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秋季県高校野球大会 花咲徳栄4年ぶりⅤ

徳栄 王者返り咲く

 秋季県高校野球大会最終日は3日、県営大宮球場で決勝を行い、花咲徳栄が昨年王者の昌平を8―5で下し、4年ぶり7度目の栄冠に輝いた。
 花咲徳栄は、1―1の三回1死満塁に更科の中前2点適時打で勝ち越すなど、この回一挙5点を奪った。同点で迎えた七回無死一、三塁に更科の右中間を破る2点適時三塁打が決勝点となった。守っては、先発和久井が5回を投げて5失点。六回から登板した額川が無失点に抑えた。
 昌平は先発木下ら4人の投手を起用したが、8失点と相手打線につかまった。
 花咲徳栄と昌平は、来春の選抜大会出場の選考材料となる秋季関東大会(21~24、28、29日・栃木)に出場する。

昌平―花咲徳栄 7回表花咲徳栄1死三塁、額川がスクイズで追加点を奪う。捕手飯田=3日、県営大宮

 

 花咲徳栄は三、七回の集中打で昌平に打ち勝った。
 1―1の三回1死満塁に更科の2点適時打など、この回打者10人の攻撃で5点を挙げた。同点の七回無死一、三塁から更科の2点三塁打が決勝点。1死三塁とし、額川のスクイズがダメ押し点となった。昌平は相手を上回る11安打を放つものの、投手陣の継投策が実らなかった。

 

したたかに多彩な攻め

昌平―花咲徳栄 3回表花咲徳栄1死満塁、更科が中前に2点適時打を放つ。捕手飯田

 

 したたかな野球を貫いた花咲徳栄が、4年ぶりに秋の王者に返り咲いた。岩井監督は「秋は打つというより崩す意識。できることをしっかりやって相手を追い込めたのがよかった」と、7死四球を絡め10安打8得点を挙げたナインをたたえた。
 1点を追う三回に四球で同点とすると、なお1死満塁で6番更科が2点勝ち越しの適時打を放つなど、打者10人でこの回一挙5点。同点の七回には、更科の2点三塁打と8番額川のスクイズで3得点し、小技も絡めた多彩な攻撃で再びリードを奪った。
 投げては同点の六回に登板した2番手額川が気を吐いた。準々決勝では3四死球で満塁の危機を築き、わずか22球で降板。「全然役に立てなかった分、きょうはやってやるぞ」と、カーブとフォークを軸に30㌔前後の緩急差で打ち取り、4回を被安打1、無失点の好投で流れを引き寄せた。
 春夏秋通し2019年の秋季県大会以来、12季ぶりに手にした栄冠。「勝ち一つにこだわってきた」と主将の生田目。走塁に自信のある新チームは、つないでためて、9人全員で好機を築く野球を身上に勝ち上がってきた。
 一体感ある打線を象徴する大会通算52安打52得点の結果にも岩井監督は「10割じゃなきゃ駄目。アウトが多すぎる。もっともっとできるはず」。厳しい言葉とは裏腹にこぼれた笑顔は、選手らへの期待に満ちていた。

 

6番・更科 2安打4打点

磨いた勝負強さ

 優勝に王手を懸けた一番で、6番更科が決勝打を含む2安打4打点の大活躍。「優勝を目標にやってきた。チャンスをものにできて良かった」とほほ笑んだ。
 三回1死満塁に2点適時打、七回無死一、三塁に2点三塁打といずれも勝負強さが発揮された。新チーム発足当初は「おっとりした性格で勝負弱いところがあった」と岩井監督。更科自身も本番に弱いことを自覚し、練習を数多くこなしたことで自信に変えた。決勝では「今までは怖さがあったけど、チャンスで回ってくるのが楽しかった」と練習の成果が実って快音を響かせた。
 両親から「悠々と穏やかになってほしい」と願いを込められて名前は悠風(いふう)。新潟出身で同郷の先輩である韮沢(現広島)に憧れ、花咲徳栄の門をたたいた。「必死になってやる」と力を込める。関東でもここぞの一番で見せてくれることに期待したい。

 

昌平 11安打も複数失点響く

3回表花咲徳栄1死満塁、ピンチを迎えて昌平の投手木下(左)に駆け寄る捕手飯田

 

 準決勝までのチーム打率3割7分3厘の打線が相手を上回る11安打を放ったが、投手陣が7四死球と乱れ連覇はかなわなかった。岩崎監督は「課題、足りないところが明確になった」と複数失点した三回と七回を要所に挙げた。
 一回に先制したが、三回に4四球を与えて5失点。同点とした七回にも3失点した。四回からマウンドに上がったエース佐藤は「先頭が全て。フルカウントから粘り負けた」と先頭打者に四球を与え勝ち越しを許した七回の投球に下を向いた。
 打線は一回、3番山根と4番桜井の2連打で先制。リードを許し迎えた五回には5番園田が外の変化球を中前にはじき返す同点打を放った。それでも、六回まで毎回安打の打線は逆転を許した七回以降、影を潜めた。園田は「打ち急いで練習したことを徹底できなかった」と本来の力を発揮できず悔やんだ。
 敗れはしたが、最大目標は関東大会での結果。指揮官は「今日は唯一負けても次がある試合。いい部分も悪い部分も見えた」と試合の収穫を口にした。初の選抜出場に向け、短い時間で修正を図る。

 

桜井
4番の役割果たす

 桜井が先制の左前適時打を放つなど2安打1打点と活躍した。4番の役目を果たした桜井だが「外の変化球を泳いで打ってフォームが崩れた」と結果には満足しない。悪いイメージを持ったまま迎えた五回の第3打席は、無死満塁の好機で併殺に倒れた。
 1年生ながら夏を経験し、新チームから4番に座るが「夏は下位を打っていたけど4番の方が気持ちが楽」と気負いは一切ない。つなぎ役よりも自分の打撃に徹することのできる打順を好む新主砲が、関東大会でもチームを勝利に導く。

 

=埼玉新聞2023年10月4日付け1面、7面掲載=

 

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