2021年9月15日配信
出席停止=欠席ではない
正しい情報を知って不要な不安を抱えないように
9月10日、文部科学省は令和4年度高校入試における配慮事項について通知を出しました。
内容は、調査書記入される欠席日数に関わること、受験生のワクチン接種に関わることの2点です。
全国の教育委員会等に向けて出されたものなので、受験生の皆さんは直接見る必要はありませんが、気になる方は文部科学省のホームページを当たってください。
◆出席停止は欠席にはならない
新型コロナ感染症にかかった場合、生徒の皆さんに対しては出席停止という措置が取られます。分かりやすく言うと、「学校に登校してはいけません」ということです。感染の拡大を防ぐためで、法律で決まっているのです。インフルエンザにかかった場合も、同様の措置がとられます。出席停止は、学校に行かないのだから欠席として扱われるのではと心配する人もいますが、欠席扱いにはなりません。ですから、これによって欠席日数が増えることはありません。
このように、学校を休んでも欠席扱いにならない場合としては、身内の方にご不幸があった時に使う忌引き(きびき)があります。また、皆さんは「公欠」という言葉を聞いたり使ったりしたことがあると思いますが、部活動の公式大会参加のため学校を休んだ場合も欠席扱いにはなりません。 感染が拡大し、学級閉鎖や学年閉鎖、さらには学校全体として臨時休校(休業)というケースも考えられますが、皆さんが個人の意志や事情で休んだわけではありませんから、この場合も欠席扱いにはなりません。
◆調査書にはどのように記載されるか
埼玉県公立入試で使用される調査書には、1年生から3年生まで、各学年における欠席日数とその主な理由を記載する欄があります。県教委ホームページに様式が載っていますから、機会があったらぜひ確認してみてください。
前述のように、コロナによる出席停止は欠席扱いにはならないので、それにより欠席日数が増えることはありません。コロナによる出席停止があったとしても、それ以外の病気や怪我などによる欠席がなければ、欠席日数は「0」となります。
◆欠席日数が多くても不利にならない
コロナによる出席停止は、欠席扱いにならないので、調査書上、不利になることは無いと分かりました。
では、ここからは、いったんコロナから離れて、一般論として欠席が多いと不利になるかどうかを考えてみます。県教育委員会ホームページに、「令和4年度入試ついてのQ&A」が載っています。
この中に、「Q10-10:欠席が多いと、選抜の際に不利に扱われませんか」という問いがありますが、答えは「欠席が多いことだけで、不利に扱われることはありません」(該当ページは→こちら)となっています。各校が発表している選抜基準(7月9日)を見ても、「選抜の基本方針」や「調査書の扱いの詳細」の中に、「出欠の記録」についての記述がありません。他の項目のように得点化されるわけでもありません。
したがって、欠席日数が多いことをもって不合格とされることはありません。
なお、補足情報ですが、公立高校入試の制度や方法などは都道府県ごとにさまざまです。それに伴い、調査書様式(記載する項目など)も都道府県によって異なります。埼玉県公立入試では、調査書に各学年における欠席日数の記載欄がありますが、出欠に関する記載欄が無い都道府県もあります。
◆私立では欠席日数が影響する場合も
ここまで、埼玉県公立入試を中心に説明してきましたが、私立高校入試についても触れておきましょう。
埼玉県内私立高校入試では、調査書様式については公立高校と同じものを利用している学校が多いようです。したがって記載事項は欠席日数と、その主な理由のみです。
公立と異なるのは、推薦入試(単願推薦や併願推薦)などにおいて、「〇年間で欠席〇日以内」といった条件を設けている学校があることです。条件は学校ごとに異なりますから、募集要項で確認すると共に、説明会や相談会などでもしっかり確認するようにしてください。
なお、繰り返しになりますが、この場合でも、コロナによる出席停止は欠席扱いではありませんので、欠席日数にはカウントされません。
(教育ジャーナリスト・梅野弘之)
=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=
埼玉県教育委員会の
令和4年度埼玉県公立高等学校入学者選抜に関する情報は→こちら
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