塾講師による令和8年度入試問題の分析

【国語】
正確な読解の訓練を
大問構成、問題数は例年通り。難易度は、例年よりやや易しいとみられる。
大問1は、小説の読解。選択肢の心情問題2題は、ともに傍線部が人物の行動・様子となっており、そこから心情を捉える。記述問題は、空欄補充形式となっており、書き出し、文末とともに、条件語の周辺が答えの場所のヒントとなる。例年通り問5は傍線部のない内容一致問題だった。選択肢に表現技法の知識も入ってくるので、確実に定着させておきたい。
大問2は、漢字と対話文。対話文の中に文法問題も含まれる。今年度の文法は、文節の関係と熟語の構成の問題だったが、熟語の構成が判断しづらく、選びにくかったのではないだろうか。
大問3は、論説文の読解。人工知能が脅威とされる理由と、現在の人間観からの脱却を論じた文章だった。傍線部の近くに答えの根拠がある問題が多く、難易度はさほど高くない。5問中3問の傍線部周辺に指示語があり、日ごろから指示内容を考えながら読む習慣をつけておくと良いだろう。
大問4は、古文の読解。出典は『宇治拾遺物語』。歴史的仮名遣いを直す問題は、近年複雑なルールの出題が続いたが、今年度はハ行をワ行に直す基本的なものであった。例年通り動作主を問う問題も出題されているので、主語を補いながら読む訓練をすると良いだろう。
大問5は、作文。2つの資料から、「身近な緑と関わり続けるために大切にしたいこと」について自分の考えをまとめる。2つの資料を正確に読み取り、体験と意見を時間をかけずにまとめられるかが鍵となる。(湘南ゼミナール
・森寿郎 )
【数学・学力検査問題】
基本の力をしっかりと
大問の構成は4問で、小問数も23問とほぼ例年通り。中学3年間で学習する内容全範囲から満遍なく出題された。例年よりもやや取り組みやすい問題であったと思われる。
大問1は16問で配点は65点と例年通り。その中でも計算問題8問は確実に得点したい。(16)は会話文の問題で、ピザを円・おうぎ形と考えて大きさを比べる説明を記述する問題であった。
大問2は作図と合同の証明問題。作図は、条件を間違えずに作図をすれば得点しやすい問題であった。証明は、二等辺三角形の性質を使えば証明できる問題であった。
大問3は一次関数の応用問題が出題された。(1)はグラフの読み取りと、グラフの切片を求める問題、(2)はグラフの式を求め交点を求める問題で、途中の説明を記述する問題であった。1つの式は(1)で求められているので、もう一方の式を求めることがポイントとなったのではないかと思われる。(3)は速さを求める問題であったが、途中の計算過程で数値が整数にならないので戸惑った受験生も多かったのでは。
大問4はデータの活用(箱ひげ図)に関する大問であった。過去に大問で出題されたことがなかったため、驚いた受験生もいたのではないかと思われる。問題の難易度は易し目であった。(1)は四分位範囲に関する問題。(2)は箱ひげ図からデータを求める問題であった。箱ひげ図がきちんと理解できていれば答えられる問題であった。
全体として基本的な問題が多く出題されているため、基礎学力を定着させることが高得点へのカギとなっただろう。(スクール21・石﨑力)
【数学・学校選択問題】
根本理解が重要
大問数は5題、小問は20題でほぼ例年通りの構成であった。
大問1は計算問題を含む小問集合で、(4)(5)(10)については学力検査問題と同じ問題。(7)(8)(9)についてはテーマは同じだが、設問の条件を変えることで難易度を上げた問題が出題された。
大問2は作図、証明の小問2問の出題。(1)の作図は平行四辺形の面積を二等分する直線を作図する問題で取り組みやすい問題であった。(2)は三角形の合同を証明した上で、それを利用して相似を証明する問題だった。
大問3は学力検査問題と全く同じ一次関数の応用問題で、(2)は途中の説明を記述する問題、(3)は計算の過程で分数の解が出てくるが、難易度の高い問題ではなかった。
大問4はデータの活用(箱ひげ図)の問題で(1)(2)は学力検査問題と同じ問題であった。学校選択問題は(3)まであり、「とりうる値をすべて求めなさい」という問題であったので、戸惑った受験生もいたのではないかと思われる。
大問5は空間図形からの出題。(1)は直方体の対角線に1つの頂点から垂線を下ろす問題で、断面図を描くことで解きやすくなる。(2)は直方体の対角線の中点から辺に垂線をおろし、もう1つの点を結んでできる三角形を回転させてできる立体の体積を求める問題で難易度は高かった。直角三角形ができていることに気付く必要があったが、二等辺三角形が見つけられれば、気付くことができた。
総じて、数学的知識や技術を設問に応じて活用する能力が求められた。基本の力をしっかりつけた上で、応用力をつける練習が必要となる。(スクール21高橋英明)
【社会】
正確な読み解きが要
大問構成、問題数は例年通り。難易度はやや易化か。
地理的分野の大問1問3では、図表からサバナ気候の特徴を記述する問題が出題された。
大問2では、高山市、岡山市、津市の組み合わせを問う設問があったが、いずれも各地域の気候特性を捉えていれば正答できる基本レベルの問題であった。一方、大問2問3の北陸・中部地方の人口と工業出荷額の組み合わせは、例年より判断に迷う内容であった。各都道府県の産業的特徴を細部まで把握しておく必要があった。
歴史的分野の大問3では、江戸幕府の貿易制限下の状況を説明する記述問題が出題された。指定語句を適切に使いこなす表現力が求められている。
大問4では、国際連盟脱退からポツダム宣言受諾までの推移や、特需景気の背景、国際連合への加盟経緯を問う設問が見られた。いずれも歴史的出来事のきっかけや因果関係を正確に把握していれば、確実に正解に辿り着ける作問であった。
公民分野の大問5は、小選挙区制と大選挙区制の違いや二元代表制、売買契約における支払いの義務の発生時期が問われた。用語の深い理解を前提としつつ、問題文を丁寧に読み解く力が試されている。
大問6の地歴公民の総合問題では、日本の農業の現状と課題に対してどのような取り組みを行い、その成果がどうなっているかを資料とグラフから読み取り、記述する問題が出題された。
全体を通して、単純な用語暗記に頼るのではなく、問題文・資料を正確に読み取る問題が多く出題された。(湘南ゼミナール・白井倭)
【理科】
分野を超えた学習を
大問の構成は5題で、設問数も28問と昨年との変更はなかった。計算問題についても問題数は大きな変更は見られなかった。難易度は昨年同様と考えられるため、平均点も大きな変動はないことが予想される。
大問1は例年通り、全範囲からの出題で、学校で習う各単元の基礎的・基本的な知識や技能となっていた。
大問2は気圧と大気の動きに関する問題で、「アネロイド気圧計」について仕組みを考察し、身近な経験を手がかりに、既習知識を統合して論理的に考える力が必要とされた。
大問3は植物の吸水と蒸散に関する問題で、社会科で学習する緑のカーテンと他分野で学習する乾湿計から蒸散や光合成がどのようにはたらいているかを結びつける内容となっていた。
大問4は酸とアルカリに関する問題で、昨年の生物分野での微生物を用いた水質改善と類似するような内容として、中和を用いた形で出題された。石灰石がアルカリであることの知識がないと戸惑ってしまう問題だったと考えられる。
大問5は音に関する問題で、問4の計算は、場面の状況を総合的に判断して計算する必要があった。また、問5は、2019年度入試ぶりに、実験から計算の過程や考え方を記述する問題が出題され、正しく実験の状況を捉えて文章化する力が求められた。
今年度も具体的な道具や取り組みと関連させて出題されている。普段の学習や実験から現代社会や他分野・他教科のつながりを意識し、分野に捉われず学ぶ姿勢が大切であるといえる。(進学プラザグループ・西翔太)
【英語・学力検査問題】
英文を捉える力
大問の構成は5題で昨年度と変更なく同様だった。
大問1はリスニング。問題傾向は昨年度と同じであった。
大問2は語彙、英作文問題。基本単語は名詞のみ出題。
大問3は短文読解問題。内容は「フェーズフリー商品」に関しての話。昨年度同様に200語程度の文。出題の順番の変化はあった。
大問4は長文読解問題。内容は「道の駅」についての話。大きく4つの場面に分かれた英文を読んでいく問題。
英文4分割の1つ目の英文では下線部に合う絵を選択させる問題で、これは一昨年に出た出題の復活。
3つ目と4つ目の英文では、英作文の問題が出題。3つ目の英文で出題された並べ替え英作文では使役動詞を使った問題であった。4つ目の英文での英作文は3語以上の英語を書く問題。
大問5は短文読解に英作文を加えた問題。内容は「日本の学校での学びに関する変化」の話。昨年度と同じ形式。
問3の英作文は3文以上の英文を書く問題でテーマは「教室で先生や友達と学ぶことと、家で動画を見て学ぶことのどちらが好きか」について。取り組みやすい問題であった。
全体として、例年通り英文内容を正しく捉えているかを確認する問題が多く、語彙力が不足している場合は正答にたどり着くのが難しい。
また、並べ替え英作文、条件英作文など文法を重視する傾向にもあった。語彙力、文法力、読解力、表現力をバランスよくみる問題であった。(国大セミナー・林大蔵)
【英語・学校選択問題】
速読と読解力
大問1のリスニングは例年通りの形式だが、記述問題で過去分詞や動名詞を正確に書き取る力が求められた。
大問2の対話文読解は、問1は関係代名詞や「both A and B」を使う空所補充、問4は第五文型(SVOC)の知識を要する整序問題が出題された。一方で、問3は日本語による説明問題や問5では内容一致の問題が出題。代名詞の指す内容や主語を丁寧に見極めれば確実に得点できる「得点源」となったはずだ。問8で「スープを作ったのは誰か」といった基本情報の整理が、正答への近道となった。
大問3は環境問題をテーマにした長文読解だ。ここでは単語力に加え、細部への注意力が試された。問1は三単現の「s」の付け忘れや、名詞を修飾する過去分詞を判断して書かせる問題の出題。問3では受動態を使う並べ替えの問題、問4 では「instead of」といった熟語の知識を知っているかが正答の鍵となった。問6は、多少の形式変化はあったが、内容一致問題なので過去問を通じて演習を行うことで対応可能だった。
大問4の自由英作文は、「自分たちで行う学校清掃の是非」を問うテーマが出題。身近な話題を40〜50語で論理的に展開する構成力が問われている。
今後の対策としては、基本文法の完全習得という土台の上に、過去問を通じて英文量に対応できる速読の感覚を養うことが重要だ。入試本番の厳しい時間制限の中で、英文を正確かつスピーディーに処理する訓練を積むことがますます必要になってきたと言える。(国大セミナー・中村昇二)
=埼玉新聞2026年2月27日付け9面掲載=
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