SLの試作に取り組む機械科の生徒たち=県立春日部工業高校
県立春日部工業高校機械科の3年生が3代にわたり、蒸気機関で走るミニSLの研究製作に取り組んでいる。難しい作業だが、本年度内に完成させ、地域の子どもたちを乗せて走らせるのが目標だ。生徒らは先月、栃木県日光市にある東武鉄道の車両基地「下今市機関区」を訪問。SL大樹の実機を見学、その思いを新たにした。
実際のSLを見学した県立春日部工業高校の生徒ら=栃木県日光市の東武鉄道下今市機関区
始まりは13年前。同校機械科の課題研究電車班が東武鉄道に、ミニ電車を走らせたいと協力を依頼した。特急車両のリバティーや、スペーシアⅩ、電動式SLなど、通称「5インチ鉄道」を製作。地域のイベントで子どもたちを乗せ、喜ばれている。
2022年からは3年生が「もっとSL大樹の魅力を知ってほしい」と、蒸気機関を動力に走るミニSLの研究製作に取り組み始めた。同校機械科の津野章久教諭(61)によると、蒸気機関で走らせるのは難易度が高く、千点以上の部品が必要になる。「1930年代に制作された図面を基に、一つ一つの部品を3Dで新たな図面に起こしているが、文字のかすれや隠れて分からない部分もある」と、津野教諭。図面の作成は、困難を極めた。今後の課題は、蒸気の圧力を動力に変換するシリンダーの加工や、複雑なクランク部分がスムーズに回転できるようにすることだという。
5月17日、同校機械科と同様にSL大樹の魅力に魅了され、SLをイメージした弁当の商品化に取り組んでいる家庭部の3年生らが、東武鉄道下今市機関区を訪問。実機を見学するとともに、整備を担当する同鉄道の社員から説明を受けた。生徒らは実物の迫力に圧倒。谷颯真さんは「駅で止まっているのを見るのとは違い、足回りも見ることができた」。平山恵花さんは「実際の部品を見ることができて、参考になった」と、喜んだ。
生徒たちは、ミニSLが煙を上げ、地域の子どもたちを乗せて走るのを夢見ながら励んでいる。
=埼玉新聞2025年6月11日付け9面掲載=
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