市民とOBに支えられ コロナ禍乗り越え8回目
川口市の朝日東公民館で、夏休みに隣接する朝日東小学校の子どもたちを招き、無償で食事を提供し宿題を手伝う「夏休み子どもサロン」が今年も開かれた。地元町会の人々の支えでコロナ禍も休まず、今年で8回目。「サロンOBの中高校生がたくさん戻って手伝ってくれたことがうれしい」と、同サロンを支える町会の人たちは言う。
教室のあちこちに子らと向き合うサロンOBの中高生がいた=川口市の朝日東公民館
〇8日間開催
同サロンは夏休みに入った7月23日から8月22日まで、途中のお盆休みを除いて火曜日(低学年)と木曜日(高学年)にそれぞれ4日間、計8日間開催。同校の低学年61人、高学年54人の計115人が事前登録して参加した。
子どもらを迎えるスタッフは地元町会中心のボランティア約60人。料理は約20人、学習は約40人が担当する。元職や現職教師は6人で、ほとんどが一般社会人。ほかに、学習部門で中高校生ら44人が参加した。このうちサロンのUターンOBは21人だ。
〇優しい視線
サロン最終日となった8月22日の参加者は高学年の子どもら約50人。後輩の小学生たちへ、OBたちの視線は優しかった。
東京成徳大学高校3年生の山下夏美さん(18)はサロンができた時から参加。十二月田中学生になってからはOBボランティアとしてずっと活動している。「初めて見た時、走り回っていた子どもたちが、教える立場になっている。すごいなって思う」と実感。「将来は保育士になりたい。子どもと触れ合えるのは貴重な体験。子どもたちの成長が楽しみ。来年は大学生として参加したい」と話す。
〇来年もまた
十二月田中学校3年生の黒木咲さん(14)は「小学生でサロンに参加した時、優しく勉強を教えてくれた。自分も優しく教えたい。将来の夢は小学校の先生」と意気込む。浦和学院高校1年生の矢野那奈さん(16)や、ヒューマンキャンパスのぞみ高校2年生の石田伸明さん(16)は「子どもたちも楽しんでいることが実感できた。自分も勉強になる」と言う。
「(小学生に宿題を)教えたかったのに『自分でやるから大丈夫』って言われて落ち込んだ」と言う声も。しかし、OBたちは「来年も来たい」と笑顔だった。
サロンで「総長」と呼ばれ、主催者で朝日東地区社協会長の平柳清さん(71)は「どの子も穏やかに、楽しそうだった。これも皆さんのおかげ、ありがとう。来年も来てほしい」と、中高生らのボランティアに感謝のエールを贈った。
◇ ◇
【メモ】サロンは「総長」の平柳清さんのほか、「学長」が元朝日東小校長の片貝勝さん(72)、「料理長」が朝日6丁目南町会長の吉川光男さん(72)、朝日東地区7町会の連合町会長の上倉徹さん(64)も幹部だ。「分からないことはこの人に聞け」と頼りにされているのが、開校時以来の裏方で中学校相談員を務める海宝一恵さん(59)。長老たちの一番の先輩格で「相談役」の星隆夫さん(83)は「ケーキなど店の品物を出してくれるパン屋や肉屋、青果店、米やお金を寄付してくれる人たちもサロンを支えている」と地域の協力に感謝している。
=埼玉新聞2024年9月1日付け10面掲載=
サイト内の
東京成徳大深谷高校の基本情報→こちら
浦和学院高校の基本情報は→こちら
カテゴリー
よく読まれている記事