武南 延長制し4年ぶりV
埼玉平成に3-1
(最終日、30日・浦和駒場スタジアム)
決勝を行い、延長の末に武南が3―1で埼玉平成を下し、4年ぶり18度目の栄冠に輝いた。
武南は0―1の後半8分に文元のパスを戸上が押し込んで同点にする。延長後半2分にゴール前の混戦から文元が勝ち越しゴールを決めると、同4分に裏に抜け出した大豆生田が追加点を奪った。
両校は関東高校大会(5月26~29日・東京)に出場する。
延長戦を含めた100分間で22本のシュートを見舞った武南が埼玉平成に競り勝った。
武南は0―1の後半8分、文元のパスに走り込んだ戸上が同点ゴール。延長後半2分に文元の左足シュートが決まって勝ち越し、2分後には大豆生田が追加点を奪った。埼玉平成は前半34分に先制したものの、延長戦では得点に迫るパワーが残っていなかった。
武南 変幻自在な攻撃力
武南―埼玉平成 延長後半2分、勝ち越しゴールを決めた武南の文元(中央)が喜びを爆発させる
武南が2月の県新人大会に続き、関東大会県予選も制し、県内で今季二つ目のタイトルを獲得した。
延長までもつれ込んだ決勝は、終わってみれば3発の快勝だが、前半は苦しい時間が続いた。ゴールキックからロングボールを蹴らず、DF陣でショートパスをつなぐ相手に対して松原は「こんなに回されると思わなくて、気持ち的に苦しかった」。前半34分に失点し、追う展開になるものの武南に焦りはなかった。内野監督は「あえてボールを持たせて高い位置でスペースをつくって、どこで使わせるか」と好機をうかがった。
後半からは左サイドバックの飯野を左サイドハーフで起用するなど、それぞれポジションを変えてゴールを狙うと、同8分に文元のパスから戸上がスライディングで押し込んで同点に。「相手にじわじわ効いている」(内野監督)と順応性のある攻撃で次第にペースをつかみ、延長後半2分にゴール前の混戦から文元が「うれしすぎて記憶にない」と貴重なゴールを決めて勝ち越しに成功。同4分に大豆生田がダメ押し点を奪って突き放した。
100分間の激闘に疲労の様子より笑顔をにじませる選手たち。松原は「埼玉2冠はいい収穫。自分たちのテクニックがどれくらい通用するか試したい」と関東大会を見据えた。
松原 自信を起点に同点ゴール演出
決勝でフル出場した武南の松原が、1アシストを記録するなど優勝に貢献した。「いつもより仕掛ける回数を増やした」と広い視野と巧みな技術を披露。0―1の後半8分には自身が起点となり同点ゴールを演出した。
延長に入ってからは「体力的にきつかったけど、気持ちで乗り切った」と同後半4分に大豆生田のゴールをアシスト。プレーだけでなく、各選手に指示を送るなど、チームの核である背番号10は「もっと強度の高い練習をしないといけない」と勝ってかぶとの緒を締めた。
埼玉平成 技術にこだわり躍進
初の決勝に臨んだ埼玉平成はテンポよくボールを回して武南のプレスをかいくぐり、前半34分に佐藤琉のゴールで先制。後半は守備に回る時間が長くなったことで前への推進力を失い、延長後半の2失点で力尽きた。
主将の清水は「体力が課題。もっと点を取りにいく姿勢があれば」と何人も足をつって交代した展開を悔やみつつ、「埼玉平成といえばサッカーと言われるように盛り上げていきたい」と表情を引き締めた。
2020年に中学年代の下部組織・JUBOL(フボル)FCを立ち上げ、この春1期生が高校1年生として入学。チーム強化を軌道に乗せる意味でも、武蔵越生や成徳大深谷など県S1リーグ所属の相手を連破して初の関東切符を手中に収めた今大会の躍進は大きなインパクトを与えた。
指揮を執った三島コーチは旗印に掲げる技術へのこだわりを披露した選手たちをたたえ、「心を動かされる場面が多々あり、一分一秒が経験値になった。プレーすることを楽しめる集団を目指したい」と次なるステージを見据えた。
品田 高い集中力でピンチの芽摘む
前半12分、今大会初出場の埼玉平成・品田(右)が武南・高橋秀と競り合う
埼玉平成は今大会初出場の品田が、累積警告で出場停止の三木に代わってアンカーを務めた。高い集中力でピンチの芽を摘み、「相手の崩しで引き出される場面もあったが、しっかりボールを取り切れた」と中盤の底で奮闘した。
三島コーチも「覚悟を決め、予想以上に力を発揮してくれた」と、縁の下の力持ちとして役割を全うした背番号6を高く評価。品田は「いざ出てみたら、通用する部分もあって自信になった」とさらなる成長への手応えをにじませた。
=埼玉新聞2023年5月1日付け9面掲載=
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