春季高校野球関東大会 (22日・栃木県総合運動公園野球場ほか)
第2日は2球場で2回戦4試合を行い、今春の選抜大会4強の浦和学院が、桐蔭学園(神奈川2位)を4―2で下した。県大会準優勝の山村学園は、市船橋(千葉1位)に12―2の七回コールド勝ちで、それぞれ8強入りした。
浦和学院は、先発浅田が4安打2失点で完投。打っては、六回に大内の右越えソロなどで、この回3点を先制する。七回には、金田の中前適時打で追加点を挙げた。
山村学園は、17安打12得点と打線が奮起。2―2の三回1死二、三塁から山田浩の右前適時打で勝ち越し。七回には、坪井が左越え3ランを放つなど、一挙4点を奪った。
第3日は23日、栃木県総合運動公園野球場で準々決勝2試合を実施。埼玉県勢は、第4日の24日に同球場で残りの準々決勝2試合に登場し、浦和学院は茨城1位の明秀学園日立(10時)、山村学園は栃木1位の作新学院(12時30分)と対戦する。
強気で譲らず完投
「絶対にマウンドを譲らない」。強い気持ちで先発した浅田が、4安打2失点で完投勝利。日頃は冷静沈着だが、この日は最後の打者を三ゴロに抑えると雄たけびを上げた。
「3人(宮城、金田、芳野)には負けたくない」と強い思いがあった。チームの二枚看板であるエース宮城と金田に加え、県大会決勝で6回無安打無失点で好投した芳野が台頭。先発争いが激化する中、浅田は県大会で6回2失点し、「(チームで)自分だけ失点して悔しかった」。だが、これが糧となり、スプリットの精度と直球の球威を磨いて関東大会の初戦に臨んだ。
一回からエンジン全開で、常時130㌔台後半の真っすぐとスプリットを決め球に、八回まで3安打無失点。九回は、味方の失策などで2失点すると、ベンチ脇で宮城と芳野が準備を始めた。その様子を目にし、「絶対に投げさせない」と意地で得点を許さなかった。
試合終了後、右腕からは笑みがこぼれた。「気持ちの強さでは負けない」と夏に向けて成長を続ける。
9番打者の大内 先制ソロで流れ
9番大内が先制ソロを含む2安打1打点の活躍。「(バットを)振り切って結果を出す」と心がけたフルスイングで打線に勢いをつけた。
六回、先頭打者で迎えた打席。「自分たちで流れを持っていかないといけない」と内角のチェンジアップを捉えて、右越えソロとした。公式戦初の本塁打に「新鮮な気持ちでダイヤモンドを回れた」とほほ笑んだ。
新座東シニア出身の二塁手。「三振でもいいからフルスイング」とこれからも全力プレーで貢献する。
伸び伸び夏へ助走
山村学園は甘い球を逃さない積極的な打撃が光った。岡野監督は「何も考えず楽しんでやっている。負けてもいいよ、勝つと経験になるよ、と言っているので普段通りできた」と、大舞台でのびのびしたプレーを貫いた選手たちをたたえた。
2―2の三回から相手エース左腕の森本哲星を引きずり出し、敵失に乗じて山田浩、塙の連続適時打などで4点を勝ち越した。その後も小技を絡めて常に先手を取り、3番坪井の2本塁打が相手のベンチと応援席を意気消沈させた。
前評判が高かった森本哲星の速球対策も功を奏した。OBの和田(桐蔭横浜大)や佐々木(鷺宮製作所)がそれぞれオフを利用して打撃投手に名乗りを上げ、2本塁打の坪井は「やってきた分、緊張することなく打席に立てた」と感謝した。
山村学園が9月で創立100周年、所在地の川越市も市制施行100周年の節目を迎え、「学校から行けと言われているわけではないが、私の中で勝手に甲子園を企画している」と岡野監督。本番の夏に大きく羽ばたくための助走は順調だ。
坪井が2発 三冠目指す
高弾道で2本の放物線を描いた。山村学園の3番坪井は2本塁打を含む3安打4打点の活躍。いずれも低めの変化球を懐まで呼び込み、力強くスイング。四回の左越えソロは打った瞬間に、七回の3ランは左翼ポールの内側に直撃させた。
中学時代は浦和シニアでチームを全国制覇に導いた逸材で、岡野監督も「プロに行きたいなら関東で打つしかない」と期待を込める。「目標は(埼玉)西武の中村(剛也)選手や落合(博満)さん。三冠王を取れる打者になりたい」と目を輝かせた。
=埼玉新聞2022年5月23日付け7面掲載=
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