同窓500人が交流
今後も多彩な行事
来年度に県立秩父高校と統合される山あいの県立皆野高校(皆野町大渕)のラストイヤーが始まった。既に生徒募集は停止されており、在校生は3年生26人だけ。これから卒業までの学校行事は、卒業生や地域の人たちにも参加してもらい、盛り上げる。第1弾としての学校行事を卒業生らと共に盛大に祝うイベント「おかえりなさい! 皆高生8250名」が27日、同校で開催された。在校生と、1969年卒業の1期生から57期生までの卒業生、歴代教員ら約500人が学びやに集結し、世代を超えた数々の思い出を共有した。
母校の校歌を斉唱する卒業生ら=27日午前、皆野町の県立皆野高校
66年に開校した同校は来年3月、創立60年の歴史に幕を閉じる。本年度の学校生活は3年生26人のみで送ることになる。今回のイベントは実行委員会を立ち上げ、母校で実施できる残り少ないイベントを在校生と卒業生でつくり上げようと企画。1年半前から、無料通信アプリLINE(ライン)などを使って、各世代間で参加者を集めていた。
当日は57期生までのうち計52期の卒業生が集まった。主会場の体育館には、歴代の卒業アルバムの展示や、地域連携で取り組んできた社会貢献の取り組みを紹介するブースなどが並んだ。親子、きょうだい、夫婦など、家族で同校を卒業した計40組の「皆高ファミリー」の表彰や、思い出を共有する「皆高クイズ」、校歌斉唱などが行われ、会場は終始笑いが絶えない、アットホームな雰囲気に包まれた。
1期生は計3人が参加。田島光作さん(74)は「当時は男子校だったので、近隣女子高との合同行事が楽しみだった。私たちのころは年々、生徒数が増えてにぎやかになっていったが、今の在校生は生徒数が年々減少してきたので、時代の流れを感じる」としみじみ語った。
24期卒業生で、同窓会長の出浦洋介さん(51)は「ОBは、最後の生徒が卒業するのを見届けて、最後の同窓会員として迎え入れる責任がある。校舎が使えなくなる来年度以降は、開催場所などの多くの課題が出てくるが、一同で協議し、会が途絶えないようにしたい」と話していた。
約40年間、体育教員として勤務し、ホッケー部を全国制覇に導いた新井猛さん(80)は「人口減少が進む中、この年までよく学校が持ってくれたという思い。学校統合により、母校の証明が曖昧になってしまうが、皆さんには皆高生のプライドを持ち続けてほしい」と語った。
今後は、体育祭や60周年記念式典、文化祭、学校クロージングイベントなどさまざまな行事が計画されている。同校3年高橋由妃さん(17)は「最後の卒業生としてのプレッシャーはあるが、最後の学校行事一つ一つをOBの方たちと一緒につくり上げていきたい」と笑顔を見せた。
=埼玉新聞2025年4月30日付け1面掲載=
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