狭山ケ丘 初の春高へ
(最終日、10日・サイデン化学アリーナさいたま)
男女の準決勝と決勝を行い、男子は埼玉栄が3年ぶり10度目の頂点に立ち、女子は狭山ケ丘が初の栄冠に輝いた。両校は全日本高校選手権(来年1月5~7、11、12日・東京体育館)に出場する。全国選手権出場は男子の埼玉栄が3年ぶり11度目、女子の狭山ケ丘が初出場となる。
男子の第1シード埼玉栄は準決勝で春日部共栄に2―0でストレート勝ち。決勝では第2シード昌平に3―2で逆転勝利を収めた。
女子の第1シード狭山ケ丘は準決勝で伊奈学園を2―0で下した。決勝では第2シード春日部共栄を相手に、3―0のストレート勝ちを収めた。
▷女子決勝
粘り強いレシーブからコンビバレーを展開した狭山ケ丘が春日部共栄に競り勝った。狭山ケ丘は第1セットから伊藤、室を中心に好レシーブ。良い形で倉田、宮沢ら得点源につなぎ25―22で先取した。第2セットも25―19で連取。第3セットはジュースにもつれる中、長いラリーを制し宮沢が3連続得点するなど27―25で奪った。
春日部共栄は相手の返球をうまくレシーブできず崩された。レフト冨永、小川がスパイクで対抗するも単調な攻撃となり1セットも奪えなかった。
スタイル貫き悲願
女子決勝 狭山ケ丘―春日部共栄 第3セットを奪い初優勝を決め、喜びを爆発させる狭山ケ丘の選手たち
武器のコンビバレーを貫いた女子の狭山ケ丘が、1960年の開校以来初の栄冠に輝いた。県高校女子バレー界の歴史に新たな一ページを刻み、引地監督は「レシーブから粘って粘って決めて、選手たちがよく頑張った」とたたえた。
リベロ伊藤、室がブロックとレシーブの好連係を構築。ライト倉田、レフト宮沢に良い形でつないだ。2―0の第3セットはジュースにもつれたが23―24から宮沢が「集中ブロックに来るから打つしかない」と得意のブロックアウトを狙い強気で連続得点した。
昨年から導入したメンタルトレーニングをさらに強化。試合前に選手間で模擬の勝利インタビューを行うなど、競った展開を想定し、勝因を語ることで「接戦で何本もトスが上がっても余裕を持てた」と倉田。冷静な試合運びにつながった。
スタメンの平均身長は165・5㌢と全国レベルでは低いが、その分磨いた技術と連係の高さは譲れない。主将の藤野は「レシーブは全国で通用する。みんなで攻撃をつくってみんなで取っていく」と一丸で全国に挑む。
焦りに悪循環 涙のむ
春日部共栄
女子の春日部共栄は自分たちのバレーを封じられ、涙のストレート負けを喫した。鱒渕監督は「我慢できずミスが出てしまった。相手が一枚も二枚も上手だった」と点差以上の差を痛感し、唇をかんだ。
レフト小川、冨永の強打やセッター塚田のクイックで応戦したが、レシーブが決まらずうまく攻撃に転じることができなかった。「必死に変えよう変えようと思って周りが見えなくなった。焦りがミスにつながった」と冨永。悪循環を止められなかった。
第3セットは一丸で追い上げるも、25―27とあと一歩及ばず。笑顔でチームを鼓舞し続けた主将の赤井は「悔いの残る内容になってしまった。来年は歴代の先輩たちの分まで勝ってほしい」と大粒の涙を流しながら後輩たちに思いを託した。
▷男子決勝
対応力の高さを見せた埼玉栄が昌平に逆転勝ちした。埼玉栄は守勢に入り22―25、22―25と2セット連続で献上し、第3セットからブロック強化の布陣に変更。片山、坂本吏らのブロックで流れを引き寄せ、25―6で圧倒すると、第4、5セットはエース定山、中村らの強烈なスパイクで得点を重ねて連取し、逆転勝利につなげた。
昌平は速攻から勢いよく展開し、鈴木、小野のスパイクなどで第1、2セットを連取したが3セット目を取り切る体力が足りなかった。
王者の底力で4冠
男子決勝 埼玉栄―昌平 第1セット、埼玉栄の定山(2)がスパイクを放つ
王者の底力を見せた男子の埼玉栄が0―2からはね返し、3年ぶりの優勝を決めた。伊藤監督は「だんだん良くなってフルセットで勝つことができた。ブロックで捕まえて流れがぐっと来た」と感無量の表情だった。
第3セット、ブロック強化のためセッターに身長177㌢の片山を起用するなど陣形を変更。ミドル坂本吏は「相手のセッターとスパイカーの動きを見て形を意識して対応できた」と好守備から流れを引き寄せ25―6でこのセットを奪った。
レフトに動いた定山は「やるしかない。絶対に勝ってやるとブロックをずらしながら工夫して攻撃した」。第4、5セットも勢いそのまま、定山とレフト中村を軸に、コート全体から強打を次々と決め逆転した。
今季、県大会計19試合を勝ち抜く中で失セットはこの日の2セットのみ。圧倒的な強さで県高校新人、関東高校県予選、県高校総体と合わせ4冠を達成した。主将の中村は「悔いの残らないようにもっともっと精度を上げてセンターコートを目指したい」と3年ぶりの春高に照準を合わせた。
形変え示した成長
昌平
男子の昌平は、2セット先取で逃げ切りたかったが、逆転負けで2年連続の準優勝となった。掛川監督は「選手は本当に努力してきた。あともう1本取れる体力が足りなかった」と目を赤めた。
今季4度目の対戦。6月の敗戦からわずか4カ月でネットの両サイドにコートの幅いっぱいの高いトスを上げ打たせるオープン攻撃から平行トスを多用し展開速度を上げる攻撃へと劇的にバレーのスタイルを変えて臨んだ。チーム内で衝突を繰り返しながらも勝つために仕上げてきた。
「最後は力不足だったけれど、勝ちたい気持ち、バレーが好きな気持ちで乗り越えて、どこより練習してきた」と主将のレフト鈴木。涙の2位となったが、昌平らしい猛攻撃で今季初めて奪った2セットに、この1年間の成長が凝縮されていた。
=埼玉新聞2024年11月12日付け1、6面掲載=
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