JR京浜東北線、蕨駅に近い川口市の芝園団地。集会室で月1回、団地や周辺に住む高齢者が気軽に集まってゲームや談笑を楽しむ「ひまつぶし」が昨年3月に発足して1年経過した。代表は団地で民生委員をしている荒木紀理子さん(68)で「楽しみにしてきてくれる人がいる。それが励み」と話す。
「ひまつぶし」で歌う工藤慎太郎さん=11日、川口市の芝園団地
市の包括支援センターが開いた地域活動リーダー研修の参加者が始めた。スタッフの中心は同団地や隣の芝富士町の民生委員5人だ。
「コロナ禍でお年寄りは全然外へ出なくなった。孤立しているお年寄りに、談笑や交流の場をつくろう、と始めた。1年間やってつぶれなかった。これからも続けたい」と荒木さんは元気だ。
月に一度はスタッフで会議を開き、活動の企画を話し合う。その中から生まれたヒットが「ペットボトル・ボーリング」。空きボトルをピンに見立てて10本並べ、2~3㍍離れたところから水を入れたペットボトルを横に倒して転がすと右に左に不規則に進む。点数の数え方も一工夫した。脳トレにもなり、大変盛り上がるという。
11日は川口市出身で川口市立高校の校歌を作詞作曲したシンガーソングライター工藤慎太郎さんを招いてコンサート。いつもより多い50人が集まった。
工藤さんは「坂本九さんのような歌手になりたい。言葉は簡単だけれど、訴える力は大きいから」などと自己紹介。「頑張ってー」の声援が会場から起こり、工藤さんは自作の「シェフ」や懐メロの「影を慕いて」などをギターを弾きながら歌った。
「シェフはバイトしていたイタリアンレストランのシェフを歌にした。この歌は私をデビューさせてくれた。人生の恩人です。街頭では影を慕いてを歌った時に5000円が入っていた。それから毎日歌いました。でも5000円は入ってませんでした」
会場では時々、爆笑と拍手が起きた。いつも仲良しの女性と2人で参加しているという70代の女性は「2人とも仕事しながらこの団地でずっと暮らしてきた。2人とも独身。ここが青春時代だった」と一人が話した。
もう一人の女性は「ひまつぶしがあるのはうれしい。自治会の盆踊りもコロナでなくなっちゃたし、今日は楽しかった」と話した。
=埼玉新聞2023年4月23日付け10面掲載=
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