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全国高校駅伝県予選 埼玉栄が男女連覇

埼玉栄 男女で独走劇

男子で8年連続43度目の頂点に立った埼玉栄のアンカー高沢=30日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

女子で2年連続27度目の栄冠に輝いた埼玉栄のアンカー根岸=30日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場

 

 全国高校駅伝県予選(埼玉新聞社など後援)は30日、熊谷スポーツ文化公園陸上競技場および同公園内で行われ、埼玉栄が男女で栄冠に輝いた。
 第75回の男子(7区間42・195㌔)は、68校(1校棄権)が参加し、埼玉栄が2時間6分29秒で8年連続43度目の頂点に立った。第36回の女子(5区間21・0975㌔)には39校(1校棄権)が出場し、埼玉栄が1時間11分40秒で2年連続27度目の優勝を飾った。
 男女ともに優勝した埼玉栄が全国高校駅伝(12月22日・京都)への出場権を獲得。上位6位が、北関東4県(埼玉、群馬、栃木、茨城)の優勝校を除く最上位校に全国高校駅伝出場権が与えられる関東高校駅伝(11月16日・群馬)に出場する。

 

男子評 全7区間で区間賞に輝いた埼玉栄が、2位に4分26秒の差をつけて快勝した。
 埼玉栄は道中先頭集団につけた1区岸本が残り2・5㌔地点で抜け出してトップに立つと、4区三井が区間新の走りで差を広げた。アンカー高沢も最後まで足色を落とさず2時間6分29秒でゴールした。武蔵越生は4区神田雅で2位に浮上し、西武文理が3位だった。

 

一致団結 盤石8連覇

男子 埼玉栄の4区三井(右)から5区井上にたすきが渡る

 男子の埼玉栄は全7区間で区間賞を獲得する盤石なレース運びで8連覇を達成した。現チームは絶対的エースが不在も結束力を高めて勝負した。神山監督は「自信を持って送り出した。つなぐ駅伝でよくやってくれた」と選手たちをたたえた。
 1区岸本が主将らしい落ち着いた走りで流れをつくった。「自分の記録よりも1区の責任。1位で帰ることが第一」と道中は先頭集団の3、4番手で足をためた。残り2・5㌔地点を過ぎると一気に加速。15秒の差をつけてたすきをつないだ。
 2区根ケ山、3区馬場と少しずつリードを広げると、4区三井が区間新の好記録で圧倒した。昨冬の全国高校駅伝を経験した三井は「自分の走りに集中した。途中の起伏でもペースが落ちなかったのが成長」と力強い走りで後続を突き放した。
 堂々の圧勝劇の中で、3区馬場、6区出口の1年2人が頭角を現した。ともに初駅伝を感じさせないダイナミックな走りで区間1位の快走。出口は「憧れであり、心強い先輩がつくってくれた流れにうまく乗せてもらった」とうなずいた。
 2位に4分26秒差をつけ、県王者として再び全国の舞台に挑戦する。2年連続で入賞しているだけに目指す場所は高い。岸本は「レベルの高い1年生も入って楽しみなメンバー。自分たちの代では表彰台を目指したい」と躍進を誓った。

 

2位 武蔵越生

総合力の高さを誇示

男子 2位に入った武蔵越生の4区神田雅(右)が西武文理の4区樋口を抜き去る

 昨年の自校タイムから1分8秒及ばず2位に終わり厳しい表情を見せた武蔵越生の選手たちだが、地力の高さは示した。丸山監督は「今日は力を出し切ることができなかった。(理想は)埼玉栄と1分以内で競りたかった」とレースを振り返った。
 1区神田晴は7㌔地点まで先頭集団の一角を形成したが「埼玉栄がペースを上げるとついていけなかった。相手の速さを実感した」とトップと43秒差の7位。2区石岡が区間2位の走りで4位に上がると3区原は3位でたすきをつないだ。
 4秒差で前を走る西武文理を捉えたのは、神田晴の双子の弟の4区神田雅。「精神力が武器なので一気にいった」と並ぶ間もなく一気に追い抜き2位に浮上。後を受けた5区関根、6区村田が粘りの走りを見せた。アンカー梶も「みんながつないできたので重かった」と話すたすきをゴールにつないだ。
 エースと呼べる選手はいないが、総合力の高さが今年のチームの強み。関根は「関東までにしっかり練習し、全国へ行きたい」と次の舞台で8年ぶりの都大路を狙う。

 

3位西武文理

快走追い上げ過去最高順位

 男子の西武文理が最終7区で順位を一つ上げ、過去最高の3位入賞を果たした。前と17秒差の4位でスタートしたアンカー一ノ瀬は金井監督が「カモシカのようなリズムの良い走り」と評価する快走で接戦となった3位争いを制した。
 一ノ瀬は2カ月前にけがをして1週間前に練習に合流。心配をかけた分、存分に強みを発揮して貢献した。「チームとしてはもっと上を目指していたので悔しい。でも初めて3位のメダルを取れたことは喜びたい」と達成感をにじませた。

 

 

女子評 軽快な走りで全5区間で1位だった埼玉栄が2位に4分59秒差をつけて圧勝した。
 埼玉栄は1区福山がスタートから先頭に立つと後続を1分30秒以上離してたすきをつないだ。2区久保田、3区長浜、4区柿沢でリードを広げ、最終5区の根岸が1時間11分40秒でゴールテープを切った。春日部女は安定した走りで2位。昌平が3位に入った。

 

攻めの走り 後続圧倒

女子 埼玉栄の2区久保田(左)から3区長浜へたすきが渡る

 

 女子の埼玉栄は2位に4分59秒の大差をつけて2連覇した。5人全員が区間1位に輝く圧勝劇。田村監督は「風が強い中でも準備した通り思い切り走った。目標タイムには遠かったが攻めの走りができた」と納得の表情を浮かべた。
 1区のエース福山がスタートから果敢に攻めた。「ほかの人に関係なく自分の決めたペースを貫いた」と最初の1000㍍を3分10秒前後のハイペースで独走。後続を寄せ付けず、2位に1分32秒の大きな差をつけ、2区久保田につないだ。
 中盤3、4区には昨冬の全国高校駅伝の経験者である長浜、柿沢が名を連ねる隙のない布陣でレースを運んだ。長浜は「大きな舞台を経験したことで落ち着いて臨めた」と成長を実感。単独走になっても正確なペース配分で後ろとの差を広げた。
 熾烈(しれつ)なメンバー争いが現チームの強さの源だ。今大会の登録8人全員が今秋に3000㍍以上で自己ベストを更新。柿沢は「誰がメンバーに入れるか分からない。練習段階から自分が前に出る思いが強い」と実感を込めた。
 2年連続で全国の切符を手にし、昨年15位の雪辱に燃える。エース福山を筆頭に競り合いに強い選手がそろうのもプラス材料。福山は「都大路では強い選手についていく展開になる。粘り強く走って4位以内を目指す」と力を込めた。

 

2位 春日部女

20年ぶり関東に「感謝」

女子 2位に入った春日部女の1区大杉(左)が2位集団から前を追う

 

 女子の春日部女は笑顔のたすきリレーを貫き、歴代最高となる準優勝を達成。20年ぶり2度目の関東大会出場を決め、照沼監督は「まさか勝てるとは。アンカーの田中、2区佐々木の3年生が最高のパフォーマンスを出してくれたことに尽きる」と白い歯を見せた。
 4区で逆転を許し2位と16秒差でたすきを受けた田中は「1区の1年生から予定通りにつないでくれた。自分が出し切ってみんなを喜ばせたい」と残り1・3㌔で前をとらえるとスパートをかけ一気に追い抜いた。
 スタンドからの声援が響く中、逃げ切った田中は拳を高く突き上げ笑顔のゴール。会場を出るとすぐに仲間たちに出迎えられ、抱き合って喜んだ。競り合いの2位集団から抜け出し、流れを引き寄せた佐々木は「一番はみんなの支え。先生方や仲間の支えが大きい」と好走の要因を口にした。
 「先生が駅伝は感謝の気持ちを持って走る恩返しの場だと言っていたので、今まで支えてくれた人を喜ばせたいと思った」と主将の田中。5人で紡いだ感謝の走りが、歴史を一つ塗り替えた。

 

3位 昌平

唯一の3年生 存在感見せる

 昌平はエース成瀬を体調不良で欠いたが、メンバー唯一の3年生で4区横山が区間2位記録で力走した。3位に上がった井手からたすきを受け取った横山は「前に人が見えていたので2位になって渡そうと思っていた」とラスト1㌔で抜き去り上級生の意地を見せた。
 アンカー勝負で2位に12秒差届かず3位となったが、1年生を2人起用するなど伸びしろは十分。竹野谷監督は「今日は悔しい思いをした。関東へは覚悟を持って臨む」と2年ぶりの大舞台出場へ巻き返しを誓った。

 

第1回から35年
浦和実単独出場

 女子の浦和実が第1回大会以来35年ぶりとなる単独出場を果たした。女子駅伝部員は、谷末と柳田の1年生2人。大会に出場するため、ハンドボール部と陸上部の力を借り5人をそろえた。
 中学まではバスケットボール部だった谷末は、実力者がそろう1区で一時は先頭集団につける見事な走り。11位で2区にたすきをつなぎ「走れることがうれしかった。歓声が力になった」とレースを存分に楽しんだ。

 

=埼玉新聞2024年10月31日付け1、17面掲載=

 

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