女子走り高跳び 高橋(埼玉栄)2連覇
男子ハンマー投げ 榊原(進修館)2位
(第1日、16日・山梨JITリサイクルインクスタジアム)
埼玉、群馬、栃木、茨城の4県が参加して開幕。男女10種目の決勝などを行い、県勢は1種目で優勝した。
女子走り高跳びの高橋美月(埼玉栄)が1㍍73を記録し、大会2連覇を達成した。同400㍍はイレチュクアマカミラ(大宮東)が56秒47をマークし、男子ハンマー投げは榊原晶(進修館)が56㍍58でそれぞれ2位に入賞した。
各種目の上位6人(女子棒高跳び、三段跳び、ハンマー投げは4人、男女競歩は5人、男女混成種目は3位までと4~6位の全国記録上位5人)までが、全国高校総体(8月2~6日・北海道)に出場する。
経験積み高まる自信
女子走り高跳び決勝 1㍍73を記録し、大会2連覇を達成した埼玉栄・高橋美月
富士山を間近に望める山梨で埼玉の女王が美しく高く跳んだ。県高校総体優勝の埼玉栄・高橋が女子走り高跳びで大会2連覇を達成。記録は昨年と同じ1㍍73だが、2本目でクリアした前回とは違い今回は1本目で成功し、「1本で跳べたことは褒めてあげたい」とほほ笑んだ。
決して万全の状態ではなかった。5月下旬に踏み切り足の右足首を負傷。練習が積めずに臨んだ今大会は、4㍍以上の風速でバーを調整してもすぐに落ちる状況。それでも高橋は冷静だった。「けがの中、日本選手権でお姉さんたちと戦って8位に入ったことで自信が付いた」。今月1日に出場した同選手権の経験が原動力になった。「昨年と違って緊張もなく、バーが倒れても気をとられないほど集中していた」と今大会は1㍍58までパスし、1㍍61から1㍍73まで全て1本目で跳んだ。
優勝確定後、自己ベストの1㍍76に挑戦したが、「力が踏ん張りすぎた」と失敗。「1㍍76を1本でクリアして、1㍍76以上をたたき出したい」と修正を図ってインターハイに挑戦する。
悔しさ力に飛躍狙う
女子400㍍は大宮東のイレチュクが56秒47で2位に入ったが悔しさをにじませた。「55秒台で走るのが目標だった。風で姿勢が悪くなる癖が出てしまった」と強風の影響で本領発揮はできなかった。
「イメージしたのは県大会の走り」と好スタートから前方集団に付いていく走りを見せた。だが「隣と競っていて、焦って力んでしまった」と得意の後半200㍍までに体力が残らず、失速した。個人競技では初となる全国大会出場に「まずは準決勝進出を目指したい。楽しみ」と目を輝かせた。
持ち味発揮 全国へ
男子ハンマー投げは、進修館の榊原が56㍍58で2位に入り、インターハイ出場権を獲得した。「一投一投が最後だと思って投げている」と常に全力の姿勢を発揮した。
5投目で56㍍58を出した要因に、55㍍94を記録した2投目を挙げた。「1投目から自分らしさを出して2投目で55㍍台を記録したことで、気持ちを楽に投げることができた」。序盤に好記録を出したことで全国出場を手繰り寄せた。「60㍍を越えて最低入賞、最高優勝」と全国でも表彰台を狙う。
実感が湧かない
男子棒高跳び3位・海野快吏(松山)の話
3位という結果には実感が湧かない。4㍍30を跳んで自己ベストが更新できたのがうれしかった。インターハイでは4㍍50か60を跳ばないと予選を通過できないのでそこを目標に練習していく。
初の全国楽しみ
男子400㍍3位・辻大地(浦和南)の話
今日はレース前から絶好調で、スタートを決められていいレースができた。中学から陸上をやっているが初の全国なので楽しみ。後半が少し甘くなるので、練習から意識して全国に向かいたい。
IHでは全力を
女子5000㍍競歩で3位・松本愛澄(本庄東)の話
インターハイ出場を目標にしていたからよかった。県予選より早いタイムを出せたけど、23分台前半より遅かった。インターハイではとりあえず決勝に残るため、全力を出し切りたい。
男子八種競技 緒方(伊奈学園)大会新V
女子400㍍リレー 伊奈学園が制す
(第2日、17日・山梨県JITリサイクルインクスタジアム)
男女計11種目の決勝などを行い、県勢は4種目で頂点に立った。
男子八種競技は緒方陽平(伊奈学園)が5605点の大会新と県高校新記録を樹立して初優勝。同5000㍍は松井海斗(埼玉栄)が14分34秒51で初制覇した。同砲丸投げは橋本空楽(埼玉栄)が13㍍92で初の栄冠に輝いた。女子400㍍リレーは伊奈学園(田中、三島、西村、ワジェロ)が46秒61で優勝した。
各種目の上位6人(女子棒高跳び、三段跳び、ハンマー投げは4人、男女競歩は5人、男女混成種目は3位までと4~6位の全国記録上位5人)までが全国高校総体(8月2~6日・北海道)に出場する。
県高校記録も更新
男子八種競技 5605点で大会新と県高校新を樹立した伊奈学園の緒方陽平
男子八種競技は伊奈学園の緒方が5605点の大会新で初優勝した。さらに、県高校記録を8点上回り、山梨で二つの記録を塗り替えた。「率直にうれしい」と白い歯が見えるほど笑顔が輝いた。
2日間で行われる8種目中、100、400、1500、110㍍障害の4種目で自己ベストを更新した。記録だけを見れば絶好調だったと思われるが、大会1週間前の練習中に右足の甲を負傷。「大会までに(足を)動かすか動かさないか悩んだ」と考えた末、休養を取って大会前日のみ練習を実施した。そして臨んだ今大会は、「痛かったけどアドレナリンで乗り切った」と初日の4種目中、3種目で1位に。「北関東で大会新と県高校記録を狙っていたからやる気しかなかった」と2日目最初の110㍍障害で出場者唯一の14秒台を記録するなど、高得点を連発した。
県高校総体の大会新を皮切りに、北関東、県高校と立て続けに記録を塗り替え、「インターハイの大会新がいくつか分からないけど、優勝はしたい」と北海道でも楽しみな存在となった。
笑顔でレースへ 先頭譲らず圧勝
女子400㍍リレー決勝 46秒61で優勝した伊奈学園の3走西村(619)から4走ワジェロ(616)にバトンが渡る
女子400㍍リレーは伊奈学園がスタートから終始先頭を譲ることなく46秒61のチームベストで優勝した。主将の3走西村は「笑顔でレースに臨んだ。気持ちではどこにも負けない」とチームの強みに胸を張った。
1走の1年生田中が「苦手なスタートを決めていい走りができた」と納得の出だしからトップでバトンをつないだ。2走三島は「後の2人が速いので1番でバトンを渡すだけ」と粘り強い走りを見せた。チーム唯一の3年生西村は「全力で走って1番で渡した。あとは祈るだけ」と後輩を信じ、アンカーのワジェロへ。「先輩からバトンを受け取り、走りに思いをぶつけた」と後続に影も踏ませずゴールを駆け抜けた。
全国大会に向けて西村は「チームベストを更新することが目標。全国でも絶対に1番を取る」と意気込んだ。
伸び悩むも初Vの収穫
男子砲丸投げ・橋本
男子砲丸投げは、埼玉栄の橋本が13㍍92で初優勝に輝いた。2投目で13㍍89を記録し首位に立つと、3投目も13㍍台。そして4投目に「体が軽くていつも通りのパフォーマンスだった」と13㍍92を打ち出した。
昨年の3位から頂点に立ったものの、前回記録した14㍍28の自己ベストを越えることができず、「伸び悩んでいる」と悔しさをにじませた。今大会の5投目では自己新を狙える投てきを見せたが、ファウルの判定。「感覚的には自己ベストいけるかなと思った。いかにいい感覚の時にファウルにならないか」と失敗を貴重な収穫とする。
後半調子上げ逆転で王者に
男子5000・松井
男子5000㍍は、埼玉栄の松井海斗が14分34秒51で初優勝。後半にかけ調子を上げるレース展開を見せた。序盤は最終集団から全体の様子をうかがったが、「スローペースで楽だったけど、少しずつ焦ってきた」とレース中盤の3000㍍過ぎに眠れる獅子が目覚めた。
「残り2㌔を切って(トラックの)周回が減って体が動けるようになって、ゆとりがあったからポジティブに考えた」と一気に先頭に立った。その後、2位に後退したが、残り400㍍で、「自分はラストに強い」と再び首位に戻って逃げ切った。「誰が来ても気持ちを持って臨みたい」と北関東王者として北海道に乗り込む。
自己新で決勝狙う
男子100㍍2位・松本瑠偉(所沢北)の話
得意のスタートがうまくいって先頭を走っていたが、優勝した小室くんが目に入って力んでしまった。今回が初めての関東で全国に行くことができた。自己ベストを出して決勝を目指したい。
さらにいい記録を
女子円盤投げ2位・川上風花(西武台)の話
1投目が27㍍と全然飛ばなかったが、気持ちを切り替えて投げられたことが自己ベストにつながった。今回2位だったことをうれしがらず練習し、全国ではさらにいい記録が出せるようにしたい。
女子ハンマー投げ 奥村(坂戸西)が初制覇
女子200㍍ イレチュク(大宮東)初V
(第3日、18日・山梨県JITリサイクルインクスタジアム)
男女計9種目の決勝などを行い、県勢は2種目で優勝を飾った。
女子ハンマー投げは奥村友海(坂戸西)が47㍍25で初の栄冠に輝いた。古田陽梨(坂戸西)は43㍍70で2位。同200㍍はイレチュクアマカミラ(大宮東)が25秒10で初の頂点に立ち、三島菜楠(国際学院)が25秒24で2位に続いた。同800㍍の堀越なつこ(川越女)は2分12秒97で2位だった。
各種目の上位6人(女子棒高跳び、三段跳び、ハンマー投げは4人、男女競歩は5人、男女混成種目は3位までと4~6位の全国記録上位5人)までが全国高校総体(8月2~6日・北海道)に出場する。
フォーム変更奏功
女子ハンマー投げ決勝 47㍍25で初優勝した坂戸西の奥村友海
2投目に47㍍25の投てきを見せ、初優勝した奥村だが「力んでしまって本来の投げができなかった。悔しい」と表情は浮かばなかった。途中から不安を抱えての投てきとなったが、「心強かった」と、ともに決勝に進んだ同校の2人の選手に感謝した。
「先週からフォームを変えた」と今大会ではハンマーを大きく回して左足の重心を意識。1投目は46㍍09。2投目でさらに記録を伸ばし、「今日はいい流れだと思った」。だが3投目以降は調子が上がらず「感覚が分からなくなった」と投げ方に苦慮した。
坂戸西の3人は全員入賞。2位の古田は「3人でいるから練習が楽しい。お互いを高め合える関係が築けている」と言う。奥村は「全国までにフォームを完成させて50㍍は確実に投げる。入賞を目指したい」と全国大会を見据えた。
自分を信じて快走
女子200㍍決勝 25秒10で初の栄冠に輝いた大宮東のイレチュクアマカミラ(中央)
得意の後半勝負を制した大宮東のイレチュクアマカミラが25秒10で女子200㍍初優勝。2年生で栄冠を手にしたが「24秒台を目指していたので悔しい」と記録に満足していなかった。
前半の100㍍は、前を行く三島(国際学院)と須賀(前橋育英)についていくイメージ通りの走りを実践。後半勝負に懸け、残り30㍍で前の2人を抜いてゴールを切った。16日の女子400㍍決勝後、「後半の走りにもっと自信を持て」と川崎監督にかけられた言葉を胸に、この日の決勝に臨んでいた。
全国大会に向けてイレチュクは「自分の走りを最後まで信じて自己ベストを出す。少しでも上の順位を目指したい」と意気込んだ。
記録出て良かった
女子走り幅跳び2位・池上瑠依(埼玉栄)の話
けがしている中でインターハイに行ける記録が出て良かった。走りの調子が上がってファウルが増えたので緊張した。優勝者には中3の全国大会からずっと負けているので全国でリベンジしたい。
走りに自信ついた
女子800㍍2位・堀越なつこ(川越女)の話
まさか2位になると思っていなくて本当にうれしい。先週の記録会で自己ベストを出して走りに自信がついた。全国大会は初めてなので、一本一本を大切にして決勝まで行きたい。
=埼玉新聞2023年6月17日付け7面、18日付け11面、19日付け7面掲載=
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