(最終日、13日・サイデン化学アリーナ)
男女の決勝までが行われ、男子の昌平が2年ぶり2度目の頂点に立ち、女子の細田学園は2年連続の栄冠に輝いた。両校は全日本高校選手権(来年1月4~8日・東京体育館)に出場する。
男子の第2シードの昌平は準決勝で第3シードの埼玉栄に2―0で勝利すると、決勝は第1シードの正智深谷を3―0のストレートで下した。
女子は第1シードの細田学園が、準決勝で第4シードの正智深谷を2―0で破ると、決勝では第3シードの春日部共栄を3―1で退けた。
男子
男子決勝 正智深谷―昌平 第2セット、昌平の鈴木叶(7)がスパイクを決める
多彩な攻撃で圧倒した昌平が、2年ぶり2度目の栄冠を手にした。試合の入りから、取られては取り返す競った展開だったが、坂本遼と永田のスパイクで主導権を握ると第1セットを25―18で先取した。第2セットは、クイックやフェイクなど小技を生かし25―20で奪取。第3セットは、互いに譲らぬラリーでしぶとくつなぎ、25―20で制してストレート勝ちした。
正智深谷は、白野の強打で得点を重ねたが、ブロックのタイミングを合わせきれず守備から崩れ、力負けした。
多彩な攻撃 宿敵圧倒
多彩な攻撃と積極的守備で他を圧倒した昌平が2年ぶりの王座に返り咲いた。掛川監督は「自信はあった。勝つなら3―0でスパッと出し切って終わろうと思っていた」と思い描いた試合運びで勝利をつかみ笑顔を見せた。
クイックやフェイクを絡めた時間差攻撃で、相手に的を絞らせない点の取り方が光った。3年連続で県決勝を経験したレフト坂本遼は「春高に絶対に行くために最後は自分が決める」。強気で突き刺すようなスパイクで流れを引き寄せ、第1セットを先取した。
第2セットも奪うとセンター永田は「まだ抜くところじゃない。もう1回点差を広げよう」とチームの気を引き締め第3セットへ。坂本遼と永田は相手エース白野に狙いを定め、先手を打った2枚のブロックで応戦。しぶとくボールを拾い続け、粘りのバレーで手にした勝利だった。
今季、2度の敗戦を喫している相手に雪辱を果たし、主将の坂本遼は「すごくうれしい。春高でも粘りのチームで行きたい」。勢いそのまま、念願の舞台に挑む。
正智深谷高校
高さ封じられ沈黙
男子の正智深谷は強みの高さが封じられ、初優勝に届かなかった。鈴木監督は「ブロックのタイミングをずらされ、修正し切れなかった」。持ち味を消され攻撃陣が沈黙。じりじりと得点差を広げられた。
6月の高校総体県大会を制し、全国に手が届いたはずだった。ところが、出場辞退で念願の舞台は持ち越しとなった。「春高で全国に行きたい思いが強かった」と主将の松岡。チーム一丸で臨んだ大会だったが、5カ月前の再現はならなかった。
それでも、2年生エースの白野は、苦しみながらも決勝で27得点と活躍した。チームは下級生主体で今後の成長は楽しみ。3年で唯一の先発だった三ツ橋は「下級生たちは力がある。来年は100%の力を発揮して優勝してほしい」と、言葉を振り絞り夢を託した。
女子
女子決勝 細田学園―春日部共栄 第4セット、細田学園の寺田(2)がスパイクを決める
劣勢にも動じなかった細田学園が、春日部共栄を逆転で下した。細田学園は第1セットで、相手の高さに苦しみ16―25で圧倒された。それでも、レフト渡会のスパイクなど攻撃力を発揮し第2セットを25―15で取り返した。接戦になった第3セットをライト寺田の連続得点などで25―22で競り勝つと、第4セットは25―17で退けた。
春日部共栄は、神宮司、アジェイらの高さで第1セットを先取。第3セットでも最大5点のリードを奪ったが、流れを生かし切れなかった。
勝負の分かれ目逃さず
第1セットを簡単に失った女子の細田学園だったが、選手たちに動揺は見られなかった。主将の寺下は「うまくいっていなかったが、自信があった」と迷いなく自らのバレーを貫き、逆転勝利で頂点に立った。
第2セットで反撃に転じ、1―1のイーブンに。勝負の分かれ目は第3セットだった。高さを生かした春日部共栄が息を吹き返し、最大5点差までリードを広げられた。劣勢の場面になり、伊藤監督はけがを抱え万全ではなかったライト寺田をコートに送り込んだ。
逆転を託された背番号2が期待に応えるプレーで流れを呼んだ。寺田は「出られない予定だったが、チャンスが回ってきた。やってやろうと思った」。強烈なスパイクを決めると、ブロックポイントなど5連続得点。チームに力がよみがえり、第3セットを競り勝った。
勝負どころのセットを手にすると、エース渡会を中心とした攻撃バレーで一気に第4セットも奪い全国を決めた。指揮官は「負け試合だったが、3年生たちが立て直してくれた」と賛辞を送った。春高4強の目標へ、総合力の高さを示した。
春日部共栄高校
成長実感もあと一歩
打倒・細田学園を掲げ、女子の春日部共栄は幸先の良いスタートを切ったが、悔しい逆転負け。第2セットから立て続けに落とし、吉田監督は「攻め続けられなかった」と肩を落とした。
けがから8月に復帰したエース荒川を軸に、積極的に仕掛けて第1セットを25―16で先取。荒川は「迷惑をかけた分、思い切りやろうと思った。みんなが常に攻める気持ちで、全力で攻めきれた」とチーム一丸となって戦った。
5月の関東予選決勝でストレート負け。敗戦後に掲げたテーマの「攻めるサーブ」を実践し、第1セットを奪えたことは成長の証しだ。主将の中尾は「一歩届かなかったのが本当に悔しい」。健闘の末の敗戦に、中尾の目からは涙があふれ出た。
=埼玉新聞2022年11月15日付け8面掲載=
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