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生徒見守る渋沢栄一の書 来年春公開ー県立松山高校

 東松山市の県立松山高校は、日本資本主義の礎を築いた深谷市出身の実業家・渋沢栄一直筆の書を保管している。「時間を大切にして勉学に励んでほしい」という意味の書は、3万人を超す同校の生徒たちを見守り続けてきた。来年に改修を終了し、一般公開を再開する「旧埼玉県立松山中学校校舎(通称・松高記念館)」で展示される予定だ。

                

渋沢栄一が贈った書。一般公開までは校長室で保管されている

 

 1929年に贈られた書には「為爾惜居諸」(なんじのためにきょしょをおしむ)と書かれている。中国・唐の詩人韓愈(かんゆ)が自分の子どもを励ますときに作った詩「符、読書城南」(ふ、しょをじょうなんによむ)の一句で、「時間を大切にして勉学に励むように」という意味。90歳になった渋沢が同校の生徒を激励するためにしたためた、と言われている。

 23年に旧制松山中学校として開校した松山高校の建学の精神は「文武不岐」(ぶんぶふき)。学問と武芸は一体であるという意味で、初代校長の若月秀吉氏が茨城師範時代に体得した水戸弘道館の「文武岐(わか)れず」によるものだ。

 弘道館は江戸幕府最後の将軍徳川慶喜の父斉昭が創設した。松山高校の菅野義彦校長は「現在放映されている大河ドラマの歴史と本校が関係していることはなかなか知られていない。この機会に生徒はもちろん地域住民の方にも知ってもらえれば」と話す。

 70年の管理棟新築に伴い、移築された一部旧校舎は「松高記念館」として現存し、2020年に国の有形文化財に登録された。今年4月から耐震補強工事のため一般公開を停止しているものの、来年2月には創建当時の外壁の色に再現され、一般公開が再開される。

 リニューアル後の記念館では、入り口で渋沢栄一の書が来場者を迎える。菅野校長は「当時の再現もしつつ、プロジェクションマッピングなど現代の表現も意識していきたいと考えている。創立100周年の節目に再び地域のシンボルとしてオープンできれば」と話している。

 

                

現在、工事中の松高記念館。来年春には創建当時の外壁の色に再現され一般公開が再開する=東松山市松山町の県立松山高校

 

=埼玉新聞2021年7月15日付け15面掲載=

 

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