は、自らの言葉で「広島、長崎の悲劇が再び繰り返されないことを強く願う」と訴えた。
「原爆平和への誓い」を読み上げる清水雅文さん(右)と武田大輝さん=25日午前、さいたま市浦和区のさいたま共済会館
県原爆被害者協議会(しらさぎ会)副会長の久保山栄典さん(84)が昨年10月、同校で講演した。8歳の時に長崎で被爆した久保山さんは実体験を語り、生徒から数多くの質問を受けたという。今回の慰霊式で広島市長と長崎市長のメッセージを代読してもらおうと、久保山さんが声を掛けたところ、高校生が自らの言葉で語りたいと希望したという。
久保山さんの講演を聞いた清水さんは「メッセージと悲惨さに圧倒されてしまった。何をしていいか分からなかったけれど、何かしなければいけないと思った」。人権問題に関心を持っていた武田さんは「被爆者の生の声を初めて聞いて、原爆の悲惨さを肌で感じた」と話した。
2人は先生に相談しながら、文言を練り上げた。「日本が平和であっても、世界のどこかで戦争やさらに原爆といった悲劇が起きては、本当の平和とは言い難いと考えます」「世界で原爆が使われないためには、平和への想(おも)いを、日本のみに留まらず世界に発信し続け、世界中の人々とともに協力していくことが重要です」「唯一の被爆国の主権者として、これからも核が二度と使われることがないように強く主張していかなければならないと思っています」などと誓った。
久保山さんは、被爆体験ばかりでなく、東日本大震災や各地の水害などの体験を継承することが社会全体の課題になっていると指摘。「われわれの場合は76年が経過して、継承するのはなまじっかなことではない。同情ではなく共感が必要で、高校生の彼らは共感をしてくれた。彼らのメッセージは、きょうのあいさつの中で、一番良かった」と評価していた。
=埼玉新聞2021年7月27日付け11面掲載=
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