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大学入試改革を意識した各高校の取り組みは?

 新たな学力身に付けた生徒→東京大学教養学部の学校推薦型選抜合格(開智未来中学・高等学校)

 ◆読解力の定義の変化

 国際化、情報化の急速な進展の中で、これからの社会を自立的に活動していくことができる力を育むための教育環境を整備しようと始動した「大学入試改革」 。2021年1月下旬には、約30年間実施されてきたセンター試験に変わり、「大学入学共通テスト」が実施された。
 当初予定していた記述式問題の導入や、英語民間試験の成績を入試に利用する仕組みは見送りとなったが、 「 (センター試験と比べて)出題傾向の変化は各教科で確かに見られた」と開智未来中学・高等学校(加須市)の加藤友信校長は語る。
 身に付けた知識を活かしつつ、問題文や図などを瞬時に読み取り「自分で分析する力」を求められる問題が随所でみられた共通テスト。加藤校長はその力を「読解力」と表現する。
 「つい最近まで『読解力』と言えば、文章を読み解くことのできる力を意味する言葉でした。しかし、パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器が普及し、容易に多くの情報に触れることができるようになったこの時代では、読み解く力はもちろんのこと分析する力も求められる」と強調。その上で同試験を「世界的に『読解力』の定義が変わっている中で、(新たな)読解力を測った傾向になっている」と分析した。

 ◆必要な学力の3要素を伸ばすために
 文部科学省は、 「大学入試改革」の方向性に必要な学力の3要素として①「知識・技能の確実な習得」 、 ② 「①を基とした思考力、判断力、表現力」 、 ③ 「主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度」を挙げている。
 開智未来高校からは、今年2月中旬に、東京大学教養学部の学校推薦型選抜で1人の合格者を出した。同学部の合格者は全国で5人。論文などの書類選考・大学入学共通テスト・面接を経て、狭き門を突破した。
 同校では「才能発見プログラム」という、自ら興味を持ったテーマを深く探究していくカリキュラムを設けている。東大に合格した生徒は、その時間を使いながら自発的に研究を重ね、課題を見つけるとオンラインで海外へ取材活動を行うなどして探究を継続。そのテーマを元に書類選考や面接で、自身の学びの成果を表現した。加藤校長は、 「主体的な学びを突き動かすのは、『探求力』。これからはこの力も必要になってくる」と力を込める。
 始まったばかりの大学入試改革。学力の3要素を伸ばす各校の取り組みに注目し、学校選びのひとつの基準として加えることも、これからの志望高校選びでは、重要になってくる。

開智未来中学・高等学校では、「才能発見プログラム」で学んだ内容をプレゼンテーション形式で全校生徒や保護者などに向けて発表する「未来TED」を毎年実施している。

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