埼玉新聞社 高校受験ナビ

【分析】令和6年度入試・進路希望調査から見た最終倍率予測<後編> 

川口北はV字回復、杉戸は4年ぶり1倍超え

浦和、所沢北、熊谷女子など大幅低下

 

 前回(11月10日)、「令和6年度入試・進路希望調査から見た最終倍率予測<前編>」をお送りしました。

 今回はその続編です。

 

◆蕨・川口北・杉戸など倍率急上昇

 前年同期と比べ、倍率が急上昇した学校を見ておきましょう。

 第1回の倍率が前年同期と比べて0.2ポイント以上、上昇したのは次の10校です。

 

 市立川越 3.79 +0.84ポイント

 杉戸   1.17 +0.33ポイント

 越生   0.72 +0.32ポイント

 大宮光陵 1.08 +0.30ポイント

 (外国語コース)

 富士見  0.69 +0.26ポイント

 蕨    1.92 +0.25ポイント

 川口北  1.40 +0.23ポイント

 川口   1.68 +0.21ポイント

 川口市立 1.84 +0.21ポイント

 (スポーツ科学コース)

 児玉   0.68 +0.20ポイント

 

 市立川越が0.84ポイント増で上昇幅としては最大です。令和3年度に4.34倍、4年度に3.95倍を記録しており、この学校のこの時期の倍率としては特に高いわけではありません。定員140人と小規模なので、少しの人数の変動で倍率が大きく変化します。

 

 杉戸(定員280)は、前年0.84倍から0.33ポイント増で1.17倍まで上がりました。過去3年間、第1回では定員割れでしたので大幅な上昇が目を引きます。ただ、普通科平均には達していません。今後、1.20倍まで上昇するか1.10倍以下まで下がるか、または現状を維持するのか、第2回の結果が注目されます。

 

 川口北(定員360)は、0.23ポイント増で1.40倍まで上がりました。令和2年度までは1.40~1.50倍で推移していましたが、3年度1.02倍、4年度1.01倍と低迷しました。しかし5年度は1.16と回復の兆しが見え、今回は4年前の1.41倍とほぼ並びました。元々、第1回から実際の出願にかけての倍率変動はそれほど大きくない学校なので、今後大きく倍率が下がる可能性は低いと考えられます。

 

 (定員320)は、0.25ポイント増で1.92倍の高倍率となりました。ただ、令和2年度に1.99倍、3年度に1.94倍を記録しており、この学校としては突出して高い倍率というわけではありません。実際の出願では1.50倍を下回ると推測されます。

 

 越生(定員80)、児玉(定員80)、富士見(定員200)の3校は大きく上昇したものの定員に達していません。第1回で0.70倍以下であった学校が実際の出願で1.00倍を超えたケースは過去にはあまりありません。

 

◆浦和、所沢北、熊谷女子など大きく低下

 次に、前年同期と比べ、倍率が大きく低下した学校も見ておきましょう。

 第1回の倍率が前年同期と比べて0.2ポイント以上、低下したのは次の12校です。

 

 川口市立 2.48 -1.18ポイント

 市立浦和 2.82 -0.48ポイント

 鳩ヶ谷  1.51 -0.42ポイント

 川越西  0.88 -0.33ポイント

 所沢北  1.48 -0.25ポイント

 松伏   0.43 -0.25ポイント

 (情報ビジネスコース)

 熊谷女子  0.75 -0.24ポイント

 鶴ヶ島清風 0.50 -0.24ポイント

 狭山清陵  0.95 -0.23ポイント

 浦和    1.36 -0.22ポイント

 ふじみ野  0.70 -0.22ポイント

 上尾南   0.92 -0.20ポイント

 

 川口市立は、開校以来6年間、第1回で3倍を超えていた年が4回あり、最低は令和2年度の2.58倍、最高は5年度(昨年)の3.66倍でした。今回、最低を更新したことになりますが、これをもって人気低下と考えるのは早計でしょう。実際の出願では昨年の1.95倍は下回ったとしても県トップレベルの高倍率を維持するものと推測されます。

 

 浦和は、0.22ポイント低下し1.36倍でした。過去5年間の最高は令和2年度の1.62倍、最低は3年度の1.28倍です。今回の1.36倍は、5年度(昨年)の1.58倍に比べるとかなり低いですが、4年度(一昨年)の1.31倍を上回っています。この学校のこの時点の倍率としては低いので、実際の出願に向けて1.40倍台まで上がって来る可能性もあります。

 

 所沢北は、0.25ポイント低下し1.48倍でした。令和4年度(一昨年)の1.99倍をはじめ、常に1.70倍以上の高倍率を維持してきたので、今回の大幅低下は予想外でした。例年実際の出願に向けて1.40倍台まで下がる傾向がありますが、今回は1.48倍からのスタートなので、1.30倍以下まで下がるか、またはこのままの倍率を維持するのか、第2回の動向が注目されます。

 

 鳩ヶ谷(定員160)は、第1回では2倍を超える年も多い学校です。下がり幅は大きいですが1.51倍は全県的に見れば高倍率と言えます。実際の出願では1.10~1.20倍程度に収まると推測されます。

 

 川越西松伏・情報ビジネスコース、熊谷女子鶴ヶ島清風狭山清陵ふじみ野上尾南は定員割れ状態となりました。狭山清陵の0.95倍、上尾南の0.92倍あたりは実際の出願で1.00倍を超える可能性が大きいでしょう。川越西の0.88倍、熊谷女子の0.75倍あたりは1.0倍を超えるかどうか微妙なところです。

 

 今回は、前年同期と比べ、倍率が大きく上昇した学校と、逆に大きく低下した学校を取り上げました。

 

(教育ジャーナリスト 梅野弘之)

=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事

 

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