県教育委員会は本年度から、県立高校で情報通信技術(ICT)を活用した遠隔授業の本格的な導入に向けて実証事業を展開している。教員の確保が困難な教科などにおいて、生徒の希望に応じて多様な科目選択を可能にすることを狙いとしている。日吉亨県教育長は20日の定例会見で、授業の様子を視察した状況について触れ、「授業とは生徒とのコミュニケーション。生徒の表情や反応などを見ながら進めていくには、さまざまな工夫が必要」と述べた。
生徒の多様な選択後押し
実証事業は4月からスタート。教員の確保が困難な教科に関して高校2校をリアルタイムで接続し、双方向で遠隔授業を行う。配信側と受信側の高校を合わせて生徒数は40人を上限としており、配信側の教員が受信側の生徒の成績を評価することにしている。
本年度は「福祉」の授業を滑川総合高校から小鹿野高校へ、「日本語」の授業を戸田翔陽高校から春日部高校の定時制課程に向けて配信している。杉戸高校では、1年生の化学基礎、3年生の政治経済の授業において、校内の別クラスに配信する事業に取り組んでいる。
県教育局高校教育指導課によると、現時点で配信が止まってしまうなど遠隔授業に問題は発生しておらず、配信側の教員の急用などにも受信側の教員が対応し、授業が円滑に進むなど、新たな利点も見つかったという。
25日からは大学の講義を配信し、希望する県立高校の生徒が受講できる実証事業も始まる。県内にキャンパスがある立正大学のデータ分析やプログラミングに関する講義から始まり、城西大学、獨協大学の講義を年13~15コマ受講する。単位の取得も可能。
県内の大学に興味を持ってもらうことや、高校時に大学の単位を取得しておくことで進学時により自由に講義の選択を可能にすることを狙いとしている。
日吉教育長は「一方的な講義だと生徒が飽きてしまうところがあるので、双方向による授業のやりとりを考えていかなければならない」と話した。
県教委は本年度の成果をもとに、来年度以降に2校間遠隔授業の対象校や科目を増やすことを検討していく。
=埼玉新聞2024年9月21日付け1面掲載=
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