日高市栗坪、高麗川の獅子岩橋の河原で6日、伝統の地引き網アユ漁が行われた。荒川の自然保護に取り組むNPO荒川流域ネットワーク(鈴木勝行理事長)が主催。県内各地から親子約40人が参加した。子どもたちは生きのいい魚たちに驚き、目を丸くしながら「川の水が冷たい」と悲鳴を上げた。
岸辺の緑と澄んだ水は宝物だ。子どもたちが地引き網を引いた=6日、日高市栗坪の高麗川(金沢光さん撮影)
川越市から母や祖母と一緒の同市立鴨田小学校6年南島創和さん(11)は「水が冷たい。アユをつかんだ。ぬるぬるしてた。川の魚ってみんなこんなだね」。アユは昔からスイカの香りがするといわれているが、創和さんは「メロンの匂いだ」。弟の同小3年和歩さん(8)は「川の端っこは流れが急で、真ん中からこっちは緩やかだ。なぜなんだろう、分からない」と話した。
同ネットの夏の地引き網漁は都幾川(嵐山町)、越辺川(鳩山町)、高麗川(日高市)でやっている。今年は洪水被害による河川工事で都幾川は中止。ほかも台風の影響で中止した。「今年はこの高麗川だけの1回だけです」と同ネットの鈴木勝行代表(75)は残念そう。
幅約30㍍、高さ約2㍍の地引き網を子どもたちが浅瀬を約50㍍ほど上流へ向かって引いた。収穫はアユ9尾のほか、オイカワ、カワムツ、ウグイ、カジカ、シマドジョウ、カワリヌマエビ、ギバチ、ジュズカケハゼなど9種類。
地引き網の指導や魚の解説は埼玉県魚類研究会代表の金沢光さん(71)。熊谷のムサシトミヨや滑川町のミヤコタナゴの保護再生に取り組んでいるが「高麗川は魚が豊富。残念ながら坂戸市内などに2カ所、高さが2㍍を超える堰(せき)があり、天然のアユが遡上(そじょう)できない」。魚道を造るなどの改善が今後の課題だ。
「獅子岩橋の上から見ると50ぐらいの大型アユの大群が元気よく泳ぐのが見えた」と、新座市から駆け付けた埼玉南部漁業協同組合の佐藤正康さん(38)。「産卵準備のため上流から産卵のために落ちてきたアユたち。ここでも産卵が始まった」と、城西大学の元教授、松本明世さん(71)。
今回は、県立川越女子高校の生物部の生徒たち5人がボランティアで参加した。高麗川で外来種のカワリヌマエビの進出調査に取り組んでいて、金沢さんから「調査はとにかく川を歩かないと駄目」と声をかけられていた。部長の2年生加瀬輪さん(17)は「高麗川は貴重な自然。大切にしたい」と話した。
=埼玉新聞2024年10月12日付11面掲載=
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