市民団体「熊谷空襲を忘れない市民の会」は12日、熊谷市宮町の市緑化センターで、パネルディスカッション「戦跡めぐりをして~78年前の街の傷跡から未来を考える~」を開催した。1945年8月14日夜、米軍の焼夷(しょうい)弾で市街地の3分の2が焼失し、266人が命を落とした熊谷空襲。戦跡を巡った大学生が基調報告を行い、「これからの若者に戦争について伝えていかなければならない」と決意を新たにした。
いずれも県立熊谷女子高校卒業生で大学2年生の猪鼻桃寧さん(19)と坂本彩夏さん(20)らは、昨年9月に熊谷空襲の戦跡巡りを実施。同校や中央公園、中家堂の石灯籠、空襲を免れた熊谷聖パウロ教会や熊谷寺などを見て回った。2人は「身近な場所にある戦跡で、戦争について考えるきっかけになれば」と語った。
県立熊谷西高校を卒業した大学1年生の斎藤可奈さん(18)は戦跡や災害被災地など、悲劇の場を訪れる「ダークツーリズム」と熊谷空襲について発表。ダークツーリズムや熊谷空襲を経験した祖母から話を聞いて、戦争の悲惨さを知ったという。「『戦争は二度と起こさない』と全人類が心に誓う日が来ることを願っている」と力を込めた。
大学生3人と元熊谷女子高校教諭の高城三郎さん(94)らのパネルディスカッションも実施。高城さんは行田市出身で、熊谷空襲で焼夷弾が夕立のように降ってきたことを紹介した。熊谷空襲の日に生まれ、コーディネーターを務めた同会の米田主美代表(77)は「熊谷空襲を力の限り伝えていきたい」と話した。
=埼玉新聞2023年8月13日付け7面掲載=
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