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全国高校バスケ 男子 正智深谷 接戦制し3回戦へ/女子 昌平 初の8強ならず

男子2回戦

連係高め一体感醸成

男子 高山西―正智深谷 第3クオーター、正智深谷の中武(6)がシュートを放つ

 

 男子の正智深谷が手に汗握る接戦を制した。最終盤まで1点を争う展開でも、連係を図り一体感を強めた。成田監督は「これで勝つしかないという勝ち方。最後は3年生の思いが強かった」と選手の奮闘をたたえた。
 立ち上がりからチームスタイルの堅守速攻を体現した。身長2㍍超の相手留学生にもセンター中武を中心にリバウンドに飛び込んだ。中武は「自分が逃げては流れが来ない」と計12リバウンド。ゴール下で勢いづくと、次第に得点差を広げた。
 6点リードで迎えた最終クオーターは一進一退の攻防となった。留学生に立て続けに得点を奪われ一時は49―50と逆転を許した。中武は「声をかけ合い、顔を上げて気持ちを一段高めた」。主導権を相手に譲っても選手たちに悲壮感はなかった。
 2点劣勢の残り1分。グビノグンのパスをフリーで受けた飯島の3点シュートで勝ち越した。ベンチ、応援のボルテージが上がると、直後に早船がゴール。「自分が決めてやると狙っていた」と相手パスを奪取し、値千金の2点を追加した。
 次戦は今夏の全国高校総体8強の藤枝明誠(静岡)と争う。中武は「正智らしく、走って守り、チーム一丸で戦いたい」と決意をにじませた。

 

主将の自覚を胸に勝利導く
飯 島
 正智深谷の主将・飯島が正確な3点シュートでチームを勝利に導いた。54―56とリードを許して第4クオーター残り時間1分。「自分がやるんだと、3年生としての意地を見せた」と3ポイントラインから放ったシュートが逆転のリングを射抜いた。
 この試合で記録した17得点6アシストはともにチーム最多。速攻の起点として鋭いドリブルで好機を演出した。「自分がリーダーになるんだという強い気持ちでチームを率いたい」と主将としての自覚を胸に3回戦で藤枝明誠に挑む。

 

 

男子1回戦

持ち味貫き好発進

男子 正智深谷―東海大諏訪 第3クオーター、正智深谷の飯島(中央)がシュートを決める

 

 男子の正智深谷は持ち前の堅守を最後まで貫き、東海大諏訪(長野)との1回戦を危なげなく制した。成田監督は「無駄な点を与えず速い展開に持ち込むのが、うちの本来の持ち味。本当に良い内容だった」と好発進に納得の表情を見せた。
 第1クオーターからインサイドの中武が体を張り、好守備を連発。スクリーンプレーを多用する相手に対し、グビノグンは「コミュニケーションをしっかり取る意識を持ちながら、自分たちのベースは崩さなかった」と鍛え上げた1対1の守備力を見せつけた。
 プラン通りにロースコアに持ち込むと、第2クオーター中盤からガード飯島を起点に速攻から早船、岡野、グビノグンが連続得点。佐々木の3点シュートで一気に点差を広げ、相手守備が出力を上げた第3、4クオーターも冷静な試合運びで主導権を渡さなかった。
 チーム主将の飯島は「守り勝って相手のリズムを崩してブレークダウンができた。次も守って走る、それを徹底していきたい」と磨き上げた堅守速攻を武器にさらなる高みを目指す。

 

3点シュートなどで19得点
2年・佐々木

 正智深谷2年の佐々木がチームトップの19得点。試合の中で効果的な3点シュートを5本成功させ、センスの高さを示した。「3年生に自分のリズムで打てば入ると言われ、リズムが良くなった」と好調の要因を語った。
 自身にとってはウインターカップデビュー戦。先発で出場すると、チームで2番目に長い約38分間プレーした。目標は高校バスケ界で日本一のシューター。「自分の3点シュートがチームの武器と見てもらえるよう、どんどん決めたい」。背番号15から目が離せない。

 

 

女子3回戦

夢届かずも成長示す

女子 慶誠―昌平 第2クオーター、昌平の成田(中央)が相手守備を突破する

 

 進撃を続けた女子の昌平だったが、惜しくも8強進出の目標はかなわなかった。加藤監督は「3連戦ということもあり最後は足に来てしまったが、戦えるぞという試合を見せてくれたのでうれしい」と選手たちの健闘を喜んだ。
 今夏の全国高校総体8強を相手に、前半は一進一退の攻防を繰り広げた。ところが、後半ゾーンディフェンスに転じられると攻撃の精度を欠いた。ノーマークでのシュートもリングにはじかれる場面が目立ち、次第に焦りが広がった。
 ゴール下の長身留学生を警戒する中、第3クオーターでは外に振られ3本の3点シュートなどで点差が拡大。2年の佐々木は「分かってはいたが、ローテーションがうまくいかず勝負どころで決められた」と悔やんだ。
 エース成田への依存を改善した今大会。1、2回戦では4人が2桁得点を記録し、誰でも得点できるチームに成長した。主将の中村美は「来年は自分たちが届かなかったベスト8に向け頑張ってもらいたい」。あと一歩に迫ったセンターコートの夢を後輩に託した。

 

チーム最多の27得点でけん引
エース成田

 エースの意地を見せた成田が27得点で劣勢のチームをけん引した。1回戦22得点、2回戦20得点で3回戦進出に貢献。「今大会は積極的に攻めてチームを勝たせるのが目標だった。ベスト8まで勝たせることができなくて悔しい」と話した。
 ガードとしてチームの攻撃を組み立て、守備でも体を張った。「ルーズボールもリバウンドも取られてしまった。自分がもっと積極的にいけていたら変わっていた」と涙を拭ったが、チーム最多の11リバウンドも記録し存在感は絶大だった。

 

女子2回戦

流れ呼ぶ全員守備

女子 日本航空石川―昌平 第1クオーター、昌平の中村美(10)が守備をかわしてシュートを決める

 

 女子の昌平が3度目の挑戦で初の16強入りを果たした。192㌢の留学生を擁する日本航空石川に対し、球際での粘り強い全員守
備で流れを手繰り寄せ逆転勝利。加藤監督は「ディフェンスを頑張っての速攻。流れが悪いところで、よく頑張ってくれた」と称賛した。
 16―17で迎えた第2クオーターに流れが変わった。林、佐々木の2年コンビがボールへの強い執着心を見せ、原田がポジションを取られる前に留学生に体を当てて自由を封じた。足を使った守備で重圧をかけミスを誘うと、相手をわずか8点に抑えて逆転に成功した。
 試合終了の笛まで昌平の勢いは止まらない。全員で飛び込むリバウンドで攻撃回数を増やし、得意のスペースに走り込むバスケを展開。佐々木が21点、成田が20点と役割を果たして、順調に得点を伸ばし続けた。
 次戦の相手は全国高校総体8強の熊本・慶誠。チーム一、体を張れる原田は「留学生をどう抑えるかが鍵。自分たちができることを出し切って勝ちにいきたい」と目標のベスト8まで、あと1勝に迫る。

 

ゴール下で「鉄壁」築く
主将・中村美

 昌平の主将・中村美がゴール下で何度も相手のシュートをたたき落とす鉄壁の好守備を見せて速攻につなげた。「ビッグマンについていないときは三線からブロックに行ける。ディフェンスから頑張れた」と逆転勝ちの要因を語った。
 身長173㌢のパワーフォワードは、持ち前の冷静なプレーで攻撃でも3点シュートやインサイドから10得点。頼れる主将は「ここぞという大事なところで決められるプレーヤーでありたい」と、次戦も攻守で縁の下の力持ちとなる。

 

女子1回戦

体格に勝る堅守速攻

女子 新潟産大付―昌平 第2クオーター、昌平の佐々木(右)がシュートを決める

 

 体格差をものともせず、堅守速攻がさえた昌平が、初出場した第71回大会以来6大会ぶりに初戦を突破した。加藤監督は「全国で勝たせてあげたかった。正直ほっとしている」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
 昌平は序盤、全国大会独特の雰囲気による緊張からか、硬さが見られた。第2クオーター途中までは1ゴール差の攻防が継続。身長157㌢成田のゴールで29―28と逆転すると、豊富な運動量とテンポの早いパスワークから成田と158㌢佐々木らがゴールを量産。11点リードで前半を折り返した。
 新潟産大付が擁する身長193㌢と185㌢の留学生をいかに封じるかが勝利への鍵だった。昌平は原田を中心に留学生に対応。粘り強い守備に対してファウルを重ねた留学生の1人が第3クオーターに退場し、試合の形勢が決まった。
 同校初の県内4冠を達成した現チーム。8強入りを目標に2回戦で再び留学生を擁する日本航空石川と争う。主将の中村美は「リバウンドに対する意識も強く持って、絶対に勝つ」と初の3回戦進出を懸けた一戦に臨む。

 

スピードスター初舞台で大躍動
ガード・佐々木

 巧みな間で切り込み、相手守備を置き去りにした。昌平の2年ガード佐々木は、初舞台で18得点4アシストと大躍動。「ミスしても気にせず守備から引き締めて、ドライブで流れをつかめた」と最後まで笑顔満点のプレーが光った。
 身長158㌢と小柄ながら、タイミングをずらす技術とドライブの加速力が天才的なスピードスター。「合わせが来てくれるから安心してドライブできる。3年生とずっと長くプレーしたい」と自らのプレーで先輩たちを支えていく。

 

=埼玉新聞2024年12月24日付け7面、25日付け7面、26日付け15面掲載=

 

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