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東京五輪(陸上)青木選手へエール「悔いのない走りを」-県立春日部高校

春日部高出身の五輪選手は3人目、夏季大会の個人種目としては初

 東京五輪男子3000㍍障害に久喜市出身の青木涼真選手(24)=法大出、ホンダ=が30日、出場する。

「多くの人に感動を、勇気を与えてほしい」。母校の県立春日部高校で開花した素質を見守ってきた恩師は、青木選手と親しく、病気のため若くして世を去った春日部高の先輩部員も「青木選手の背中を押してくれている」と信じ、晴れ舞台を見守る。

 

校舎内に掲げられた青木涼真選手の応援横断幕=春日部市粕壁の県立春日部高校

 同校は最寄りの東武野田線八木崎駅前広場や校内に応援の横断幕を設置し、青木選手をサポートしている。

 青木選手は同校入学後に陸上競技を始め3年時、全国高校総体で8位に入賞。法大時代は4年連続で箱根駅伝出場、2年時には5区で区間賞を受賞した。五輪切符を手に入れたのは今年6月。日本選手権で3位に入った。春日部高出身の五輪選手は3人目、夏季大会の個人種目としては初となる。

 青木選手の成長を見てきた同校陸上部の秋庭佳大監督(61)は、日本選手権のレース前に青木選手から連絡をもらった。「こちらも試合中だったけど、合間にテレビを見て、思わず声を上げてしまった」と五輪出場が決定的になった瞬間を振り返る。

 

秋庭佳大監督

 「青木選手は文武両道を地で行く生徒。勉強もでき、練習に取り組む姿勢も真面目」と懐かしむ。箱根駅伝出場時は同校陸上部のカラーである赤色の靴を履き、常に後輩たちに背中を見せてきた。

 そして青木選手の背中を後押ししているのが、天国から活躍を見守る陸上部の1学年上の先輩だ。悪性リンパ腫を患いながらも、目覚ましい青木選手の活躍をわがことのように喜んでいた。

 青木選手が3年生だったある日、病室に秋庭監督と青木選手が呼び出された。先輩は青木選手と2人だけで会話した約3時間後、この世を去った。秋庭監督は「2人がどんな会話をしたのかは分からない」とした上で「満身創痍(そうい)の体で青木選手に何かを伝えてくれたのだろう」と語る。

 秋庭監督は青木選手に「多くの人に勇気と感動を与えるよう、悔いのない走りをしてほしい」と望む。

 

=2021年7月30日付け17面掲載=

 

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