埼玉新聞社 高校受験ナビ

教育関係者対象説明会参加レポート⑫県立杉戸高校

2025年7月4日配信

光る原石を見つけ、育てる学校

 

一人ひとりの能力を確実に伸ばす

説明会の冒頭では、中村修二校長先生より「杉戸高校には、真面目で素直な生徒が多く、しっかりと伸びる素地を持っています」との言葉がありました。学校説明会などを通じて雰囲気をよく知ってもらいたい、そのようにお話をされていました。

そのあと、担当の先生から学校概要の説明がありました。概要説明の冒頭では、「普通の生徒が普通の青春を」というキャッチフレーズの紹介がありました。目立たなくとも、地道に努力できる生徒たちが大きく成長する可能性を秘めているという考えから、「光る原石を見つけて育てる」という教育方針を掲げているとのことでした。

進学実績にもそうした取り組みの成果が表れています。一般入試で慶應義塾大学に合格した生徒や、お茶の水女子大学、上智大学、群馬大学に進学した生徒は、いずれも“トップ層”ではなく、日々の努力を重ねて夢を叶えた生徒たちです。数学検定準一級に合格した生徒の話も紹介され、学びに前向きに取り組む姿勢が伝わってきました。

 

生徒主体の制服改革・多彩な取り組み

令和7年度からは、新しい制服が導入されました。この制服は、生徒たち自身が4年をかけてデザインから関わり、卒業生の思いも受け継がれて完成しました。

杉戸高校が育てたい力としては、主体性・協調性・発信力・共感力・継続力の5つが掲げられています。特に、協調性と継続力は課題として重視されています。協調性を育むためには、新聞社の論説委員による講座などが行われており、多様な人との関わりを持つことの大切さが伝えられています。また「子どもの数が減っている今だからこそ、粘り強さが武器になる」という考えのもと、粘り強さを武器にできる生徒の育成に力を入れているとのことでした。

杉戸高校では、1時間の授業を55分にした上で「カセットシステム」を導入。これにより、土曜授業なしでも週33時間の授業を確保しています。少人数制授業やコーチングの取り入れ、朝講習なども行われており、「問いかけ・投げかけを重視する授業」が展開されています。

 

地域連携と社会性を育む実績

高校入学直後には、学びへの意識を高める「スタートアップ・プログラム」が実施されます。英語だけで過ごす「英語しか使えない杉戸高校」や、大手企業幹部によるリーダーシップ講演など、実践的な活動が多数用意されており、生徒の主体性と協働力を育んでいます。特に「宇宙船の月面着陸」をテーマとしたコンセンサスゲームは、意見の違いを認め合う力を養う場として効果を上げています。このスタートアップ・プログラムの満足度は99%を記録するなど、新入生にも好評です。

そのほかにも、EUによる学校訪問プログラムに選ばれ、ルクセンブルク大使館員の来校や、税に関する作文コンクールでの表彰、劇団四季の鑑賞会、科学の甲子園出場など、多彩な実績があります。特に科学の甲子園では、実技部門で県内4位という好成績を収めました。

また、東武動物公園で実施された「スタンプラリーで学ぶ動物たちの世界」では、生徒がボランティアとして参加し、来場者1万人以上を迎える盛況となりました。リーダー格ではなかった生徒が、しっかりと説明役を果たし、成長の姿を見せたエピソードも紹介されました。

創立50周年を記念して、新たなマスコットキャラクター「すぎにゃん」も制定されました。地域への貢献として、各種説明会での情報提供や進学支援活動も精力的に行われています。

 

今回の説明会を通じて印象に残ったのは、「目立たなくても、真面目に取り組む生徒が輝ける場所」であるという杉戸高校の姿勢です。派手さではなく、地に足のついた教育によって生徒たちが成長していく姿に、強い教育力を感じました。50周年という節目を迎える杉戸高校の今後に、ますます期待が高まりました。(文・根岸孝之)

 

※このシリーズでは、教育関係者対象に開催された学校説明会についてレポートします(埼玉新聞社高校受験ナビ編集部)

 

=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=

 

 

サイト内の杉戸高校の基本情報は→こちら

 

学校の特徴~学校からのメッセージ2025~

【躍動・敬愛・誠心】の校訓のもと、新しい取り組みを続ける。授業は55分カセット方式で、土曜授業なしで週33単位を確保。教育課程は大学受験対応。入学直後に2日間行う「スタートアッププログラム」で、高校の深い学びへの意識改革を実施。特に2日目の「英語しか使えない杉戸高校」は、世界各国より外国人講師40名以上を集め、異文化理解とコミュニケーション能力の向上で人気。SDGs探求も奥が深く、楽しい。令和7年度入学生からは、生徒会役員が長年かけてデザインした新制服となりました。

 

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