2023年11月10日配信
私立への変更で全体倍率は低下
実際の出願では2倍超え校はなくなる
去る10月30日、埼玉県教育委員会から第1回進路希望状況調査の結果が発表されました。
受験生の皆さんは、ご自身が志望した学校の倍率を、さまざまな思いでご覧になったと思います。
今後、もう一度進路希望調査(12月15日現在)が行われ、その後にいよいよ正式な出願となりますが、このままの志望校でいいのか、あるいは変更したほうがいいのかと悩んでいる人もいるかもしれません。
そこで今回の記事では、過去データをもとに今後の各校倍率がどのように変化していくかを推測してみました。
◆全体倍率は低下する
まず全体倍率の今後の動向についてです。
昨年、全日制の倍率は次のように推移しました。
第1回調査 1.18倍
第2回調査 1.12倍
実際の出願 1.11倍
(※実際の出願倍率は志願先変更前の倍率です)
希望者の多い普通科についても見ておきましょう。
第1回調査 1.28倍
第2回調査 1.20倍
実際の出願 1.17倍
以上は昨年の場合ですが、毎年ほぼ同じような傾向を示しています。
今年の場合、第1回調査では全日制全体が昨年と同じ1.18倍、普通科全体が昨年より0.01ポイント低い1.27倍でした。
したがって、今年も実際の出願の際には、全日制全体は1.11倍前後、普通科全体は1.17倍前後になると推測できます。
このように全体倍率が低下していくのは、公立志望から私立高校(県内・県外)に希望校を変更する人が多いからだと考えられます。また、全日制から通信制などに変更する人もいます。
◆2倍超の高倍率校はなくなる
第1回調査で倍率が2倍を超えた学校(普通科)が8校ありました。
高い順に、市立川越(3.79)・市立浦和(2.82)・川口市立(2.48)・上尾(2.11)・浦和西(2.08)・越谷南(2.06)・川越南(2.05)・大宮(2.01)の各校です。これら8校は昨年同期も2倍を超えていました。
そこで昨年、これらの学校の実際の出願時における倍率がどうだったかを見てみましょう。
数字は左が昨年第1回、右が昨年の実際の出願倍率です。
市立川越 2.95 → 1.45
市立浦和 3.30 → 2.30
川口市立 3.66 → 1.95
上尾 2.16 → 1.22
浦和西 2.10 → 1.47
越谷南 2.24 → 1.48
川越南 2.12 → 1.47
大宮 2.13 → 1.50
市立浦和で、実際の出願でも2倍を超えていました。また、川口市立も1.95倍の高倍率を維持しました。しかし、それ以外の6校は、いずれも1.50倍以下となりました。
したがって、今年第1回で2倍を超えていた8校についても、その多くが実際の出願では1.5倍前後まで下がると推測できます。
注目は、市立浦和が3年連続で2倍超えのまま実際の出願を迎えるかどうか、また、川口市立が昨年並みに2倍に迫る高倍率を維持するかどうかです。第2回調査の倍率は、例年実際の出願に近い倍率となるので、その時点になれば、実際の出願倍率がかなり正確に予想できるでしょう。
参考のため、市立川越と市立浦和について、第1回調査以降の倍率推移グラフは次のようになっています。例年ほぼ同じような推移を示していることが分かります。なお、赤字(赤点線)は過去4年間の平均値により算出した今年の推移予測です。
◆1.5倍超えの高倍率校はどうなる
第1回調査では前出8校のほかにも、高倍率だった学校(普通科)がいくつかありました。
1.50倍以上であったのは、越ヶ谷(1.96)、蕨(1.92)、所沢(1.89)、川口市立・スポーツ科学(1.84)、和光国際(1.78)、浦和南(1.77)、大宮北(1.69)、川口(1.68)、熊谷西(1.68)、浦和東(1.65)、南稜(1.59)、鳩ヶ谷(1.51)の12校(コース含む)です。
これら12校のうち川口(前年同期1.47)を除く11校は、前年同期も1.50倍を超えていました。
では、これらの学校の倍率推移を見て行きましょう。
数字は左側が前年第1回、右が実際の出願です。
越ヶ谷 2.01 → 1.52
蕨 1.68 → 1.35
所沢 1.84 → 1.39
川口市立・スポーツ科学1.63 → 1.60
和光国際 1.66 → 1.45
浦和南 1.86 → 1.45
大宮北 1.70 → 1.09
川口 1.47 → 1.21
熊谷西 1.62 → 1.11
浦和東 1.53 → 1.21
南稜 1.62 → 1.30
鳩ヶ谷 1.93 → 1.14
実際の出願でも高倍率を維持したのは川口市立・スポーツ科学と越ヶ谷です。
ついで和光国際、浦和南、所沢、蕨、南稜なども比較的高く、普通科平均を上回りました。一方、川口、浦和東、鳩ヶ谷、熊谷西、大宮北は普通科平均を下回りました。
以上のことから、第1回調査の時点で1.50倍を超える学校は、そのままある程度の高倍率を維持する学校と、大きく下がる学校に分かれそうだということが分かります。第2回の調査結果に注目しましょう。
今回は今年度第1回進路希望調査で高倍率だった普通科校についての参考情報をお届けしました。
(教育ジャーナリスト 梅野弘之)
=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=
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