パリで開催の日本茶品評会「ジャパニーズ・ティ・セレクション・パリ」で初受賞
狭山市長へ報告、売上金の寄付も
小谷野市長に受賞を報告する狭紅茶プロジェクトのメンバーら=13日午後、狭山市役所
国産の茶葉からつくられる紅茶、和紅茶―県内では、狭山茶の主産地である入間市や所沢市、狭山市などの農園で開発、製造が盛んだ。
狭山市の県立狭山工業高校では、授業で習得した知識や技術を和紅茶づくりに生かそうと、「茶畑から茶の間まで」をコンセプトに、茶摘みから加工、パッケージまでを生徒の手で行う和紅茶を製造している。
同校の通称「狭工」と紅茶をかけて「狭紅茶」と名付けられた和紅茶が昨年、フランス・パリで開催された日本茶品評会で審査員奨励賞を受賞したことから、13日、同校の生徒らが狭山市役所を訪問。小谷野剛市長に受賞を報告し、狭紅茶の売上金約4万4千円の寄付も行った。
生徒の手で和紅茶をつくる「狭紅茶プロジェクト」は、同校電子機械科の原嶌茂樹教諭が中心となって、2017年に、3年生の課外研究として開始した。以来、同校生徒の3年次選択科目として、工業高校らしく生徒自作の発酵機を使用し、年度ごとに使用する茶葉の品種や収穫時期などを試行錯誤しながら和紅茶を製造。文化祭や市内イベントへの提供、飲食店とのコラボなどを通じて、狭工と狭紅茶の知名度を高めてきた。
3年前からは、さらなるブランド力向上を目指して、フランス・パリで開催されている日本茶品評会「ジャパニーズ・ティー・セレクション・パリ」にも出品。過去2回は、あと一歩のところで入選を逃し、涙をのんだ。
三度目の正直となった本年度は、市内の茶畑「横田園」の一番茶を使用し、飲料メーカーキリンビバレッジの協力も受け、それぞれ香り、味わいが異なる狭紅茶を3種類出品したが、結果はいずれも落選。そのうち1種類は入賞まで、あと0・05点足りないという僅差での落選だった。
「パリでの入賞を一つの目標にしてきたので、悔しかった」と同校3年のプロジェクトリーダー荻野晴輝さん(18)は振り返る。
ただ、狭紅茶は同セレクションで、今後の飛躍が期待できる応援したいお茶を審査員投票によって決定する審査員奨励賞を受賞。全国の名だたる茶園に名前を並べたことで、生徒らは来年度以降の入賞に期待を高めている。
荻野さんは、プロジェクトを引き継ぐ後輩に向けて「発酵機のセンサーを増やすなどして、より精密な温度制御で来年こそは入賞してほしい」とエールを送った。
また、メンバーの奥住紗穂さん(18)と吉川あずささん(18)も「お茶摘みなど大変なこともあったが、地域の人と交流して狭紅茶のことを知ってもらってよかった」と口をそろえ、七戸天斗さん(18)も「いつもは関わらない人と関われて楽しかった。お茶については任せてください」と胸を張った。
「狭紅茶」パッケージも生徒がデザインした
=埼玉新聞2023年2月20日付け11面掲載=
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