ムサシトミヨの飼育に熱意を見せる生徒たち
県立熊谷農業高校(上田毅一校長)の3年生5人が同校化学室の水槽で、「ムサシトミヨ」の飼育を始めた。ムサシトミヨは、環境省のレッドデータブックで、野生絶滅の危険性が極めて高い「絶滅危惧ⅠA類」に分類。世界で唯一、熊谷市久下の元荒川に生息しており、市内外のいくつかの学校でも保全活動を行っている。
飼育のきっかけは昨年11月、「熊谷市ムサシトミヨをまもる会」の江守和枝会長とさいたま水族館(羽生市三田ケ谷)の職員が同校で出前授業をした際、雄が子育てをするムサシトミヨの習性や元荒川の水環境などを学習。生徒の有志5人が興味を持ち、研究に乗り出したという。水温を保つ水槽は、サイサン環境保全基金(さいたま市大宮区)の助成を受けて設置した。
生徒らの研究レポートは、元荒川天然記念物区域外の実際の野外調査データを使用し、ムサシトミヨの保全につなげる分析をした内容。現在、同水族館に展示されている。坂田くるみさんは、「ムサシトミヨを守る、第一歩が踏み出せてうれしい」。輿石來玲愛さんは「郷土かるたで名前だけは知っていた」という。廣瀬心那さんは「授業を受けるまで、希少な魚が熊谷市に生息していることを知らなかった」。加納翔大さんは「調べるうちに面白い魚だと興味深くなった。水深わずか25~50㌢が最適で、深すぎても浅すぎても生きられない繊細な魚を守りたい」。新井愛響さんは、「水槽でもすみやすいように環境を守り、増やしていきたい」と目を輝かせた。
理科担当の梅沢和也教諭(35)は、「祖父が久下の出身で、ムサシトミヨを身近に感じていた。生徒の熱意が頼もしい」。まもる会の江守さんは「早ければ5月中に水草に巣が作られると思う。6匹からどれくらい増えるかが楽しみ」とほほ笑んだ。
=埼玉新聞2025年5月21日付け9面掲載=
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豊かな自然の中で、生徒たちが協力して「ものづくり」に励み、作る喜び、協力する喜び、完成する喜びを味わっています。部活動も運動部・文化部ともに盛んです。農業高校ならではの「農業クラブ活動」も活発に行っています。
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