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全国高校サッカー埼玉大会 昌平2年ぶり栄冠

王座奪還 全国へ

 サッカーの第101回全国高校選手権埼玉大会(埼玉新聞社など後援)最終日は13日、NACK5スタジアム大宮で決勝を行い、昌平成徳大深谷を1―0で下し、2年ぶり5度目の栄冠に輝くとともに全国高校選手権(12月28日~来年1月9日・国立競技場ほか)の出場権を獲得した。
 昌平は後半17分、武村の左クロスがクリアされ、こぼれ球を拾った大谷が左足で決勝点を奪った。守っては、津久井と石川らDF陣がフィジカルで圧倒し、無失点に抑えた。
 21日に全国高校選手権の組み合わせ抽選会が実施される。

2年ぶり5度目の栄冠に輝いた昌平の選手たち=13日午後、NACK5スタジアム大宮

 

 昌平は1年生大谷が決勝点を奪い、1―0で成徳大深谷を下した。
 試合を通して主導権を握った昌平は0―0で迎えた後半17分、クリアボールを拾った大谷が左足を振り抜いてネットを揺らした。球際でも力強く相手をはね返し、最後まで危なげなくリードを守り抜いた。成徳大深谷は狙いとするセットプレーの機会が少なく、ゴールが遠かった。

 

剛柔自在に存在感

後半17分、左足シュートで決勝点を挙げた1年生MF大谷(中央)を祝福する昌平イレブン

 

 試合終了の笛が鳴ると、曇天だった空に西日が差し込み、昌平にサッカーの神様が舞い降りた。2年ぶり5度目の栄冠に輝いた藤島監督は「最後のところで崩しきれずにいたけど、最後まで粘り強く戦ってくれた」と選手をたたえた。
 成徳大深谷との決勝は、前半だけでシュート11本を放つが、相手の粘り強い守備でゴールネットを揺らすことができなかった。それでも、多彩なパスワークで攻撃の時間をつくって流れを呼び込むと後半17分、相手DFのクリアボールを拾った大谷が左足のシュートで決勝点を挙げた。守っては、空中戦を得意とする相手に高さで勝り、寄せ付けなかった。
 例年、各チームは〝昌平対策〟として守りに特化する。それに対して多彩な攻撃で打開策を図るが、昨年は隙を突けずに3回戦敗退。だが、今年はひと味違った。「パワー、技術、コンビネーションとこじ開ける方法がどれもあるけど、状況に応じた戦いができる」と指揮官。
 高い技術でボールを支配する従来の攻撃に加え、相手のプレッシャーを受けても簡単に倒れない強靭(きょうじん)なフィジカルの剛柔を自在に操り、今大会は全4試合で18得点2失点と、その威力を結果で示した。篠田は「県外のチームと対戦する時と違い、県内のチームは昌平対策が多くてやりにくい。だけど今年は打開できた」と胸を張った。
 過去4度出場した選手権の最高成績は2度の8強。第99回大会で8強入りに貢献した荒井は「高校サッカーに入った者なら誰でも目指す舞台。優勝して結果を残したい」と再び聖地に戻る。今夏の全国高校総体では4強と届かなかった〝全国制覇〟の夢は、高校サッカーの集大成である国立の舞台で達成させるつもりだ。

 

1年生のスター誕生 MF大谷

 タレント集団にスター性を感じる1年生が誕生した。昌平の大谷が今大会初先発の決勝で、値千金の決勝ゴールを挙げた。
 後半17分、武村の左クロスが相手にクリアされると、こぼれ球を拾った大谷は一度切り返し、「自分で決めるつもりで迷いなく思いっ切り振った」。左足で放ったミドルシュートは、相手DFの肩に当たり、コースが変わってゴールをこじ開けた。
 1年生ではあるが、技術の高さは折り紙付き。大谷について、J1FC東京内定の荒井は「チームを勝たせたり、ほかには持ってないものを持っている」と評価。決勝での大谷は「キープするドリブルは得意」と左サイドから果敢に仕掛けて敵陣内に侵入した。ゴールのシーンでは本来、利き足の右ではなく、「両足で蹴れる」と二刀流をほうふつさせる器用さを大事な場面で見せた。
 憧れの選手にブラジル代表のネイマールを挙げ、ドリブルで持ち込むスタイルを目指す大谷は「結果を残したい」。全国の舞台でも左サイドを切り開きながら、勝利へ導いてくれることに期待だ。

 

雪辱期し力の限り

後半26分、守備で体を張る成徳大深谷のGK木村(手前)とDF新井(6)

 

 

 無失点のまま時計の針を進め、PK戦まで見据えていた成徳大深谷。為谷監督は「高くクリアするところでたたきつけてしまった。基本を忠実に刷り込んできたが、ちょっとイレギュラーがあった」と失点直前のプレーを悔やんだ。
 昌平が誇る強烈なサイド攻撃を警戒し、相手エースの荒井にはスピードのある鈴木と安野が連係して対応。後半14分にMF安野の放ったシュートが惜しくも昌平・上林に阻まれると、ビッグチャンスの3分後に落とし穴が待っていた。
 昌平・武村がゴール前に蹴り込んだ左クロスへの対処が甘くなり、さらなるピンチを招いた。こぼれ球を拾った大谷の左足シュートはDFに当たってコースが変化し、好セーブを連発してチームをけん引してきたGK木村も逆を突かれた。
 今季は4月の関東高校県予選で4強入りし、6月の高校総体県予選は決勝で昌平に惜敗。今大会も4年ぶりの4強、初の決勝と歩みを進め、たどり着いた雪辱戦で「どんな形でも昌平に土をつける」(為谷監督)と力の限りを尽くした。
 大舞台での経験がチームの成長を促し、「今年は本当に〝選手権〟という言葉に力があった」と為谷監督。スタンドの惜しみない拍手がイレブンの奮闘をたたえ、指揮官は「歯がゆくも、頑張る姿に熱くなった」と教え子たちに感謝した。

 

悔しさにじませ「点差以上に差」
GK木村

 懸命にゴールマウスを守り続けた成徳大深谷のGK木村は「相手の方が上だった。枠に来たシュートが入ってしまったのは自分の責任」と悔しさをにじませた。
 浦和レッズのジュニアユース出身で、抜群のキック力と安定したシュートストップを披露。主将として最後までチームを鼓舞し続けた。
 試合後も力強いまなざしで表彰式を見届け、「昌平を倒すため、リベンジして全国に行くためにここまでやってきたが、点差以上に差があった」と相手をたたえた。

 

大会優秀選手 昌平から8人

 県高体連サッカー専門部は13日、全国高校選手権埼玉大会の優秀選手18人を発表し、2年ぶりの全国大会出場を決めた昌平から最多の8人、準優勝の成徳大深谷から4人が選ばれた。

 

=埼玉新聞2022年11月15日付け1面、9面掲載=

 

 

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