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コエドビール朝霧社長 母校川越高校で講演

地域発の挑戦語る

 県内の地歴公民科教諭の有志でつくる県高校社会科教育研究会地理部会は3日、川越市郭町の県立川越高校で3学期の研究会を開き、同高卒業生でクラフトビール「コエドビール」を展開する協同商事(本社・川越市)の朝霧重治社長が講演した。講演には部会に所属する教諭のほか、在校生ら30人余りが参加。朝霧社長は、地域から世界を目指す挑戦について語った。

 

講演する協同商事の朝霧重治社長=3日、川越市郭町の県立川越高校

 

 協同商事は1975年、有機農業を支えるため、生協の青果産直事業から創業。82年に会社を設立し、96年にビールの醸造を始めた。朝霧社長は「新しい日本の農業をつくろうという思いは、今も変わらない。グローカルという言葉が好きで、点と点がつながるように国を超えて顔が見える関係が良い」と言う。
 国内のビール業界は99年をピークに縮小へ転じているが、朝霧社長は「個性豊かなビールは喜ばれ、成長産業となっている」と解説。地域性が強い食品は世界各国で評価される傾向にあり、「日本の食は独特。サツマイモから造ったアルコールは日本にしかない」と川越の名産品を使った同社のビールが海外で受け入れられた背景を探った。
 会社は近年、オーガニック野菜専門の青果店を開いたり、ビールの原料となる大麦栽培に着手するなど、創業の原点を踏まえた新たな事業に踏み出している。朝霧社長は「イノベーションは創造的対応を意味していて、ゼロから生み出すことだけを指すのではない。改良し、磨き上げるのは、日本人の最も得意な分野だ」と可能性を示した。
 講演を聴いた同高2年生で、新聞部部長の堀野遥さん(17)は「広い視野で考え、信念を持つことの大切さがよく分かった」と感銘を受ける。同じく新聞部2年生の小林大晟さん(17)は「自分も先輩のようになりたい」と、憧れのまなざしを注いだ。

 

=埼玉新聞2023年2月7日付け11面掲載=

 

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