経験生かし資格に挑戦
全国商業高校協会(全商)が主催する検定試験9種目全てで1級を取得する「9冠」。県内初の9冠達成を、さいたま市南区の県立浦和商業高校を3月に卒業した小島怜已(れい)さん(18)=北本市=が在学当時の昨年12月に成し遂げた。同校の校門には達成を祝う横断幕が掲げられている。
9枚の合格証と、9冠達成の賞状を持つ小島怜已さん。賞状は大切に母親がファイリングしているという=4月、さいたま市南区の県立浦和商業高校
9種目は商業経済、簿記、情報処理(プログラミング)、同(ビジネス情報)、英語、ビジネス計算(珠算)、同(電卓)、ビジネス文書実務、財務諸表(または財務会計、管理会計)。試験は年に1~2回。全商によると、23年度の9冠達成者は全国で77人だった。
高校は母が通っていたこともあり、同校の情報処理科へ進学。入学式の日に当時担任の梶原朋子教諭(30)が「この学年から9種目を出したい。最強の代にしよう」と熱く語り、小島さんに火を付けた。検定を勉強しながらも、定期テストと両立する日々が続き、成績は学年トップをキープし続けた。
中には学校では習わない科目もあった。珠算は習ったことがなく、動画投稿サイト「ユーチューブ」を見たり、友人に力を借り、3回目の挑戦で合格をもぎ取った。ほかにも商業経済検定の5科目全てに合格して表彰され、ITパスポート、秘書検定2級取得、英語スピーチコンテストで全国大会に出場するなど、輝かしい成績を残してきた。
昨年12月の財務諸表検定に合格したことで9冠を達成した。同検定は父の誠司さん(55)と二人三脚で勉強した。自宅でどうやったら覚えられるか、語呂合わせを一緒に考えた。誠司さんは「家に帰ると机に向かって勉強している姿をよく見る。娘から学ぶことも多い」と話す。
梶原教諭は小島さんを「学科をけん引したリーダー」とたたえる。学科に所属する約80人のうち、全商の検定1級に3種目以上合格した生徒は50人を越え、合格率は7割近くになる。過去最高の合格率だといい、「最強の代」を生徒と教員でつくり上げた。
4月からは銀行に就職し、県内で勤務している。検定で得た知識や技術が直接役に立つことは少ないというが、入行後も証券外務員などの資格取得が必要で、「検定を取ることを通して勉強の仕方が分かった。早く次の資格も取りたい」と新たな場所で挑戦を続けている。
=埼玉新聞2024年5月4日付け10面掲載=
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学校の特徴~学校からのメッセージ~
浦和商業高校の最大の強みは、推薦制度を最大限に活用した進路指導にあります。進学は学校推薦型選抜を中心に総合型選抜も活用しながら、共通テストや個別テストを受験する一般選抜を用いない進路指導を展開しています。一方、就職は学校推薦によって、優秀な生徒を県内外の企業に数多く輩出しています。歴史と実績を積み重ねた進路指導によって信頼を得て、”浦商だから採用する“という企業もたくさんあります。
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