さいたま市中央区の県立いずみ高校環境建設科の生徒4人が、国家検定「3級型枠施工技能検定」に合格した。2017年に同検定3級は新設され、県職業能力開発協会によれば県内高校生の合格は初めて。筆記と実技の試験を突破した4人は「努力が実り自信になった。これからの人生で生かしたい」と笑顔を見せた。
◆建設業界背負う人材に
合格者は3年生の沼波大夢さん(17)、高橋竜貴さん(17)、三本木駿弥さん(17)、吉沢啓太さん(17)。型枠施工はコンクリート建物を建築する際、コンクリートを流し入れて固めるまでに使用する枠組みを製作すること。1974年から実務経験者対象の1、2級試験が始まり、約4万9千人の合格者が技能士として全国の建設現場で活躍している。
高校生も受験できる3級試験では、学科で施工方法や建築土木構造、製図などの幅広い知識が問われる。合わせて実技も行われ、型枠を制限時間内で図面通りに正しく組み立てる力も試される。
4人は同科の鳥羽英司教諭(46)や木村奏太実習教員(30)の勧めもあり受験を決意。平日は部活動やアルバイトの合間を縫って放課後に、土日は技能指導を行う「ものづくりマイスター」の実技研修を受けて腕を磨いた。
実技はのこぎりの使い方など初歩から学び、吉沢さんは「初めての挑戦で図面を覚えたり材料を切るのが難しかった」、高橋さんは「精度や製作スピードがどうしたら向上するかを工夫しながら取り組んだ」と話す。
同科では新設される土木や建築関係の資格へ積極的に挑戦し、18年にも県内高校生として初めて「3級鉄筋施工技能検定」の合格者を輩出した。将来、建設や土木業界を目指す生徒を後押ししている。
自分の家を建てる夢を持つ沼波さんは「先生方に感謝。今のうちに取れる資格全てに挑戦したい」と目標を話し、三本木さんは「次はとび職3級、鉄筋施工3級を目指し、残り1年の高校生活を頑張りたい」と意欲を新たにした。
4人の合格を聞いた時、木村実習教員は「真面目にこつこつと続けた努力が報われ、安心した。本当に良かった」と振り返る。鳥羽教諭は「努力できる生徒なので、次の目標へ向かってきっと頑張れるはず。将来は建設業界を背負って立つ人材になってほしい」と教え子たちの飛躍を期待した。
=2021年4月2日付 10面 埼玉新聞掲載=
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