授業で手作り体験
さいたま市の伝統産業「大宮の盆栽」の魅力を知ってもらおうと、県立浦和北高校で、大宮盆栽美術館と盆栽園「藤樹園」(北区盆栽町)による連携授業が行われた。参加した3年生27人は四苦八苦しながら、真剣な表情で盆栽作りを体験した。生徒たちの作った盆栽は今月18~23日まで、同館で展示する。
風見政夫さん(左)らの指導を受けながら、盆栽作りを体験する生徒たち=さいたま市桜区五関の浦和北高校
講師を務めたのは、元高校教諭で日本盆栽協会の盆栽インストラクター風見政夫さん(70)、盆栽師の広田敢太さん(24)ら3人。美術教諭の野口聡子さんが同館で研修を受け、「さいたま市の文化を生徒たちに愛してほしい」として連携授業が始まった。
生徒が手作りしたのは、ボケの仲間「長寿梅」の盆栽。風見さんは「盆栽の世界は引き算。小さく作り、良さを引き出す」「盆栽は風を表現する」と語りかけ、枝の剪定(せんてい)や土入れ、コケの植え付けを指導した。生徒たちは盆栽器も自作し、風見さんや広田さんのアドバイスを受けながら、盆栽作りに取り組んでいた。
コケの植え付けを褒められた岡本七海さん(17)は「コケの作業が楽しく、褒められてうれしかった」。シンメトリーが美しいと考えていたが、風を表現するという話に驚いた。「盆栽作りは楽しく、面白かった。お父さんが毎朝、植物に水やりをしているので、仲間入りさせて、かわいがりたい」と笑顔で話した。
田北駿さん(18)は、盆栽の知識を全く持っていなかったが、楽しめたという。「引き算の話は、作業をしていくうちに分かった。思った以上にうまくできたので、家に飾って水やりをして、かわいがりたい。盆栽美術館にも行ってみたい」と話していた。
風見さんは同校の盆栽授業を担当して5年目。「楽しい授業だった。最初の目標としては1年間、枯らさずに育ててもらえれば。インストラクターの使命は盆栽の普及なので、一人でも盆栽を好きになって、長く続けてほしい」と期待していた。
=埼玉新聞2022年11月15日付け10面掲載=
「浦和北は全日制普通科の単位制高校です。通常の必修科目に加え、家庭・情報・体育・芸術など多彩な分野の科目が開講されており、進路や興味・関心に応じて自由に選択できます。盆栽作りは「美術総合」という選択科目の中で行われました。単位制の利点を生かした少人数授業が行われており、すべての講座の平均人数は約23人(2020年度)となっています」(教育ジャーナリスト 梅野弘之)
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