2024年7月8日配信
埼玉県教育委員会は7月5日(金)、「令和7年度埼玉県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の選抜基準」(以下、選抜基準)を発表しました。
埼玉県教育委員会ホームページ
今回の発表は受験生にとって重要な発表の一つとなります。
公立入試は、日程や入試問題など基本部分は共通ですが、選抜に対する方針や具体的な選抜方法が学校ごとに異なります。ここでは、選抜基準の見る際のポイントについて簡単に解説します。
■選抜の基本方針
最初に「選抜の基本方針」が示されています。
選抜は主に学力検査と調査書で行われますが、どちらか一方を重視するか、あるいは同等に見るかなどが記されています。
「学力検査と調査書の記録については、学力検査を重視して選抜する」(県立浦和)、「学力検査を重視した選抜を行うこととする」(大宮)のように、上位校では学力検査重視の傾向が見られますが、一方、「学力検査と調査書の記録に大きな差を設けずに選抜する」という学校もあります。
その学校の基本方針をまず確認しましょう。
■選抜資料
次に「選抜資料」が示されています。
「選抜資料」は大きく3つあります。
「学力検査の扱い」
「調査書の扱い」
「その他の資料」
一つずつ簡単に説明します。
「学力検査の扱い」
基本的にはどの学校も(100点×5教科)で500点満点です。
ただし、学科によって特定教科の点数を2倍にする傾斜配点方式をとっています。
例えば、大宮・理数科は数学と理科の得点を2倍(各200点)とする傾斜配点を行っているため700点満点となります。理数科では数学と理科で、外国語科では英語で傾斜配点を行っているケースが多いので注意して見ておきましょう。
「調査書の扱い」
調査書をどのように得点化するかが示されています。
「学習の記録の得点」
「特別活動等の記録の得点」
「その他の項目の得点」
以上3項目にそれぞれ何点を割り振るかと、その合計点が示されています。
「学習の記録の得点」については、各学年の重みが記されています。例えば「1:1:2」となっていれば、3年生の成績を「×2」で計算するということです。
3年生の成績を「×2」や「×3」で計算しているので、これからの頑張りで点数を上げることができます。
「特別活動の記録の得点」は生徒会活動や部活動についてどのくらいの得点を与えるかを示しています。
「その他の項目の得点」は英検・漢検など各種検定等にどのくらいの得点を与えるかを示しています。具体的にどのような活動や内容が評価されるかは「調査書の扱いの詳細」に示されています。
「その他の資料の扱い」
面接や実技検査を実施する場合は、ここに示されています。
「なし」と書かれている学校は面接や実技検査は行いません。
■一般募集
選抜の手順などが示されています。
基本は第一次選抜、第二次選抜の二段階選抜です。
それぞれ何パーセントの合格者を決めるかが記されています。
第一次選抜は60%から80%まで5%刻みで記されています。上位校は60%としている学校が多いようですが、その理由は後述します。
第二次選抜は、残りの20%から40%までの数字が記されています。ただし、第一次と第二次を合わせても100%にならない学校があります。
それらの学校は第三次選抜を行う学校です。
第三次選抜をどのように行うかは、「第一次選抜における合計得点の一定の順位の者を対象に、『特別活動等の記録』の得点で選抜する」(春日部)のように、具体的に記されています。
また、この項には、(各資料の配点)が示されています。
①学力検査
②調査書
③その他
④合計
①学力検査の得点は一つ上の段の「選抜資料」の「学力検査の扱い」にある数字と一致しています。基本500点で、傾斜配点がある場合は600~800点になっています。
②調査書の得点は、「選抜資料」の「調査書の扱い」の合計点と一致している場合と、一致していない場合があります。詳しい説明は省きますが、一致していない場合は、ある係数を乗じて(掛けて)、学力検査と調査書の割合を7対3や6対4などに調整しているためです。
選抜の基本方針で、学力検査重視としている学校の多くは、第一次選抜では学力検査対調査書の割合を6対4としています。6割が上限と決められているからです。
しかし第二次選抜では学力検査の割合を7割まで引き上げられます。つまり、学力検査をより重視した選抜にできます。
上位校の多くが第一次選抜での合格者を60%に抑えているのは、学力検査をより重視した選抜ができる第二次選抜の枠を確保するためと考えられます。
なお逆に、調査書をより重視した選抜を目指す学校が、第一次選抜での合格者を抑えている場合もあります。
③その他の得点は、面接や実技検査を実施する場合、その点数が記されています。
■調査書の扱いの詳細
特別活動の記録の得点や、その他の項目の得点について、具体的に何が得点対象になるかが詳細に示されています。
ただし、県体出場なら何点、英検3級なら何点といった個々の点数までは記されていません。
部活に入っていないとか、生徒会役員ではないとか、資格もこれといってないとか、いろいろ心配する人がいますが、特別活動の記録やその他の項目の得点が学習の記録の得点を上回ることはないので、あまり心配し過ぎないことです。
■第2志望
複数の学科がある学校の場合、第2志望を認めるかどうかが示されています。
一つの学校に2つの学科があるとき、相互に第2志望を認める場合と、一方から一方のみ認める場合があります。
■その他
外国人特別選抜を実施するかどうか、第三次選抜において通学距離や通学時間を資料とするかどうかなどが示されています。
通学距離や時間が資料となることに不安を持つ人もいるかもしれませんが、「資料とする」というのは、他のすべての条件が同じであった場合に考慮されることがあるという程度なので、これもあまり心配しなくていいでしょう。第三次選抜に割り当てているのは定員の1~2%から5%程度ですし、通学距離や時間を資料とする学校は10校程度です。
以上が選抜基準の見方を簡単に解説しました。
よく分からない点はそのままにせず中学校や塾の先生に尋ねましょう。
教育ジャーナリスト 梅野弘之
=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=
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