2022年2月24日配信
令和4年度埼玉県公立高校入試・試験問題を分析
24日に県内各地で一斉に実施された「令和4年度県公立高校入試」。教育ジャーナリストの梅野弘之氏が分析した試験問題の難易度や特徴などを速報する。
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昨年(令和3年度入試)は、新型コロナによる臨時休校長期化等に配慮し出題範囲の縮小がありましたが、今年(令和4年度入試)は元に戻り、各教科とも中学校3年間全範囲からの出題となりました。
以下、各教科の出題内容、配点等について確認しておきます。
【国語】
大問の構成と配点はこれまでと同じでした。大問2漢字の読みでは「焦がれる(こがれる)」がやや難しかったかもしれません。また、文法問題では文章が示され、そこで使われている最も多い品詞(答:助動詞)を問うものでしたが、これまでにない出題形式でした。
大問3長文読解(論説文)は、倫理をテーマとした文章が出されました。去年の哲学に続き中学生にはやや難しいテーマでした。問3、問5の記述問題が高得点を取れるかどうかの鍵になりそうです。
大問5の作文は2種類のグラフを資料として、「コミュニケーションを図るときに気をつけること」について自分の考えを書かせる問題でした。内容的には言葉の使い方に関することなので、体験なども書きやすかったでしょう。書き方の条件等はこれまでと変わりありません。
難問は少なく、平均点は前年並みと予想されます。
【数学】
学力検査問題の大問構成や配点はおおむね昨年と同じでした。
予想された通り、昨年出題範囲から除外された標本調査などが復活しました。また、大問1(14)では、新しく中学校の教科書に加わった「箱ひげ図」が出ました。作図も昨年除外された三平方の定理を前提とするものでした。
極端に難化したとは言えませんが、問題文をよく読まないと間違えそうな問題もあり、平均点は高水準を維持するものの、若干下がる可能性があります。
学校選択問題も、大問構成や配点に特に大きな変化はありませんでした。
昨年除外された内容が復活したり、新しく教科書に加わった内容が出されたのは学力検査問題と同様です。大問2(2)や大問5(3)あたりは苦戦した人が多かったかもしれません。特に最後の問題である大問5(3)は完答できた人は少ないと予想されます。
全体として見れば極端な難化はありませんので平均点は昨年並みか、若干低下する程度でしょう。
【社会】
昨年は出題範囲の縮小にともない大問ごとの配点が従来と異なりましたが、今年は全範囲からの出題に戻ったため、配点も一昨年までとほぼ同じになりました。
大問1と大問2の地理分野の出題内容はほぼ例年と変わりませんが、大問2問3は会話文を読んで答えるもので社会地理分野ではこれまでになかった形式です。
大問3の歴史分野では、中国との関係を問う問題はありましたが、ここ数年出されていた欧米の歴史に関わる問題は出題されませんでした。
大問5の公民分野では、学校の授業ではあまり見かけない図が示され、戸惑った人もいるでしょう。昨年削除された経済に関する問題や国際関係に関する問題が当然ながら出題されました。
全体としては、資料やグラフを読み取った上で答える問題がさらに増えたようです。ただし、答えとして求められているのは、きわめて基本的な用語や内容です。
したがって、平均点の変化はそれほど大きなものにはならないでしょう。
【理科】
大問構成と配点は例年通りでした。
全体としては基本的な用語や内容を問う問題が多かった印象です。
大問2地学分野は天体に関する問題でした。ここ数年の出題単元の傾向から予想した人も多かったでしょう。
大問3生物分野は2年生の内容、大問4化学分野は1年生の内容からの出題でした。問題演習をたくさんやっている人にとっては、どこかで出会ったことのある問題が多く、特に難問とまでは言えません。
大問5物理分野は、作図や計算、説明など、解答の仕方がさまざまであり、問題文を読む量も多かったので時間が足りなかった人もいたかもしれません。大問5の問4は、数学の三平方の定理を応用する計算問題でした。答えは記号選択式でしたが、苦戦した人も多いでしょう。
基礎基本的な用語や内容が多かったのは平均点上昇につながりますが、小問数の多さ、問題文の長文化、解答方式の多彩さなどは平均点下降につながります。総合的に見て、平均点の大幅上昇はないと見られます。
【英語】
学力検査問題の大問構成、配点などは昨年とほとんど変わりありませんでした。各小問の設問内容や配点もほぼ昨年と同様だったので、過去問でしっかり準備してきた人は取り組みやすかったでしょう。
英作文も「あなたの将来の夢はどのようなものか」を書く問題で、これまでの準備の過程で一度は書いたことがありそうなテーマでした。
学力検査問題に関しては、平均点を大きく下げるような要素はあまり見当たりません。ただ、語い力は求められるので、ここに弱点のある人が平均点を下げる可能性があります。
学校選択問題も大問構成、配点などに変化はなく取り組みやすかったでしょう。引き続き問題文(英文)を読む量が多いため、そこに時間を取られると時間不足となります。準備してきたとおりの設問がほとんどだったので平均点はやや上昇する可能性があります。
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テレ玉では、本日午後6時15分~同8時15分の間、「令和4年度埼玉県公立高校入試解答速報」を放送。番組では、学習塾「スクール21」の講師らが今年度の県公立高校入試問題の解答を解説している。放送終了後には、テレ玉公式YouTubeチャンネルで見逃し配信も行う。
梅野弘之氏
教育ジャーナリスト、元埼玉県公立高校教諭。メディアバンクス代表取締役。埼玉新聞受験特集に執筆するほか入試関連イベント、進学情報誌の編集発行に携わる。
令和4年度
埼玉県公立高校入試問題は→こちら
(リンク先は、埼玉県教育委員会HP)
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