人工芝の感触 楽しむ
全国高校サッカー選手権で3度の優勝を誇る浦和南高サッカー部は11日、地域の小学生と交流を図る「エンジョイ・サッカー」を初めて開催し、約50人の児童が参加した。県内の公立高校で人工芝のサッカーグラウンドを所有するのは、同校と市浦和の2校のみ。子どもたちに人工芝の上でボールに触れてもらうなど、サッカーを通じた地域密着型の学校を目指す。
高校生に指導を受けボールを追い掛ける児童たち=11日、さいたま市南区の浦和南高校
世代超え、地域交流
辺りが暗くなり、ナイター照明に明かりがともったころサッカー少年、少女が集まってきた。県内強豪校のプレーを間近で見学し、目を輝かす児童たち。サッカー部の練習が終了すると、児童たちは高校生の熱気が残るグラウンドで走ったり、ボールを蹴ったりして芝生の感触を確かめた。
児童たちは自治会を通じて同イベントに参加。今回の企画を先導したサッカー部の野崎正治監督は「この環境をずっと地域に還元したいと思っていた。部員たちにも良い影響があるのでは」と、喜びを語った。普段は100人以上の部員を率いる指揮官だが、この日は勝負師の顔からは一変、温かいまなざしで児童たちを見守った。
指導役はサッカー部の生徒たち。1年のMF坂本勇希さんは「人数が多くて驚いた」と最初は子どもたちの勢いに押され気味の様子。それでも持ち前の明るさで場を盛り上げ「相手の気持ちを理解しないといけないと分かった」と話した。
高校生と児童がチームを組み、遊びの要素を含んだドリブル、パス、ミニゲームなどを実施し、笑顔が絶えない90分になった。サッカー未経験者で、さいたま市立沼影小6年の亀江茜里さん(11)は「芝生でボールを蹴ってみたかった。アドバイスをもらえてうれしかった」。亀江さんに誘われて参加した江頭七海さん(12)は「名前を呼んでもらえ、優しくしてくれた」と笑顔で汗を拭った。
初開催を振り返った野崎監督は「『来年もやりますか』という声をいただいた。これからも続けていきたい」と、地域との交流推進に意欲を見せた。〝赤き血のイレブン〟の伝統は、数年後この日参加した児童たちに引き継がれるかもしれない。
=埼玉新聞2022年10月13日付け6面掲載=
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