<男子>
昇陽(大阪)に1-2
男子の正智深谷は高さを生かした攻撃的なバレーを展開したが流れに乗り切れず、昇陽に逆転負けを喫した。
第1セットからエース白野にボールを集め、25―19で先取。勢いに乗りたい第2セットは、相手の粘りのコンビバレーに苦しみ、22―25で落とした。競り合いになった第3セットは、連係ミスが重なり22―25とあと一歩及ばなかった。
攻撃貫き力出し切る
男子3回戦 昇陽―正智深谷 第1セット、正智深谷の(奥右から)新井、近藤竜、中山の3枚のブロックが破られる
初の8強入りを目指した男子の正智深谷はフルセットまでもつれた激闘の末、昇陽に逆転負けを喫した。持ち前の強打で攻撃的バレーを貫き、鈴木監督は「力を出し切った上での敗戦。精いっぱいやり切ってくれた」と目を赤くした。
高さを生かした攻撃で第1セットを先取した。開始からエース白野の3連続得点で勢いづくと、ライト八鍬、ミドル新井が積極的にスパイクを放った。191㌢の新井は「試合のキーマンは自分。高さで勝つ」と守備のマークを引き付けた。
第2セットは白野が封じられ、淡泊な攻撃が目立った。11―15と先行されてタイムアウトを取った指揮官は「強打が全てではない」と攻撃の修正を促した。その後は新井を中心にコンビバレーを展開。一時は同点に追い付いたが及ばなかった。
一進一退の第3セットは相手エースの厳しいスパイクに苦しんだ。セッター近藤竜は「崩れたレシーブもいいトスにするのが自分の役目」とボールを散らして状況の打開を試みた。最後は3戦連続フルセットの疲労を隠せず、足が止まった。
今チームはエース白野を筆頭に攻撃陣のタレントがそろい、昨夏の高校総体に続き全国16強入りを果たした。鈴木監督は「結果は求めていたものとは違ったが、選手たちの3年間は何も間違っていない。胸を張ってほしい」とねぎらった。
エースの役目全う
レフト白野
正智深谷のレフト白野が得点を重ねた。第1セットで15得点を挙げ、チームをけん引。相手の厳しいマークがついても多彩な攻撃で抗戦した。「大事な場面で決めて、エースの役割を果たせた」とたたき出した計29得点に胸を張った。
347㌢という打点は今大会の出場選手で最も高いが、得点を生むために自らのスパイクに固執はしない。主将として重視してきたのはチームプレー。最後まで笑顔を忘れず「チームとして戦うことが大事だと示せた」とすがすがしかった。
ライト八鍬 攻守に躍動
正智深谷のライト八鍬が攻守で躍動した。積極的な攻撃参加で8得点。相手の左利きエースにも「映像とデータを分析して勝負した」とうまく対応した。ライトからのクロススパイクを受け止め、精度の高いレシーブから攻撃の起点をつくった。
高校での3年間は「自分たちのバレーは白野に託す」という思いでチームを支え、献身的にプレーした。大学に進学してもバレーを続け、「全国の舞台で敵として白野と勝負がしたい」。高校バレーで培った技術に磨きをかける。
第1セット、正智深谷の八鍬(右)がスパイクを放つ
<女子>
古川学園(宮城)に0-2
硬さが目立った女子の細田学園は粘りを発揮できず古川学園にストレートで敗れた。
細田学園は序盤から相手の高いブロックに苦戦した。攻撃の要の土橋、犬伏が長身ミドルに徹底マークされ得点を奪えず、15―25で第1セットを落とした。相手の勢いが増した第2セットは連係ミスも目立ち、13―25と反撃に転じられなかった。
経験の差 悔しさ糧に
女子2回戦 古川学園―細田学園 第2セット、細田学園の木戸(7)と大川(6)の2枚のブロックが破られる
女子の細田学園は持ち前のコンビバレーを発揮できずストレート負け。前回王者の古川学園の重圧に屈した。伊藤監督は「勝ちたい気持ちが空回りしていた。場数の差が出た」と悔しい表情を浮かべた。
第1セットから相手の高さに苦戦した。得点源の土橋、犬伏が183㌢の長身ミドルにマークされ、ブロックで4点を奪われた。犬伏は「ブロックアウトを狙ったが手首が強かった」と狙った攻撃がはね返され、攻略法を見いだせなかった。
焦りが見え始めた第2セットは連係のミスが出た。「切り返しがうまくできず、ラリーがつなげなかった」と主将のリベロ沼倉。相手の守りに目を向ける余裕が失われ、山崎、木戸の2セッターもボールを散らせなかった。
昨夏の高校総体出場を逃した現チーム。攻守の歯車はうまくかみ合わなかったが、「出られただけでもよかった。ここまで来られたのは2人のおかげ」と指揮官。エース土橋とリベロ沼倉、チームを率いた3年生に感謝した。下級生主体のチームは、この敗戦を糧にレベルアップを図る。
「悔いのないよう」最後まで果敢に
エース土橋
細田学園のレフト土橋は最後まで攻撃の手を緩めずスパイクを打ち込んだ。序盤から徹底マークされ、最初の得点は第1セットの終盤になった。11―16の場面で「悔いのないように思い切り打った」と初得点を挙げ、観客席を沸かせた。
1年時からレギュラーを担うアタッカーは「細田のバレーが弱気だった自分を成長させてくれた」とチームのエースに成長。集大成の舞台で全ての力が出し切れたわけではない。この敗戦を今後のバレー人生に生かし、さらなる成長を遂げる。
=埼玉新聞2024年1月6日付け9面、7日付け11面掲載=
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