「コロナ禍が落ち着いて、外国人たちが町を訪問できるようになったら、英語で秩父音頭を教えましょう」。カザフスタン出身で皆野町地域おこし協力隊のベイセンバイ・ゼレさん(24)が、県立皆野高校の生徒たちに思いを伝えた。皆野町と同校は2019年から共同的な教育活動や異文化・多文化交流を進めている。7月上旬に同校で行われた特別授業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響で2年連続中止となった「秩父音頭まつり」の伝統維持について話し合った。
秩父音頭の踊りと英語のリズム感を確認する、皆野高校の生徒と町地域おこし協力隊のベイセンバイ・ゼレさん=皆野町大渕の県立皆野高校
14日に皆野高と町 オンラインで秩父音頭
民謡「秩父音頭」の発祥の地の皆野町は、毎年8月14日に秩父音頭まつりを開催している。流し踊りコンクールには、県内各地から1600人以上が出場し、町役場前の広場は出場者と観客で埋め尽くされる。同校の生徒も同コンクールに参加しているが、今年も祭りが中止になり、踊りの場を失ってしまった。
特別授業で講師を務めたゼレさんは、今年1月から皆野町に移住し、地域おこし協力隊員として、同校の魅力化や町の活性化に向けた活動を進めている。早稲田大学人間科学部留学時に、県のふるさと支援隊として同町三沢地区の活性化に貢献。18年の秩父音頭まつりにも参加した。
「コロナが落ち着いたら、皆野高校にも多くの外国人学生が訪れるようになります。来年以降、みんなと一緒に秩父音頭を踊るために、まずは私たちが英語で踊り方を覚えましょう」。ゼレさんは、参加生徒9人と輪になり、秩父音頭の手振り身振り一つ一つを英語で解説しながら、流麗な舞を披露して見せた。
生徒たちは、ゼレさんの動きに合わせながら、英語と踊りのリズム感をつかんでいた。参加した同校3年の高野和磨さん(17)は「楽しみながら学習できた。祭りの中止は残念だが、1年の時から国際交流に興味があるので、これからも外国の文化と皆野町の共存に貢献していきたい」と話していた。
町の伝統を絶やさぬよう、ゼレさんら町地域おこし協力隊と同校生徒たちは14日に、秩父音頭まつりをオンラインで開催する予定。当日は早稲田大学や、カザフスタン、タイの学生たちも参加し、英語で自己紹介をしてから、みんなで秩父音頭を踊るという。
=埼玉新聞2021年8月4日付け11面掲載=
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