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西埼玉地震教訓に 理系出前授業ー熊谷女子高校

 日本全国各地で最近、大きな地震が頻発している。今年は1923年9月1日に発生した「関東大震災」から100年。節目となるが、県内でも31年に「西埼玉地震」という大きな地震が起きている。関東大震災で壊滅的な被害が発生したこともあり、知名度は決して高くない。しかし、県内全域には活断層帯があり、いつまた大きな地震が起こっても不思議ではないという。

横ずれ断層のモデル実験を体験する生徒たち=熊谷市末広の県立熊谷女子高校

 

 5月29日午後、熊谷市末広の県立熊谷女子高校。1年生を対象に「埼玉大学WISE―P(Woman In Science and Engineering Program)出前授業」が行われた。理工系への興味関心を高めることが目的で、同大教授ら8人が講師を務めた。
 授業の内容は「ロボット技術と健康寿命の延伸」「植物バイオテクノロジーで環境問題に挑む」「ウイルスと病気~遺伝学に関した話を中心に~」「防災・減災に必要な地学の知識」「感染症に挑む!~工学からのアプローチ~」「分子デザイナーのおしごと」「感染症と数学」「つながりから見る世界」をテーマに行われた。
 同大大学院の長田昌彦教授が「防災・減災に必要な地学の知識」を演題に授業を実施。市のハザードマップや西埼玉地震などを説明した。西埼玉地震は31年9月21日に寄居町付近を震源としたマグニチュード(M)6・9の大きな地震。県内の広い範囲で震度5程度の揺れとなり、長田教授は「地表地震断層は現れず、左横ずれ断層と推定された。被害は荒川と利根川に沿った比較的地盤が軟らかい場所に集中した」と紹介した。
 西埼玉地震では、死者は11人、負傷者は114人、全壊家屋172棟に達したとされる。地震が発生した場所には深谷断層帯という断層があるほか、県内全域には北東部にかけて関東平野北西縁断層帯と呼ばれる活断層帯が横断している。

西埼玉地震によって倒壊した鴻巣市大芦の家屋(「西埼玉強震報告」出典、熊谷地方気象台所蔵)

 

 出前授業では、生徒たちは横ずれ断層のモデル実験も体験。よくこねた紙粘土を敷き詰めたフレームを横にずらして、粘土の表面にできる構造を観察していた。参加した久保田杏珠(あんじ)さん(15)は「普段はあまり意識しないような埼玉や熊谷の地形が分かり、面白いなと思った」などと感想を語った。
 長田教授は自分の住んでいる地域の地形や地質を知っておく重要性を強調。「災害が発生してから考えるのでは遅い。日頃から災害が起こったらどう振る舞うか考えておくことが大切」と話していた。

 

=埼玉新聞2023年6月7日付け15面掲載=

 

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