2023年10月27日配信
倍率の見方には注意が必要!
第1回進路希望状況調査(10月1日現在)の集計結果が今月末に発表されます。
この調査は、全県の国公私立中学校の3年生を対象として行われました。中学3年生全員が1人1校志望校を書いていますから、現時点における高校ごとの志望者数と倍率が出ます。そこで今回は、倍率を見る場合の注意点などをお伝えします。
■3倍を超える学校も
昨年の第1回調査では、市立浦和、川口市立(普通科)の倍率が3倍を超えていました。市立川越(普通科)は3倍をやや下回ったものの2.95倍の高倍率でした。
これら3校がこの時点で3倍を超えるのは毎年のことなので、今年同じような倍率が出たとしても特に驚くようなことではありません。
今後、第2回調査(12月15日)が行われますが、そこでは3倍以下になると予想されます。
昨年、最終的には(実際の出願では)、市立浦和が2.20倍、川口市立(普通科)が1.94倍、市立川越が1.36倍まで下がりました。
■2倍超えの学校は、すべて1.5倍以下に
昨年の第1回調査では、前述した3校のほか6校が2倍を超えていました。
東部地区の越ヶ谷・越谷南(普通科)、西部地区の川越南、南部地区の大宮(普通科)・浦和西・上尾(普通科)です。これらの学校は毎年この時点での倍率が2倍を超えているので、今年もそれに近い倍率が出ると予想されます。
しかし、最終的には(実際の出願では)、6校中5校が1.4倍台まで下がり、上尾(普通科)は1.21倍まで下がりました。
過去に2倍以上で本番を迎えたのは市立浦和だけしかありませんから、2倍というのは、実際の入試ではほぼあり得ない倍率と考えていいでしょう。
■その他、高倍率が予想される学校
ここまで9校を紹介しましたが、過去4年間平均から見て、今年の第1回調査においても高倍率校となりそうな学校をあげておきます。
西部地区の所沢北(普通科)、南部地区の蕨(普通科)・大宮北(普通科)・浦和南・南稜(普通科)・鳩ヶ谷(普通科)、北部地区の熊谷西(普通科)などが、1.7~1.9倍台の高倍率となる可能性があります。
また、東部地区の越谷北(普通科)、西部地区の川越・和光国際(普通科)・入間向陽、南部地区の与野、北部地区の深谷第一などが1.5~1.6倍台になる可能性があります。
ただし、昨年の場合も、本番での普通科全県平均は1.16倍であり、1.5倍を超えたのは前述した市立浦和、川口市立のほかは、県立浦和ただ1校だったので、第1回で高倍率だったとしても徐々に妥当な数字に落ち着いて行くことになるでしょう。
■定員割れ校はどうなる
昨年の第1回調査では、普通科44校(コース含む)が定員割れ状態となっていました。
このうち、約半数の21校(コース含む)が、最終的には(実際の出願では)定員を超え、1.00倍以上の倍率となりました。
第1回調査で0.9倍台であれば最終的には定員を超える確率がきわめて高く、0.8倍台であれば定員を超えるかどうかは五分五分、それ以下の倍率であればそのまま定員割れ状態で本番を迎えるというのが昨年の経験です。
■志望校を変えるのは慎重に
この調査は公的なものなので、その意味では非常に信頼のおけるデータであると言えます。
ただし、調査は夏休みが終わったばかりの9月に行われています。おそらく、この時点では、学校説明会などにもそれほど数多くは参加していないでしょう。模試の受験回数も少ないでしょう。ですから、かなりの受験生が、参考になる資料やデータが少ない中で志望校を書いたと考えられます。調査結果(倍率)を見る場合は、その点も考慮したほうがいいでしょう。
来週早々には県から正式な発表がある予定です。発表があり次第、分析・解説記事を掲載します。
(教育ジャーナリスト 梅野弘之)
=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=
サイト内の
各高校の基本情報は→こちら
カテゴリー
よく読まれている記事