2025年7月25日配信
主体性を育てる開智高等部の挑戦
指示命令型から見守り型教育へ
■「私立らしさ」を問い直す
7月2日、開智高校で塾対象説明会が行われました。
青木理事長の挨拶に続き、加藤克巳校長より学校の現状と今後の教育方針について詳しい説明がありました。加藤校長は「入学してくる生徒のタイプが毎年異なるからこそ、その変化に向き合い、柔軟に対応できる良い教育を生み出していきたい」と語りました。
一方で、20年前に設置された「S類」については、設立当初の理念が薄れてきているとも語りました。そこで「私立高校として果たすべき使命とは何か」を改めて見つめ直し、今後はアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)をパンフレットにも明記し、「どんな生徒を求めているのか」という点をより明確化していくと説明されました。「学ぶことの意味を自ら考え、主体的に進路を選び取ろうとする生徒と出会いたい」と語る加藤校長の言葉には、強い教育的信念がにじんでいました。
■教師は前に出ず、後ろから支える
説明の中で加藤校長は、開智高校が大切にしている「教員が生徒の前を歩かない」教育スタイルについても詳しく触れました。「指示命令型の教育は効率がよく、一定の成果は出せるが、その方法では教員の“型”に生徒がはめられてしまい、それ以上の伸びが期待できなくなる」と語り、進学実績を一時的に伸ばすことよりも、生徒が自ら思考し、成長する力を育む教育こそが重要だと強調しました。
開智高校では、教員が後ろから生徒を見守り、必要なときにそっと声をかけるスタイルを基本としています。進路指導においても、たとえば「東大に行きたい」と希望する生徒には全力でサポートを行いますが、無理に方向性を押し付けることはしません。むしろ生徒自身がどれだけ本気で取り組む意志を持っているか、その覚悟を見極めることを大切にしています。
また、加藤校長は「人からの指示を待つのではなく、自ら判断し、動ける人間になってほしい」とも話されました。受け身の姿勢に慣れてしまうと、教師の指導がなければ動けない生徒になってしまうため、「生徒が自分自身で選び、失敗も含めて学びとできる環境を用意することが、教員の役割である」との考えを示されました。
■覚悟ある入学で33か月を本物に
最後に加藤校長は、開智高校の3年間――すなわち「33か月」を真に実りあるものにするためには、「本校のアドミッション・ポリシーに共感し、それを実践できる生徒」であることが重要だと述べました。「高校は、生徒の人生を変える最後の学びの場。だからこそ、生徒自身が“何のために学ぶのか”を自分の言葉で語れるようになっていてほしい。」と語りました。
開智高校は「教え込む」教育ではなく、「自ら気付かせる」教育を大切にしています。先生が生徒の背中を押すのではなく、背後から見守る。そして、生徒自身が考え、動き、悩み、前に進む――その過程こそが、開智高校の教育の核心です。
「強制ではなく、支援と信頼によって主体性を引き出す」。この教育方針は、今後ますます変化していく社会の中で、確かな力を持って生きていくための重要な土台となるに違いありません。(文・根岸孝之)
※このシリーズでは、教育関係者対象に開催された学校説明会についてレポートします(埼玉新聞社高校受験ナビ編集部)
=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=
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学校の特徴~学校からのメッセージ2025~
主体的な活動フィールドが広い学校です。開智の主体性とは、自分で考え、決定し、発信する「当事者意識」と集団の中での多様性を認め合い、尊重し合う「他者意識」とのバランスの取れた状態のことを指します。授業や行事にとどまらず、学校生活の多くの面でこの「主体性」を発揮して臨むことができる高校、それが開智です。
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