NPO法人NPUサイエンスアカデミア主催の第8回「秩父サイエンスアカデミー」(日本薬科大学、NPO秩父百年の森共催)の研究発表会が21日、秩父市熊木町の秩父看護専門学校を会場に行われた。秩父地域の森や自然をテーマに研究を重ねた、秩父地域の中高生や社会人、研究者ら計6組が多くの参加者の前で成果を発表し、森林保全の魅力と重要性を共有した。
6組が研究成果を発表した秩父サイエンスアカデミー=21日午後、秩父市熊木町の秩父看護専門学校
実家で原木シイタケの栽培を行っている、長瀞町立長瀞中学校1年の中畝蒼さん(13)は、「原木への刺激でシイタケの収穫数の変化はあるのか」と題した研究成果を発表した。中畝さんは幼少期に祖父や父から教わった、「雷がシイタケの原木に落ちると、シイタケが良くとれる」という話をヒントに、原木をハンマーでたたいて刺激を与え、シイタケの収穫量を増やす実験に取り組んだ。
2021年4月、中畝さんは原木6本にシイタケの種駒を植菌。22年11月~23年4月までの期間、3本にはゴムハンマーで1週間に一度、10回ずつたたいて振動を与え続けた。同期間中の日平均気温などを小まめにチェックしながら収穫調査を行った結果、ハンマーで振動を与えた原木のシイタケ収穫量は、振動を加えなかった原木よりも5個多い16個。「原木の木口に振動処理をすることによって、発育適温を下回っていても、シイタケの発育を促進させる効果がある」という成果を得た。
発表後、中畝さんは「生産者の減少などで、原木シイタケの生産量は減少が続いている。今後も振動数を変えてみたり、いろいろな音楽を聴かせてみたりと、さまざまな栽培法に挑戦し、生産量増加に少しでも貢献できたら」と笑顔で話した。
このほか、参加した高校生からは、県立秩父高校2年の中林新さん、森田智久さん、行本迅さんが「より良いグランピングにするためには」、県立秩父農工科学高校3年の新井希菜さん、高橋燦太さん、野口ほのかさん、原島君佳さんが「第3のみつの研究と新たな取り組みについて」を発表した。
行政や企業からは、県秩父農林振興センター谷口美洋子さんが「秩父地域のシカに関する現状と取り組み」、戸田乳業(小鹿野町)の加藤木隆さんが「資源を活かすものづくり」、県立川の博物館藤田宏之さんが「秩父地方のトウキョウサンショウウオとその現状」についての調査などを説明した。
=埼玉新聞2024年12月27日付け7面掲載=
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