情熱変わらず45年
監督生活最後の日に28年ぶりの試合前ノックを打った本多利治監督(右)=3月31日午前、同校野球部専用グラウンド
春日部共栄高野球部の本多利治監督(67)が、3月31日をもって勇退した。1980年の同校創立とともに22歳で監督に就任。「高校野球への情熱は45年間変わらなかった。悔いはなし。やり切りました」。監督生活最後の日、生涯をささげたグラウンドを見つめながら、力強くうなずいた。
選手時代、高知高で甲子園に3度出場。75年の選抜大会に主将として二塁手で出場し、全国優勝を果たした。監督としては春日部共栄高を春夏計8度の甲子園に導き、93年夏に準優勝。土肥義弘さん(元埼玉西武など)ら14人をプロへ送り出した。
同日は、北海道の苫小牧中央高と練習試合を実施。試合前、28年ぶりのノックを務めようと本多監督が打席に立つと、急に曇り空から太陽が顔を出した。時折笑顔を見せながら、ラストステージを終えグラウンドに一礼。後を継ぐ植竹幸一新監督(現部長)と固い握手を交わし、バトンを託した。
「育てるのが好きだった。宝(教え子)が1600人もできた」(本多監督)と歴史の重みを実感。最終日の練習場には、平日にもかかわらずOBら約70人が訪れた。2期生でOB会長の鈴木貴巳さん(59)は「一から一緒にやってきた。時代が変わるような感じがして感慨深い」と恩師の姿を目に焼き付けた。
13期生の本柳和也さん(48)=プロ野球元オリックス=は「やんちゃをしていた僕に人間味あふれる接し方をしてくれた一番の大恩師。礎をつくってくれた」。15期生の小林宏之さん(46)=元ロッテ=は「野球人生でいろいろなことを厳しく指導してくれたのは本多監督だけ。愛情を持って叱ってくれた」と感謝した。
30年以上、同部の寮母を務めるなど監督を支え続けた妻・みゆきさん(63)は「若い頃は試合に負けると選手より悔しがって家でかばんを投げつけていた」と懐古しながら、「ああ、もう終わっちゃうんだな」と寂しそうな笑みを浮かべた。
勇退後は公立高校の指導者たちに指導法を伝え、小・中学生の育成を図るなど今までできなかった取り組みに挑戦するという。今まであまりつくれなかった家族との時間も待っている。「まだまだこれから。初めての経験にわくわくしていますよ」。闘将の45年間が幕を閉じ、新たな人生の歩みを進める。
=埼玉新聞2025年4月1日付け6面掲載=
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