男子第75回、女子第36回全国高校駅伝は22日、京都市のたけびしスタジアム京都発着コースで開催され、男女ともに埼玉栄が出場した。2年連続28度目出場の女子は1時間10分3秒で10位に入った。8年連続44度目出場の男子は2時間6分20秒で15位だった。
女子は、1区福山が力走を見せて18秒差の11位からスタート。2区長浜が順位を維持すると、3区松浦が3㌔区間をスピード感ある走りで留学生らに食らい付いた。4区斉藤が3人を抜き10位に浮上すると、アンカー菅原が順位を死守した。
男子はエースの1区岸本が31位と大きく出遅れたが、2区井上、3区馬場、4区三井で少しずつ順位を上げた。5区利根川、6区出口と1年2人がたすきをつなぎ、アンカー高沢が区間5位の快走で15位に押し上げた。
エースの力走に奮起
女子10位
来年へ収穫と課題
女子 埼玉栄の2区長浜から3区松浦(左)にたすきが渡る
アクシデントに見舞われた女子の埼玉栄は目標とした15年ぶりの入賞に届かず10位。レース開始直後に大きく出遅れたがエース福山の力走に後続が応えた。田村監督は「高い目標を目指してきた分悔しいが、よく頑張ってくれた」とたたえた。
1区福山が序盤のトラックで転倒し、トップと18秒差の11位からのスタートに。2区長浜は「前が見える位置で受け取ったのは想定通り。力は出し切ったが悔しさが残る」。序盤に3人を抜かすも、得意の後半にペースが上がらなかった。
11位でたすきがつながると、1年3人が並んだ後半区間で食らいつく。田村監督は「3区以降の想定はいい意味で覆してくれた」。留学生8人がひしめく3区を走った松浦は区間15位と奮闘。前半から積極的な走りで粘り強く留学生を追った。
松浦の走りに応えたのは4区斉藤。「(松浦)銘玉が留学生と競るのを見て力が湧いた」と持ち前の安定感のある走りで起伏を苦にせず3人抜き。10位でたすきを受けた初駅伝のアンカー菅原は強気の走りで後続の追い上げを振り切った。
レース前のプランは先手必勝。絶対的エースの福山に頼る駅伝には課題も残った。田村監督は「今組める最高のメンバーも、上を目指すには福山に迫る選手が必要。本気になって福山を倒す気持ちを持ってほしい」と選手らの奮起を促した。
今大会は全区間を1、2年で走り抜けた。フレッシュな顔触れで大舞台を経験し、得た収穫は大きい。松浦は「目標には届かなかったが、たくさんの課題が見つかった。もっと成長して来年こそは5位を目指す」と力強く前を向いた。
逆境はねのけ納得のタイム
1区・福山
絶対的エースが強い気持ちで逆境をはねのけた。2年連続での1区はスタート直後に転倒し最後方に回った。絶望的な状況から徐々に順位を上げ、一時は先頭に並んだ。「思ったよりも冷静に走れた。タイムとしても納得」とうなずいた。
区間15位だった前回大会から大きな成長を遂げた。6月のU20(20歳以下)日本選手権5000㍍で8位入賞すると、今夏は全国高校総体に出場。「この1年は全国の高いレベルを経験できた。来年は区間賞を狙いたい」と目標を掲げた。
男子15位
入賞逃すも終盤粘り
出遅れ響き流れ逸す
男子 埼玉栄の1区岸本からたすきを受けた2区井上(左)が走り出す
関東王者の男子の埼玉栄は序盤の出遅れが響き15位。目標の3年連続の入賞には及ばなかった。神山監督は「大切な流れをつかめなかった。それでも選手たちは厳しい位置から粘り強く走ってくれた」とねぎらった。
県予選、関東駅伝で1区区間賞のエース岸本が全国のペースに戸惑った。集団で足をためるも5㌔地点で大きく離された。区間31位に終わり「実力不足。初めから突っ込んでしまい、早い段階で苦しくなった」と悔しさをにじませた。
エースの走りを挽回しようと、2区以降の選手が奮起した。2区井上は「追う展開は得意。前を抜かすしかなかった」と区間14位と快走。3区の1年馬場は前を走る集団に取りつき、リズムよく7人を抜かした。
21位で受けた4区三井は入賞ラインの1分36秒差を埋めようと、序盤からペースを上げた。「後半は止まってしまったが、一つ順位を上げられた」。20位でつなぐと5区利根川、6区出口と2人の1年も力走した。
最後はアンカー高沢が15位でゴール。全国の舞台でもつなぐ駅伝で7人が力を合わせた。主将の岸本は「レベルの低かったチームが入賞を目指せる位置まで力を上げた。全員が責任を果たしてやってこられた」と誇った。
5000㍍でチーム一のタイムを持つ馬場を筆頭に実力のある1年3人が堂々と走った。神山監督は「1年生に自ら進む度胸が見られたのは大きな収穫」。さらなる進化に向けて結果以上に実りのある都大路となった。
初舞台で意地の走り
アンカー・高沢
都大路初出場のアンカー高沢が意地を見せた。19位でたすきを受け取ると区間5位タイの力走。最後の50㍍で前を走る須磨学園(近畿)を抜かすなど四つ順位を上げた。「自信を持って走った。焦らずに一つずつ順位を上げた」と胸を張った。
前回大会はチーム11番手の選手としてメンバー入りを逃した。悔しさを糧に県予選、関東駅伝とチームの絶対的アンカーに成長。「ずっと目指してきた舞台に3年生で初めて立つことができた。楽しかった」とやり切った表情で振り返った。
=埼玉新聞2024年12月23日付け1、7面掲載=
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